2024年7月に登場したGalaxy Watchシリーズの最新モデル、Galaxy Watch7のレビューをお届けする。
国内版の実機を使用し、ワークアウトやヘルスケア機能の精度、バッテリー持ちなどを詳しく検証しているので、購入を検討している方はぜひ参考にしてみてほしい。
結論:Galaxy Watch7のメリット・デメリット
Galaxy Watch7のメリット・デメリットを簡潔にまとめる。タップで各項目までジャンプできるのでぜひ活用を。
デザイン:シンプルな見た目とブカブカなストラップ
今回レビューするのは、Galaxy Watch7のBluetoothかつ44mmモデル。カラーはシルバー。
Galaxy Watch7シリーズは40mmと44mmのケースサイズがラインナップされている。それぞれにBluetoothモデルとLTEモデルが用意されており、LTEモデルもAmazonで購入可能だ。
大枠の形状やデザインは、Galaxy Watch Activeシリーズから続く「回転ベゼル非搭載」モデルを踏襲しており、かなりシンプルな印象。
全体がグレーとシルバーにまとめられているなか、側面に2つ搭載されているボタンのうち片方の根本がオレンジ色に塗られていること、デフォルトのストラップにブルーとオレンジの差し色が入っていることがよいアクセントになっている。
また、ディスプレイ全体がケースよりもわずかに盛り上がっている「フローティングデザイン」も採用されている。
アルミニウム素材のケースの質感や2つのボタンを押したときの節度感などは良好。高級感があるというほどでもないがチープな感触もなく、特に言うことはない仕上がりだ。
付属するデフォルトのバンドは本体カラーにあわせたグレーのシリコンタイプ。グリーンやクリームを選んだ場合は、それぞれのカラーにあった色のバンドとなる。
デザインや質感自体は悪くないものの、個人的にはバンドのサイズが気になった。筆者はやや小柄な方だが、付属のバンドを最大まで絞っても手首との間に指1本が余裕で通ってしまうほどの隙間ができてしまう。
バンドを巻く位置をややずらせば固定できるが、これまでほぼ全てのGalaxy Watchシリーズを使ってきて「バンドのサイズがあわない」という事態はなかったので少々戸惑ってしまった。
購入キャンペーンのクーポンが届けば別の純正バンドを購入できるので、届き次第ほかのバンドのサイズ感などもお伝えできればと思う。
純正の交換バンド「Galaxy Watch7 Sport Band (S/M)」が届いたので付け替えてみたところ、筆者の手首には余ることなくピッタリとフィットした。
デフォルトのバンドと並べて比較してみると、ほどほどに短く設計されていることがわかる(画像3枚目)。
小柄な方の場合、デフォルト(M/L)のバンドは大きすぎる可能性があるのでぜひ(S/M)サイズのバンドへの交換を検討してみてほしい。
なお、Galaxy Watch7はGalaxy Watch6と同様にワンタッチでバンドを交換できる仕組みを採用している。バンド交換の詳しい方法は以下のページを参照。
操作性:3nmプロセッサーでシリーズ最高のサクサク感
Galaxy Watch7のディスプレイサイズは1.5インチ。ディスプレイ周囲のベゼル幅は抑えられているので野暮ったさはなく、かなりスッキリとしている印象だ。輝度も十分で、屋外での視認性も全く問題ない。
また、Galaxy Watch7とGalaxy Watch Ultraはプロセッサーに自社製のExynos W1000を採用している。
シリーズ初となる3nmプロセスプロセッサーのExynos W1000は明らかにパワフルで、動作が見違えるほど快適になっているのには驚いた。
筆者がこれまで使用してきたGalaxy Watch6 Classicも決してパワー不足ではなく、全く不満はなかった。
しかし、Galaxy Watch7の滑らかさとは明らかに質が違う。アプリの起動やタイルの切り替え、パターン認証時の反応など細かいアニメーションの前後に発生するほんのわずかな引っ掛かりが完全に解消されている。
むしろ、Galaxy Watch7を使ったからこそGalaxy Watch6 Classicの動作にムラがあったことに気が付いた、という方が正確かもしれない。両者を使い比べたからこそ、わずかだがハッキリとした違いに気付かされてしまった。
Galaxy Watchシリーズには通知に対して文章を入力して返信する機能が搭載されているが、動作の滑らかさはケータイ入力や手書き入力時にも顕著に感じられた。
手書き入力⇒ケータイ入力⇒絵文字入力などキーボードを切り替えるときの動作も非常にスムーズで快適。画面サイズの都合上あまり長文を入力するのが便利とは言えないが、一言・二言をその場でサッと返すだけなら十分実用的だと感じる。
関連Galaxy WatchシリーズでLINE(ライン)はどこまで使えるのかを解説。通知の確認と返信、通話の発着信は?
ちなみに、Galaxy Watch7の世代には回転ベゼルを搭載したモデルがラインナップされていないが、従来モデル同様に画面縁を指でなぞるとバイブとスクロールで回転ベゼルの動きを再現できる。
正直、この「疑似回転ベゼル」の機能は物理的なベゼルとは異なりスクロールの細かい調節がやりにくくあまり使い勝手がよいとは言えない。あって困る機能ではないがほぼ使わないというのが個人的な感想であり、早急に回転ベゼルを復活させてほしい……。
ジェスチャー操作の感度はまずまず
Apple Watchに実装されたことで話題になったジェスター操作は、Galaxy Watch7でも利用可能。ジェスチャー自体以前から利用できる機能であり、Apple Watchと同じダブルピンチ(指先のダブルタップ)も追加された形だ。
ダブルピンチで実行できる機能は、着信の応答・通知の解除・アプリの起動・音楽コントロール・写真の撮影など。
精度自体も悪くなく、1回1回のタップの間隔がハッキリとわかるように意識すとほぼ確実に認識される。
ダブルピンチのほか、振って解除(手首を2回回転させて着信拒否やラーム停止)とトントン(握った拳を2回上下させる)といったジェスチャーも用意されている。
振って解除はGalaxy Watch3、トントンはGalaxy Watch4以降から用意されていたジェスチャーだが、トントンはジェスチャーの動作自体がやや不自然なので使いにくく、認識させるのが難しい印象。
筆者は、ダブルピンチと振って解除だけを有効にしている。
ワークアウトの精度を検証
Galaxy Watch7は100種類以上のワークアウトに対応しており、ウォーキングやランニングなど一部のワークアウトは自動的に検知される。
ウォーキングの場合、だいたい10分歩いたところでGalaxy Watch7が振動しウォーキングのワークアウトが開始されたことを通知してくれるので歩くモチベーションとなってくれている。
また、今回は検証としてGalaxy Watch7を装着した状態でジムのトレッドミルを使ったウォーキングを試し、ウォッチとトレッドミルのデータを見比べて精度をチェックしてみた。
ピッタリ1時間が経過した時点でトレッドミルもGalaxy Watch7も停止させたところ、消費カロリーはトレッドミルだと290kcal、Watch7は278lcalでほぼ同じ。
移動距離はトレッドミルが4.32kmでGalaxy Watch7が2.79mi(マイル)。kmに変換すると4.49kmなので、こちらもほぼ誤差の範囲だ。
どちらが正しいとも言えない比較ではあるが、両者の値が近いということはそれなりに信頼できる結果だと判断していいはずだ。
ヘルスケア:エナジースコアとAGEs指数で体調管理
Galaxy Watch7のヘルスケア機能は、進化したバイオアクティブセンサーやAIなどの活用により機能が向上していると謳われている。それに伴い、いくつか新機能も登場した。
新機能の1つめは、エナジースコア。実際にはGalaxy Watch7発表前からリリースで案内されていた機能であり、睡眠の質や規則性、前日の活動量などからその日の体調を数値化してくれるというものだ。
エナジースコアは、機能を有効化しておけば自動的に測定・算出される。Galaxy Watch7の画面からは上の画像のように「1~100までのスコア」とスコアの算出に用いられた各項目をチェックできる。
スマホ側の「Samsung Health」アプリからはより詳しい情報をチェック可能。スコアのみをサッと見るだけならウォッチ、「何が原因なのか?」「どうすれば改善できるのか?」などより深く確認したい場合はスマホアプリを見るのがよさそうだ。
この日のエナジースコアは「59」であり、画像からわかるように「注意が必要」な水準らしい。実際、睡眠時間は6時間ちょっとしか確保できておらず万全な体調とは言えない状態だったので、思っていたよりも精度は高いのかもしれない。
数日間Galaxy Watch7を就寝中やジムでの運動中に装着し、十分な睡眠時間を確保できた日にあらためてエナジースコアをチェックしてみると数値が改善されていた。適度な運動と十分な睡眠を確保できるように自然と生活習慣を整えようとする効果は十分にある。
このように、エナジースコアは前日の活動量や睡眠時間の平均、睡眠サイクルの規則性なども考慮して算出されているので、Galaxy Watch7を外している日が多いと精度は落ちてしまう。エナジースコアという機能そのものが、Galaxy Watch7を使う意味やモチベーションになってくれそうだとも感じた。
もう1つの新機能がAGEs指数の測定。
Galaxy Watch7の背面に搭載された高度な光学センサーが皮膚に蓄積されたAGEsを睡眠中に測定し、それが高いのか・低いのかを表示できる。
AGEは、糖が過剰にこびりついて本来の機能を失ったたんぱく質のこと。変性したたんぱく質が細胞や臓器に炎症を引き起こし、老化を加速させる要因になっている。
引用:日経BP
測定したAGEs指数は、Galaxy Watch7で上の画像のように表示される。数直線上の位置で高いか低いかを示すだけであり、具体的な数値のようなものが表示されないのはちょっとわかりにくいと感じた。
AGEs指数はスマホの「Samsung Health」アプリでもチェックできるが、日付ごとのグラフ表示ができるくらいで数値はわからず情報量に差はない。
一応、AGEs指数は少ない方が健康的だとされており、アプリ内でも指数を改善する方法として
- ビタミンの多い食事を摂る
- ヘルシーな調理方法を取り入れる
- 運動する
- 睡眠を優先する
などが挙げられていた。
AGEs指数の大小に関係なく一般的に健康に良いとされている生活習慣を心掛けるだけでよさそうなので、イマイチ本機能のありがたみが薄いような気がする。
その他の健康機能はほぼ変化なし
心拍数やストレス、睡眠といった定番の健康管理機能も搭載されており精度が向上していると謳われているものの、元々十分な精度だと感じていたので体感として変化は感じていない。
また、Galaxy Watchにはスマートウォッチとしては珍しく体組成計機能も搭載されているが、同機能の使い勝手や性能も特に変化は感じなかったので詳細はGalaxy Watch6 Classicのレビューを参照してみてほしい。
なお、残念ながら心電図(ECG)と血圧測定は引き続き日本では開放されていない。いつもの手順で強引に有効化する方法はGalaxy Watch7でも使えたので、興味がある方は以下の記事を参考に。
Felicaも引き続き搭載
Galaxy Watch6シリーズで最も注目されたFelicaの搭載は、Galaxy Watch7にも引き継がれている。
すでにGalaxy Watch6 Classicで利用していたので使い心地に変化はないが、やはりスマートウォッチで買い物したり改札を抜けたりできるのは非常に便利。
Felicaチップの位置にも配慮されており、時計の12時のあたりをかざして利用するように設計されているため、手首を変に曲げる必要がないのも嬉しい。
ちなみに、利用できるサービスはSuica・QUICPay・iDの3種類で今のところ追加はなし。筆者はSuicaとQUICPayに加えてFelicaを鍵としてスマートロックの解錠にも利用しているので、詳細が気になる方は以下の記事もチェックしてみてほしい。
参考【解説】Galaxy Watch6・7で家の鍵・スマートロックを開ける方法
バッテリー持ちは及第点
Galaxy Watch7(44mm)のバッテリー容量は、300mAh。
スペックシートによると、バッテリーの持続時間はAOD未使用だと最大40時間、AODを使用すると最大30時間とのことだった。
実際にGalaxy Watch7をフル充電したあと、一切充電せずバッテリーがゼロになるまでの時間を記録した結果が以下の表だ。
日付と時間 | バッテリー残量 |
---|---|
8月5日18時 | 100% |
8月6日18時 | 55% |
8月7日午前11時30分 | 15%(省電力モードに移行) |
8月7日18時 | 5%(時計専用モードに移行) |
- 接続デバイス:Galaxy S23 Ultra
- 画面の明るさ:自動調整ON
- Always On Display:有効
- 手首を上げて画面ON:有効
- 画面タイムアウト:15秒
- サウンドモード:バイブ
- バイブ:短く強い
- ストレス・心拍の測定:手動
- 血中酸素濃度:睡眠時のみ有効
- いびき検出:有効
- 通知:メール・SNS・LINEなどが日に数回
- 通話:なし
- ワークアウト:8月5・6日に1時間程度
1日経過時点で約半分のバッテリーが消費されていた。
省電力モードを延命措置としてバッテリー切れと同等に扱っても、AOD有効状態で40時間以上は利用できるのでスペックシートよりは長持ちしている。筆者の環境での実質的なバッテリー持続時間はだいたい42時間といったところだ。
WearOSのスマートウォッチとしては十分長持ちであり、Galaxy Watch6 Classicと比べてもわずかによい結果が出ている。
Galaxy Watchにこれ以上のバッテリー持ちを求めるのであれば、Galaxy Watch5 ProやGalaxy Watch Ultraを選ぶしかないだろう。
ワイヤレスバッテリー共有に非対応
従来のGalaxy Watchシリーズは、Galaxyスマホの背面に置いてスマホから給電する「ワイヤレスバッテリー共有」が利用できた。
しかし、Galaxy Watch7とGalaxy Watch Ultraは、背面センサーの精度向上に伴い背面ガラスの形状が変更されており、同機能に非対応となってしまった。
詳細Galaxy Watch Ultraと Watch7 のワイヤレス充電とワイヤレスバッテリー共有機能について-サムスン公式サイト
旅行や出張、帰省などの際、ワイヤレスバッテリー共有が使えると持ち歩く充電器を1つ減らすことができた。重宝していただけに非常に残念。
次期Galaxy Watch8では、何とか形状を工夫してスマホから給電できるようにしてほしい。
まとめ:6 Classic続投
- 進化したポイントは新CPUによる動作の改善・AGEs指数・エナジースコア。AIは使いどころがほとんどない
- ストラップが長すぎること・回転ベゼルの消滅・バッテリー共有非対応が気になるポイント
- 従来モデルからわざわざ買い替えるほどではない。初めてGalaxy Watchを買うならおすすめ
Galaxy Watch7の魅力は、3nmプロセスプロセッサーであるExynos W1000の採用による動作の改善。サクサク感・ヌルヌル感がハッキリと向上しているので、使っていて非常に気持ちがよい。
また、従来から利用できた睡眠モニタリングや体組成計機能に加えて、AGEs指数という新機能も加わった。エナジースコアによる体調管理もわかりやすく、「Galaxy Watch7を毎日身に着ける意味」もハッキリとしている。
しかし、従来モデルを使っていた身としては気になる部分も多い。回転ベゼル信者過激派なので回転ベゼルという選択肢自体が消えてしまっていることはもちろん、バッテリー共有機能も必須レベルで重宝していたので使えなくなってしまったのは手痛い損失だ。
これらを総合すると、Galaxy Watch7は初めてGalaxy Watchシリーズを購入しようとしている方には問題なくおすすめできる一方、従来のモデルに依存している部分がある方は少しだけ慎重になった方がよいというのが当サイトの結論。
購入を検討している方の参考になれば幸いだ。
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