ファーウェイから2023年10月17日に発売された新型の完全ワイヤレスイヤホン、FreeBuds Pro 3のレビューをお届けする。
FreeBuds Pro 3は、昨年8月に登場したFreeBuds Pro 2の後継であり、FreeBudsシリーズのフラッグシップモデル。
主な特徴は以下の通りだ。
- イヤホン・ケースの小型化
- Devialet(デビアレ)との協業はナシ
- ノイズキャンセリングの向上
- タッチセンサーに窪みデザインを採用
本記事では、HUAWEI FreeBuds Pro 3を実際に使用し、ノイズキャンセリングや外音取り込み、音質とバッテリー持ちなどの機能・性能を詳しく評価しレビューする。
購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
製品提供:ファーウェイ・ジャパン
FreeBuds Pro 3のメリット・デメリット
まず最初に、FreeBuds Pro 3のメリットとデメリットを箇条書きで掲載する。
各項目をクリック or タップすると詳細を解説している箇所までジャンプできるので、活用しながら読み進めてほしい。
FreeBuds Pro 2と比較して何が変わった?
FreeBuds Pro 2から約1年を経て登場したFreeBuds Pro 3だが、両モデルを比較して進化・改善または劣化してしまったポイントはどこだろうか?
スペックシートからわかることに加えて、個人的に感じた変化点についてまとめると以下の通りだ。
- ケースは小型化したがサイズ感の違いはあまり感じない
- ヒンジが大きく開くようになり、イヤホンの出し入れは気持ちスムーズになった
- 窪みデザインの採用で操作性が明らかに改善
- Devialet(デビアレ)との協業はナシ。良くも悪くも音質に変化は感じない
- 通話品質は明らかに改善。同価格帯のイヤホンではトップクラス
- ノイズキャンセリングのレベルもわずかにアップ
- 電池持ちが微妙に悪くなった
ほかのFreeBudsシリーズの比較は以下の記事にまとめてあるので、ぜひあわせてチェックしてみてほしい。
関連HUAWEIのワイヤレスイヤホンFreeBudsを比較。おすすめはどのモデル?
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デザイン
まずは、FreeBuds Pro 3のデザインや質感といった外観を中心にレビューしていく。
カラーバリエーションはセラミックホワイト・グリーン・シルバーフロストの3色。
セラミックホワイトとシルバーフロストはシリーズのなかでも定番のカラーで、グリーンはこれまで上位モデルではあまり採用されてこなかったカラーだ。
鮮やかなグリーンというよりはミントともターコイズブルーとも受け取れる絶妙なニュアンスカラーで、個人的にはかなり好み。
今回レビュー用に頂いたカラーはセラミックホワイトだったが、自分で購入するのであれば迷わずグリーンを選んでいたと思う。
ケースの形状はFreeBuds Pro 2から引き続き楕円形で、サイズは約4.5%小型化している。
一応、FreeBuds Pro 3とFreeBuds Pro 2を画像のように並べてみるとコンパクトになっていることが感じられるが、前モデルを知らないのであれば差はほとんどないのであまり気にしなくてもよいはず。
前モデルからの地味な改良点として、背面のHUAWEIロゴプレートの位置が挙げられる。
従来はシルバーのロゴプレートがヒンジにまたがるように配置されていたところ、FreeBuds Pro 3ではヒンジの下ピッタリの位置に変更された。
ロゴプレートのある側が表ではなく裏であり、ワイヤレス充電の際はロゴプレートを下に向けなければいけないのは相変わらず違和感があるものの、プレートの位置の微妙なモヤモヤが解消されたのは地味ながら嬉しいポイントだ。
また、ヒンジの開き方が微妙に深くなりイヤホン周辺の空間が広がったことで、スムーズに出し入れしやすくなっている。
イヤホン自体の形状は従来と変わらず短いスティックタイプ。
スティック部分には新たに窪みが設けられており、詳しくは後述するが操作性が格段に向上していた。
装着感
実際にFreeBuds Pro 3を耳に装着した様子がこちらの画像。
イヤーチップをグリグリと押し込まなくてもスッポリと耳にハマる感覚なので、フィット感はかなりよい。
XS~Lまで合計4種類のイヤーチップが同梱されている(Mはデフォルトで装着済み)ので、ほとんどの場合別のイヤーチップ用意をしなくても丁度よいサイズが見つかるはずだ。
AI Lifeアプリを使えばイヤーチップの適合度テストも可能。
「SとMどっちのサイズが合っているんだろう……」と迷ったときは、適合度テストを活用して客観的な意見も参考にできる。
一応、イヤホン本体の重量は単体で約5.8gとなり、約5%の軽量化も実現。長時間装着していてもストレスは感じにくく、気軽に身に付けられる。
操作性
FreeBuds Pro 3は、軸部分をピンチ(つまむ)したりスワイプしたりする動作に以下の機能が割り当てられている。
1回ピンチ | 2回ピンチ | 3回ピンチ | 上下にスワイプ | ピンチして維持 | 上下にスワイプ |
---|---|---|---|---|---|
再生/一時停止 | 次の曲 | 前の曲 | 音量を調節 | ・ノイズコントロール ・音声アシスタント起動 | 音量を調節 |
電話に応答/終了 | 着信を拒否 | – | – | – |
AI Lifeアプリからのカスタマイズにも対応しており、いずれの操作にも「なし」の選択肢が用意されているので、不要だと思う機能は無効化も可能。
特に、暴発しやすい1回ピンチをオフにできるのは地味ながらありがたい。
デザインのレビュー中にも軽く触れたが、FreeBuds Pro 3の側面にはピンチが有効なエリアを示す窪みが設けられた。
この窪みが実によい働きをしており、わずかな窪みながら指先だけで掴む場所を判別しやすくとても操作がしやすいと感じた。
FreeBuds Pro 2のころはピンチという操作になかなか慣れず苦労したのに対して、FreeBuds Pro 3は窪みのおかげで「人差し指側に力を込めるといい」というコツが直感的にわかりやすく、操作がスッと体に馴染んでくれた印象だ。
また、しっかりとピンチできたときの「カッ・チッ」という2段階のフィードバックも引き続き搭載されているので、ボタンを押しているような感覚で操作できる。
音質
続いては、FreeBuds Pro 3の音質について。
スペックについて簡単に紹介すると、FreeBuds Pro 3は低音最大14Hzまでの11mmダイナミックドライバーと、高音最大48kHzまでのマイクロ平面振動板ドライバーを搭載している。
2基のドライバーを内蔵することで周波数帯域が14Hz~48kHzと広く、細部の音まで丁寧に表現できるとのことだ。もちろん、ハイレゾ相当の音質を再生できるLDACコーデックもサポートしている。
FreeBuds Pro 3は最大2台までのマルチポイント接続にも対応している。さらに、マルチポイント接続時でもLDACを利用できた。
マルチポイントとLDACを両立できない完全ワイヤレスイヤホンは以外と多いので、細かい部分にまでしっかりと配慮されていると感じた。
FreeBuds Pro 2ではフランスのオーディオメーカーである「Devialet(デビアレ)」と協業して音質をチューニングしていたが、本機FreeBuds Pro 3にデビアレは不在。ファーウェイのみで音質を作り上げている。
では、FreeBuds Pro 3の実際の音質はどうなのか?
結論を簡潔に述べると、前モデルからの大きな変化は感じない。しかし、それは決して悪い意味ではなく、高いレベルを変わらず維持しているということだ。
ハイレゾ対応を活かすため、設定からLDACを有効化しAmazon Music UnlimitedでUltra HD対応の楽曲を再生してみた。
真っ先に感じるのは音のダイナミックさとキレのよさ。各楽器の音がしっかりと分離しておりまるで輪郭が手に取るように感じられる。
深く沈み込むような低音を体感できたかと思えばハイハットやシンバルなどの高音域が華やかに響く。低音を無駄にドンドン・ズンズン鳴らしたり、高音がシャカシャカしたりといったことはなく、非常に丁寧かつ上品なサウンドだ。
1粒1粒の音を感じられる一方で、ボーカルが埋もれずしっかりと前に出てきているのもポイント。
低音重視や高音重視などではなく全体としてニュートラルな雰囲気で、オリジナルの雰囲気を大切にしている印象を受けた。
なお、FreeBuds Pro 3は耳の形や装着状態に応じて音質を自動的に調節するアダプティブEQにも対応している。
また、AI Lifeアプリを使えば低音強調・高音強調・音声・交響曲・HiFiライブなどの音響効果を適用可能。
FreeBuds Pro 3のよさを活かしつつ自分好みの音質や雰囲気に近づけられる。
驚愕の通話品質
FreeBuds Pro 3で最も衝撃を受けたのは、通話時の音質だ。特に、マイクのノイズリダクション性能が意味不明なレベルで高い。
実際にFreeBuds Pro 3で通話したりWeb会議に参加したりしたほか、マイクの音声を記録して聞き直したりもしてみたが、誇張ではなくノイズが完全と言ってもいい水準で打ち消されている。
エアコンやパソコンのファンのほか、炊飯器や電子レンジ、隣のキッチンで炒め物をしているときの音はまず聞こえなかった。
また、街中にある広場のような場所でも通話を試してみたが、ノイズリダクションの影響による多少の歪みのようなものは感じたもののノイズそのものはほとんど聞こえない。
ファーウェイによると、FreeBuds Pro 3には通常のマイクのほか骨伝導VPUセンサーが耳に密着するように搭載されている。
また、マルチチャネルのディープニューラルネットワークノイズキャンセリング(DNN)アルゴリズムにより高い精度でノイズを識別し打ち消し、集音能力が約2.5倍向上しているとのことだが、2.5倍というのは実際に体感・実感できる数値だと感じた。
「クリアな通話ができるイヤホンのおすすめある?」と聞かれれば、筆者は間違いなくFreeBuds Pro 3を推す。それぐらい衝撃を受けた。
ノイズキャンセリングと外音取り込み
FreeBuds Pro 3のノイズキャンセリングについても検証してみた。
搭載されているマイクは、フィードバックマイクが1基、フィードフォワードマイクが2基のトリプル構成。
AI Lifeアプリを使うとウルトラ・標準・くつろぎの3段階のノイズキャンセルレベルを選択できるほか、周囲の騒音にあわせて自動的に最適な設定を適用する「ダイナミック」モードも利用できる。
ノイズキャンセリングの効果は非常に高く、エアコンやPCのファンはほぼ聞こえない。キーボードをタイピングするときのカチャカチャ音は貫通するものの、ある程度は軽減される印象だった。
場所を屋外に移して再度検証してみたところ、電車の「ゴォー」という走行音はかなりの割合を打ち消すことができていた。
一方で、先ほどのキーボードの例のような高い音についてはやや苦手で、軽減はできるものの低音ほどではない。
全体的にノイズの打ち消し方が自然で閉塞感や圧迫感が少なく、ノイズキャンセリング特有の詰まった感覚が苦手な方でも比較的使いやすいのではないかと感じた。
FreeBuds Pro 3には外部音取り込み機能も搭載されている。
外部音取り込みとは、周囲の音をマイクで拾い増幅させて耳に届ける機能のこと。イヤーピースで耳を塞いでしまうFreeBuds Pro 3を、屋外でも安全に使うためには欠かせない機能だ。
マイクで拾った音を流すという特性上、外部音取り込みによる音はザラついた機械的な音になりやすい。
しかし、FreeBuds Pro 3の外部音取り込みは、イヤホンを通している感覚を忘れてしまうほどナチュラルで違和感がない。
付け心地が安定しておりIP54に準拠した耐水耐塵性能も有しているので、ウォーキングや軽いランニングのお供としてもおすすめできる。
電池持ち
公式サイトのスペックシートによると、FreeBuds Pro 3はノイズキャンセリングオフの状態で約6.5時間、ノイズキャンセリングオンの状態で約4.5時間連続で使用できるとのこと。
実際にノイズキャンセリングオン・オフ両方の状態でFreeBuds Pro 3を使用し、バッテリーがゼロになるまでの時間を計測して電池持ちを検証した。
- 接続デバイス:Galaxy S23 Ultra
- 使用アプリ:Amazon Music
- バッテリー確認アプリ:AI Life
- コーデック:LDAC(再生する曲は全てUltra HD)
経過時間 | ノイズキャンセリング:オン | ノイズキャンセリング:オフ |
---|---|---|
0分 | 100% | 100% |
1時間 | 86% | 88% |
2時間 | 62% | 70% |
3時間 | 35% | 51% |
4時間 | 7% | 32% |
4時間15分 | 0% | – |
5時間 | – | 16% |
6時間 | – | 0% |
結果は表の通りノイズキャンセリングオンの場合は約4時間、オフの場合は約6時間。
ノイズキャンセリングを有効にした状態で4時間というのは実用的な時間ではあるものの、少々物足りないのも事実。
FreeBuds Pro 2ではノイズキャンセリングを有効にした状態で5時間前後は安定して使用できていたので、微妙にバッテリー持ちが悪くなってしまっている。
ワイヤレス充電に対応
FreeBuds Pro 3のバッテリーケースは、底面にUSB Type-Cポートを搭載している。
Qi規格のワイヤレス充電(2W)もサポートしているので、互換性のあるワイヤレス充電器があれば置くだけでも充電可能。
Galaxyスマホに搭載されている、ワイヤレスバッテリー共有機能で充電できることも確認済みだ。
- イヤホン単体:55 mAh(最小値)
- 充電ケース:510 mAh(最小値)
- 有線充電:USB Type-C
- ワイヤレス充電:最大2 W
購入するなら公式ストアもチェック
HUAWEI FreeBuds Pro 3は、Amazonや楽天、Yahoo(PayPayモール)など定番ECサイトのほか、HUAWEIの公式サイトからも購入できる。
HUAWEIの公式サイトでは、セールが実施されていたり頻繁にクーポンが配られていたりなど、チェックしていると意外とお得なキャンペーンが多く実施されている。
HUAWEI公式サイトで開催されているセールや配布中のクーポンなどのお得情報は、以下のページで随時更新しているので、ぜひ定期的にチェックしてお得なタイミングでゲットするのに役立ててほしい。
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