「GalaxyスマホはOSだけで60GBもストレージを占有している」。
一部の海外メディアが上記のような内容を報道し、国内ではGIGAZINEにて翻訳記事が掲載されたことでにわかに話題になっている。
Galaxyスマホを使っている方のなかには、実際に手元の端末でストレージの利用状況をチェックし「本当にシステムだけで〇〇GBも使われている!」と驚いた方もいるかもしれない。
しかし、この「Galaxyスマホは過剰にストレージを食っている」という主張は少々誤解を招きかねない表現のようなので、そのカラクリを簡単に解説したい。
背景:Pixelは16GB、ZonFoneは22GB、Galaxyは60GB?
ことの発端は、Mishaal Rahman氏によるこちらのツイート。
Alright folks, how much of your phone’s storage is taken up by the system?
— Mishaal Rahman (@MishaalRahman) February 3, 2023
I’ll start: It’s 22GB of my 256GB Zenfone 9.
I’ve seen some wild numbers from other phones, so I’d like to see just how varied things are! pic.twitter.com/N3AQRgtZGP
要約すると「俺のZenFone 9は256GBのうち22GBがシステムに消費されていたけど、みんなのスマホはどう?」という問いかけだ。
このツイートに対して、Pixel 7 Proは16GB、Nothing Phoneは19GB、など各々がスマホをチェックしてその容量に占めるシステムの割合を報告していた。
そこに寄せられたリプライのひとつが問題のGalaxy。先日発表されたばかりのGalaxy S23 Ultraは、システムだけでストレージを60GB以上消費しているとの画像が投稿された。
This is on the S23 Ultra 😱 pic.twitter.com/SuhNSyCY3T
— Alex Maxham (@alexmaxham) February 3, 2023
たしかに、画像を見るとSystemが68GB占有している。
しかし、実際のところシステムによって68GBも消費されているわけではない。
この表示方法では誰がどう見てもシステムが68GB消費していると認識するので、ややこしい表示の仕方を採用しているOne UIにも間違いなく非はあるのだが、原因はいくつかあるのでわかっている範囲で解説していく。
原因:One UI特有の表示方法と単位の違い
GalaxyスマホがOSだけで大量のストレージを消費してしまっているように見える原因は、主に
の2つある。
アプリとシステムを合算するOne UIの仕様
Galaxyのシステム消費量が嵩んで見える最大の原因は、「権限を許可しないとシステムとアプリを合算した数字が表示される」というOne UIの仕様にある。
上の画像は、筆者のGalaxy Note20 Ultraのストレージ消費の内訳だ。システムだけで実に99GBも消費されているように見える(画像左)。
しかし、システムの上にあるアプリの項目には「i」マークが表示されているのみで数字は確認できない。
実は、Galaxyには「マイファイル」というファイルマネージャーアプリが用意されており、このマイファイルにストレージ履歴へのアクセスを許可しなければ、システムにアプリの容量を合算した数値が表示されてしまう仕様なのだ。
実際、筆者のGalaxy Note20 Ultraでは、マイファイルアプリに権限を与えるとシステムの消費量が99GB ⇒ 37GBまで削減された(画像右)。
ここで、あらためて先程のGalaxy S23 Ultraがシステムだけで60GBも消費しているという画像をチェックしてみると、アプリの項目に「i」マークが確認できる。
つまり、先ほどの画像ではシステムとアプリを合算した数値が表示されているので、大幅に消費量が嵩んで見えるというわけだ。
2進数と10進数の差の処理方法
もう1つの原因は、2進数と10進数が入り混じっていることによって生じる差の処理方法だ。
Galaxyスマホでは、2進数と10進数のそれぞれで計算された容量の差をシステムとして表示される部分に組み込んで辻褄を合わせているとのこと。
以下のツイートでざっくりとではあるが解説されている。
Because of the 1000 vs 1024 conversion, you always “lose” about 7% of storage marketed by manufacturers. 1TB HDD ~930GB usable, a 512GB phone ~476GB usable etc..
— Golden Reviewer (@Golden_Reviewer) February 7, 2023
Windows shows you the actual usable number(e.g. 930GB), this actually caused a lot of confusion and questions .
具体的な例を挙げると、256GBのSDカードを購入してWindowsのPCに認識させると、使用できる容量は恐らく238GBと表示される。
これは、10進数で表記されているスペック(256GB=256,000,000,000B)をPC側の計算に用いられる2進数に直すと以下のようになるため。
- 1256,000,000,000B÷1024=250,000,000KB
- 2250,000,000KB÷1024=244,140.625MB
- 3244,140.625MB÷1024=238.4185791015625GB
このように、PCが認識する容量=実際に使用できる容量は238GBとなり、スペック上の256GBとは約18GBの差が生じる。
この仕様は、スマホの容量においても全く同じ。
Galaxyではこの差をシステムとして表示される部分に組み込んでいるため、結果的にシステム部分が過剰に膨らんでいるように見えるてしまう。
先程例に出したGalaxy Note20 Ultraのストレージ容量は256GB。
つまり、実際に使用できる容量は約238GBのはずであり、差分の18GBがシステムに組み込まれているとすると実際のシステム容量は37GB – 18GB = 19GBとなる。
他社スマホのシステム容量が20GB前後であることを踏まえると、納得感のある数値ではないだろうか。
まとめ
以上、一部で話題となっている「GalaxyスマホはOSだけで60GBもストレージを占有している」という誤解をとくための解説だった。
誤解とは言ったものの、デフォルトでアプリ+システムの容量を表示するOne UIの仕様が主な原因であるのは間違いない。
なお、Androidの設定から確認できるシステムの容量は全体の使用量からその他の項目を引いた数値なので、そもそもがかなり大雑把であるという点は頭に入れておきたい。
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