ファーウェイから2022年7月28日に発売された新型の完全ワイヤレスイヤホン、FreeBuds Pro 2のレビューをお届けする。
FreeBuds Pro 2は、2020年11月に登場したFreeBuds Proの後継であり、FreeBudsシリーズのフラッグシップモデル。約1年半ぶりのモデルチェンジを果たしており、音質やANCなどさまざまな面がブラッシュアップされている。
本記事では、HUAWEI FreeBuds Pro 2を実際に使用し、ノイズキャンセリングや外音取り込み、音質とバッテリー持ちなどの機能・性能を詳しく評価しレビューする。購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
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結論:FreeBuds Pro 2のよい点とイマイチな点
最初に結論から。HUAWEI FreeBuds Pro 2を使って感じたよい点とイマイチな点を、簡潔にまとめてみた。
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デザイン:見たことあるけど質感はGood
まずは、FreeBuds Pro 2のデザインや質感といった外観を中心にレビューしていく。
FreeBuds Pro 2のカラーバリエーションは、シルバーブルー・シルバーフロスト・セラミックホワイトの3色。このうち、シルバーブルーのみAmazon.co.jp限定の販売となる。
シルバーフロストとシルバーブルーのFreeBuds Pro 2は、金属を思わせるマットで落ちついた質感のケースを採用している。
中のイヤホンは写真を撮影している筆者が映り込むほどピカピカの鏡面仕上げで、ケースとの対比が非常に美しい。特に、シルバーフロストはアルミやチタンに見間違えてもおかしくないほど高級感がある。
セラミックホワイトのFreeBuds Pro 2のケースを開けてみた様子がこちら。派手な印象だったシルバーフロストとシルバーブルーに対して、セラミックホワイトはシンプルな印象だ。
また、多くの人が同じ感想を持つはずなので先に述べておくと、AirPods Pro感が一番強いのもセラミックホワイトだろう。
背面には、3色共通でシルバーの光沢プレートを搭載。
プレートにはHUAWEIのロゴのほか、音質チューニングの面で協業したフランスのオーディオブランドであるDevialetのロゴもデザインされている。
このプレートデザインについて、FreeBuds 3の頃から感じていた些細な違和感がある。筆者はプレートの位置が「背面」である点にずっと何となく違和感を覚えていたのだが、読者のあなたはどうだろうか?
「背面」なので当然プレート部分はヒンジになっている。個人的にはこのプレートの部分からケースがパカっと開く方が自然な気がしてしまい、ちょっとだけモヤモヤすることがたまにある。
また、ワイヤレス充電するときも蓋の開く側を下にして置くスタイルにちょっとした違和感が。もちろん、使い勝手や性能に直接影響する部分ではないので全く問題はないのだが。
取り出したイヤホン本体はこちら。この手のタイプの完全ワイヤレスイヤホンとしては軸部分が短く、比較的スッキリとまとめられている。
特に、セラミックホワイトのイヤホンは光沢のあるメタリックな素材が軸を縁取っており、光をキラキラと反射して非常にスタイリッシュだ。
装着感:深く押し込まなくても蓋をするようにスポっとハマる
FreeBuds Pro 2は、イヤーピースを耳に入れて装着するカナル型の完全ワイヤレスイヤホン。最初から取り付けられている分を含めて、合計で3サイズのシリコン製イヤーピースも付属する。
形状は独自の楕円型なので、サードパーティのイヤーピースを使用したい場合は専用品が発売されるのを待つしかない。
イヤホン部分は、丸く膨らんだ曲線的な設計が特徴。この膨らみが耳の入り口にスポっとフィットするので、イヤーピースを奥まで押し込まなくて確かなホールド感を体験できる。
FreeBuds Pro 2のイヤーピースを奥まで押し込まずに固定できる設計は非常に秀逸で、装着するだけである程度の遮音性を確保しながらも耳への負担やストレスを軽減可能。もちろん、頭を振ったり走ったりしても脱落する心配はほとんどなく、安定感も優れている。
適合度テストで最適なサイズのイヤーピースを選ぶ
AI Lifeアプリから「イヤーピースの適合度テスト」を利用できる点もFreeBuds Pro 2の特徴だ。
テストを実行すると音楽が流れ、装着の向きやイヤーピースのサイズが合っていないと判断されると付け直しを促される。イヤホンをわざと浅く装着してテストしてみたところ位置を調節するようにアドバイスされたので、ある程度の精度はあるようだ。
なお、適合度テストで流れる音楽の音量はかなり大きいので注意。
ボリュームボタンを押したとき、推奨されている音量を超えていることを示す赤色でボリュームバーが表示されている。事前にボリュームを調節しても適合度テストを実行するたびにこの音量で音楽が流れるため、覚悟してテストを実行しよう。
音質:圧倒的情報量と艶やかな高音で上品な仕上がりに
FreeBuds Pro2の音質には、オリジナルへのリスペクトを感じる。
「ファーウェイは・FreeBudsは・デビアレはこの音!」といった押しつけがましさがなく、楽曲が持つサウンドを丁寧に描写している印象だ。
音響システムについて
スペックや構造について簡単に触れておくと、FreeBuds Pro 2は完全ワイヤレスイヤホンとしてはじめてと謳う平面振動板ドライバーを採用している。一般的にはグレードの高いヘッドホンに搭載されている構造であり、FreeBuds Pro 2においては高音域を担当しているとのことだ。
中低音域を担当する別のダイナミックドライバーも内蔵されているので、FreeBuds Pro 2のスタイルはデュアルドライバーということになる。
再生周波数帯域は14Hzから48kHzまでと広く、コーデックはSBC・AAC・LDACの3つに対応しているので、ワイヤレスながらハイレゾ相当の音質も体験可能だ。
また、音質に関してはフランスのオーディオメーカーである「Devialet」と協業しており、独自のチューニングが施されている。
また、マイクが外耳道内の音響状況を検出し、耳の形(外耳道)や装着状態に応じて音質を自動的に調節するアダプティブイヤーマッチング(AEM)EQにも対応。
また、音量に応じて高音・中音・低音のバランスを最適化するアダプティブボリューム(AVM)EQも搭載している。早い話が、普通に使っているだけでも細かく音質を調節してくれているということだ。
実際にサウンドをチェック
実際にFreeBuds Pro 2のサウンドをチェックしてみる。接続したスマートフォンはGalaxy Note20 Ultraで、コーデックはLDAC。Amazon Music UnlimitedからUltra HD対応の楽曲を再生してみた。
真っ先に気が付くのは、曲から感じられる圧倒的な情報量。芯の通ったベースラインや深く沈み込むスネアは心地よく、ハイハットやシンバルも音の粒子を追いかけられると錯覚するほどきめ細やかで存在感がある。
分離感や解像感が高く、どの音域・どの楽器の音も手に取るようにハッキリと感じられた。ボーカルの息遣いや背景で微かに聴こえるコーラスも、FreeBuds Pro 2から頭の中へ空気感と共に流れ込んでくる。
閉塞感の少ないイヤホンであるためか物理的にも空間を感じやすく、押し寄せるような迫力のある低域とクリアな中高音域により、メリハリのあるサウンドに仕上げられている印象だ。
また、個人的には特に中音域・高音域の繊細かつ艶やかなチューニングに惚れ惚れしてしまった。極端に強調されていないナチュラルな音ながら存在感があり、それでいて決して耳に刺さることもない。非常に上品な仕上がりと言える。
シリーズのなかではFreeBuds 3に傾向が似ており、女性ボーカルの曲とは特に相性がよいのでぜひ確かめてみてほしい。
遅延:多少あるけど改善可能
ワイヤレスイヤホンである以上、FreeBuds Pro 2も多少の遅延がある。YouTubeを見る程度であればあまり気にならないが、早口でまくし立てるタイプの配信者やFPSのようなゲームではハッキリと音のズレを感じてしまう。
画像は、オーディオテスターというアプリで音の遅延具合を検証した様子。数直線上を円が一定スピードで動いており、中央に達したときに音が鳴るので、聞こえてくる音と円の位置で大まかな遅延の程度がわかるというものだ。
スクリーンショットで表現しているため誤差はあるが、同アプリ上における通常時の遅延は約300~400ms。Ai Lifeアプリから「低オーディオ遅延」を有効にすると、約200ms前後まで遅延を抑えられた。
「低オーディオ遅延」を有効にしてもリズムゲームのような音が重要なゲームを快適にプレイするのは難しいが、一般的なゲームであれば気にならない程度までは改善できる。
ノイズコントロール
FreeBuds Pro 2は、ノイズキャンセリングと外音取り込みに対応している。
ノイズキャンセリングと外音取り込みは、FreeBuds Pro 2をペアリングした状態でAI Lifeアプリからオン・オフ可能だ。また、アプリから設定すると軸部分を数秒間つまむことでもノイズキャンセリング ⇒ 両方オフ ⇒ 外音取り込み(アウェアネス)を切り替えられる。
ノイズキャンセリング:強さと優しさを兼ね備えた丁寧な打ち消し効果
FreeBuds Pro 2のノイズキャンセリングには、うるさい環境で強力にノイズをカットできる「ウルトラ」、ノイズの少ない環境に適した「くつろぎ」、2つの中間にあたる「標準」の3モードが用意されている。
周囲の状況に合わせて各モードを自動で適用してくれる「ダイナミック」も用意されているので、基本的には「ダイナミック」に設定しておけばモードを気にする必要はない。
さて、実際にはどれだけのノイズを打ち消せるのか?
まずエアコンを起動している室内でFreeBuds Pro 2のノイズキャンセリングを有効にしてみたところ、エアコンの「ゴォー」という音はほぼ聞こえなくなった。
筆者のデスクには手が届く範囲に卓上扇風機も設置してあるのだが、扇風機の動作音も8割程度カットされており、動作していることはわかるものの聞こえる音が「ブオー」から「サー」へと変化する。
人の多いカフェで使用すると、自宅では「くつろぎ」だったノイズキャンセリングのモードが自動で「標準」や「ウルトラ」に変わっていた。
人混みでもノイズキャンセリングの効果は健在で、自分の周囲だけボリュームがスッと下がったような感覚を体験できる。
特筆すべき点は、ノイズの打ち消し方が非常に自然で優しいこと。一定ラインを超えるノイズをバッサリ切り落とすような形ではなく、目の細かい網でノイズをふるい落としているようなイメージが思い浮かぶ。
こんな表現をイヤホンのレビューで使うとは思わなかったが、強さと優しさを兼ね備えているノイズキャンセリングと言えるだろう。ノイズキャンセリング特有の圧迫感や閉塞感が苦手な方でも、比較的に使いやすいのではないかと思う。
外音取り込み(アウェアネス):めちゃめちゃ自然
ノイズキャンセリングと同じく、FreeBuds Pro 2の外部音取り込み機能も非常に自然だ。
外部音取り込みとは、周囲の音をマイクで拾い増幅させて耳に届ける機能のこと。イヤーピースで耳を塞いでしまうFreeBuds Pro 2を、屋外でも安全に使うためには欠かせない機能だ。
マイクで拾った音を流すという特性上、外部音取り込みによる音はザラついた機械的な音になりやすい。
しかし、FreeBuds Pro 2の外部音取り込みは、イヤホンを通している感覚を忘れてしまうほどナチュラルで違和感がない。実際、初めて外でFreeBuds Pro 2を使おうとしたとき、外部音取り込みが有効になっていることに気が付いていなかったほどだ。
付け心地が安定しておりIP54に準拠した耐水耐塵性能も有しているので、ウォーキングや軽いランニングのお供としてもおすすめできる。
操作性:わかりにくく快適ではない
FreeBuds Pro 2は、軸部分をピンチ(つまむ)したりスワイプしたりすることで一定の操作が行える。割り当てられている機能は以下の通りだ。
1回ピンチ | 2回ピンチ | 3回ピンチ | 上下にスワイプ |
---|---|---|---|
再生/一時停止 | 次の曲 | 前の曲 | 音量を調節 |
電話に応答/終了 | 着信を拒否 | – | – |
ピンチして維持、つまり1~2秒程度長くつまむ動作には、ノイズコントロール・音声アシスタントの起動・曲を識別から選んで適用できる。
なお、ノイズコントロールにはノイズキャンセリング・オフ・アウェアネスの3つから好みの組み合わせを選択可能。
例えば、ノイズキャンセリングのみを選択すればイヤホンをつまむ度にノイズキャンセリングをオン・オフでき、3種類全てを選ぶとつまむ度にノイズキャンセリング ⇒ オフ ⇒ アウェアネスをグルグルと循環できる。
いずれの操作にも「なし」の選択肢が用意されているので、不要だと思う機能は無効化も可能。
残念ながら筆者にとってこのピンチ(つまむ)という動作はやや癖が強く、およそ1週間ほぼ毎日使った今でもなかなか慣れていない。
一応疑似的なフィードバック機構も内蔵されており、しっかりとピンチできると「カッ・チッ」と2段階で押し込んだ感覚を得られる。しかしスティックのどの部分をつまめばいいのかの判定がシビアで、スムーズに操作できるときとそうでないときがある、というのが現状だ。
少しだけフォローしておくと、タッチ操作のように付け外しの際やふとした拍子に指がイヤホンに触れてしまい暴発させてしまうことがない点は助かっている。
もうしばらく使用してみて、体に動作を覚え込ませる必要がありそうだ。
バッテリー:ノイズキャンセリング有効時でも長持ち
公式サイトのスペックシートによると、FreeBuds Pro 2はノイズキャンセリングオフの状態で約6.5時間、ノイズキャンセリングオンの状態で約4時間連続で使用できるとのこと。
実際にノイズキャンセリングオン・オフ両方の状態でFreeBuds Pro 2を使用し、バッテリーがゼロになるまでの時間を計測して電池持ちを検証した。
- 接続デバイス:Galaxy Note20 Ultra
- 使用アプリ:Amazon Music
- バッテリー確認アプリ:AI Life
- コーデック:LDAC(再生する曲は全てUltra HD)
経過時間 | ノイズキャンセリング:オン | ノイズキャンセリング:オフ |
---|---|---|
0分 | 100% | 100% |
1時間 | 左:93% 右:88% | 左:95% 右:91% |
2時間 | 左:78% 右:74% | 左:76% 右:72% |
3時間 | 左:62% 右:55% | 左:61% 右:52% |
4時間 | 左:40% 右:30% | 左:36% 右:22% |
5時間 | 左:13% 右:4% | 左:13% 右:3% |
5時間30分 | 0% | – |
6時間 | – | 0% |
結果は表の通りノイズキャンセリングオンの場合は約5時間30分、オフの場合は約6時間。念のために数回検証を繰り返してみたが結果に変化はなく、ノイズキャンセリングを有効にしても無効にしても5時間は安定して使用できた。
また、筆者の環境では必ず右耳側のイヤホンの方が約10%前後電池の減るペースが早いことも判明している。仕様なのか癖のようなものなのかは不明だが、右耳の音楽が途切れても左耳だけで音楽を聴くことはできた。
5~6時間という電池持ちを長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれではあるものの、個人的には満足している。
特に、ノイズキャンセリングを有効にしても無効にしてもバッテリーの減るペースがほとんど変わらない点は非常に扱いやすく、「長く使いたいからノイズキャンセリング切っておこうかな……」という気遣いをしなくていいのでストレスが少ない。
ワイヤレス充電も利用可能
FreeBuds Pro 2のバッテリーケースは、底面にUSB Type-Cポートを搭載している。スペックシートによると、5V/0.5A以上の有線充電が可能だ。
また、Qi規格のワイヤレス充電(2W)もサポートしているので、互換性のあるワイヤレス充電器があれば置くだけでも充電できる。
Galaxyスマホに搭載されている、ワイヤレスバッテリー共有機能で充電できることも確認済みだ。
他のFreeBudsシリーズと比較
当サイトでは、これまでに登場したFreeBudsシリーズのほとんどをレビューしてきている。
音質やノイズキャンセリング・外音取り込みの効果、バッテリー持ちなどのデータは以下の記事にまとめてあるので別のFreeBudsとFreeBuds Pro 2を比較したい方はチェックしてみてほしい。
参考HUAWEIのワイヤレスイヤホンFreeBudsを比較。おすすめはどのモデル?
購入するなら公式ストアのチェックも忘れずに
「HUAWEI FreeBuds Pro 2」は、Amazonや楽天、Yahoo(PayPayモール)など定番ECサイトのほか、公式オンラインストアであるHUAWEI STORE からも購入できる。
一方、発表時点で量販店での取り扱いはe☆イヤホンのみとなっているので、店頭での試聴は難しい。
ファーウェイの公式ストアは、セールが実施されていたり頻繁にクーポンが配られていたりなど、チェックしていると意外とお得なキャンペーンが多く実施されている。HUAWEI FreeBuds Pro 2をお得に購入したい場合は、Amazonや楽天などの定番ショップに加えてぜひ公式ストアもチェックしてみてほしい。
市場想定価格は、税込26,800円だ。
参考HUAWEI公式サイトのセール・クーポン情報まとめ。安く買う方法をチェック
HUAWEI FreeBuds Pro 2のスペック
Bluetooth規格 | BT 5.2 | マルチポイント接続 | 対応 |
---|---|---|---|
対応コーデック | SBC / AAC / LDAC | 電池容量 | 各イヤホン:55 mAh (min.) 充電ケース:580 mAh (min.) |
ドライバー | 11 mmダイナミックドライバー マイクロ平面振動板ドライバー | 充電 | USB-Type-C ワイヤレス充電(Qi規格・2W) |
耐水 | IP54(イヤホンのみ) | 専用アプリ | HUAWEI AI Life |
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