4月20日に発売された新型完全ワイヤレスイヤホン「HUAWEI FreeBuds 4i」を、ファーウェイ・ジャパン広報よりお借りしていたのでレビューをお届けしよう。
「FreeBuds 4i」は、2020年6月に登場した「FreeBuds 3i」の後継モデル。ファーウェイの完全ワイヤレスイヤホンFreeBudsシリーズ全体ではエントリーモデルに位置し、価格は税込で1万円を下回る。
エントリーモデルながら、アクティブノイズキャンセリングや外部音取り込みといった機能に対応している点も見逃せない。
今回、約2週間程度「FreeBuds 4i」を試すことができた。本レビュー記事では使用感や装着感から、アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みの効果、音質とバッテリー持ちなど、使ってみた感想を包み隠さずお伝えしよう。
外観・デザイン
まずはFreeBuds 4iのバッテリーケースとイヤホン、それぞれの外観とデザインをチェックしていく。
FreeBuds 4iのカラーバリエーションは、セラミックホワイト・カーボンブラック・レッドの3色で、今回お借りしたカラーはセラミックホワイト。FreeBuds3や先代のFreeBuds 3iと同様、ツルツルとした光沢のある質感だ。
ケースは見ての通り楕円形なので、デスク上では寝かせておくことになるだろう。個人的な好みではあるが、FreeBuds 3iのデスク上でもしっかりと立てて置ける箱型が使いやすかったと感じる。
ケースのサイズは幅61.8×高さ48.0×奥行き27.5mmで、重量は約36.5g。手の平にすっぽりと収まるサイズで、持ち運びは非常に快適だ。
バッテリーケース | イヤホン単体 | |
---|---|---|
サイズ | 幅61.8×高さ48.0×奥行き27.5mm | 幅21×高さ37.5×奥行き23.9mm |
重量 | 約36.5g | 約5.5 g |
ケースの正面にはインジケーターを搭載。色や点滅により、バッテリー残量やペアリングの状態を把握できる。側面にはペアリング用のボタン、底面には充電用のType-Cポートも搭載している。
なお、充電方法は有線のみで、ワイヤレス充電には対応していない。
ケースを開いた様子がこちら。蓋にはマグネットによる吸着ギミックが内蔵されているため、わずかな力で開けられるうえに閉じるときは「パチッ」と軽快な音を立ててくれる。
一方で、イヤホンが外側を向いて収納されているため、取り出してから耳に装着する前に回転させる必要がある点はやや不満。また、指先のコンディションにもよるが、ケースから飛び出している部分に明確な突起がなくツルツルしているため、取り出しやすいとは言えない設計だった。
蓋を開けたあと、ケース側面にある丸いボタンを長押しするとペアリングモードになり、スマートフォンやタブレットと接続ができる。
EMUI10以上のソフトウェアを搭載したファーウェイスマートフォンやタブレットであれば、ペアリングモードのFreeBuds 4iを認識した時点でポップアップが表示されるため、Bluetooth設定を開かなくてもワンタッチでペアリング可能。どのデバイスであっても、一度ペアリングしてしまえば2回目以降はケースを開けるだけでペアリングされる。
イヤホンのデザインは、ハウジングから軸が伸びるスタイル。好みが分かれるデザインではあるが、FreeBuds 4iを含めて未だに多くの完全ワイヤレスイヤホンに採用されているということは、それだけ優れているということなのだろう。
Freebuds 3iから引き続きカナル型を採用。デフォルトで装着されている分を含めて、S・M・Lの合計3サイズのイヤーピースが付属するので、耳の形に合わせてある程度装着感の調節ができる。
軸の根本と先端にそれぞれ1基ずつ、合計2基のデュアルマイクを搭載している点も特徴。アクティブノイズキャンセリングや通話ノイズキャンセリング、外部音取り込みなどの機能に活用されている。
詳しくは後述するが、特にFreeBuds 4iの通話ノイズキャンセリングはハイエンドモデルを上回ると言ってもいいクオリティだった。
装着感
前述の通り、FreeBuds 4iはカナル型のイヤホンだ。耳にしっかりと押し込むようにして装着するため、装着感が気になる方も多いことだろう。
結論から述べると、FreeBuds 4iの装着感は非常に良好だった。耳が痛くなったり、どこかに違和感を覚えたりするようなことはなく、文句なしに快適と言っていい仕上がりだ。
FreeBuds 4iを実際に装着している様子がこちら。軸が耳から大きく飛び出すスタイルはFreeBuds 3やFreeBuds 3iと共通しており、完全ワイヤレスイヤホンが普及した今となっては特に気になるようなデザインではないだろう。
軽いランニングや筋トレ、階段の上り下りなど頭に振動が伝わる動作も試してみたがビクともせず、普段の生活で耳からこぼれ落ちる心配はほとんどなさそうだ。
イヤーピースはS・M・Lの3サイズが同梱されていると述べたが、筆者の場合はデフォルトの状態でピッタリと耳にフィットした。ほとんどの方は、この3つのサイズがあれば問題なく装着できるはずだ。
カナル型である以上、気温の高い時期に長時間付けていると、どうしても蒸れてきたり暑く感じたりすることは避けられない。しかし、そういった形状の特性を除けば、ストレスなく使用できるクオリティだった。
音質
続いては気になる音質について。FreeBuds 4iが対応しているコーデックは公表されていないが、公式サイトでは一部AACモードで接続されている記載があるので、SBCとAACの2種類だと予想される。
構造としては、10mmのダイナミックドライバーと高感度ポリマー振動板を内蔵。クリアなボーカルや迫力のある低音を実現しているとのことだ。
実際に試してみた感想としては、低音域・中音域・高音域いずれも過度に強調されておらず、比較的フラットな印象。ズンズンと響くような低音は感じられないものの音が軽くならず、全体的なバランスに優れている。
ボーカルを始めとして全体的に音の抜けがよく、余韻が自然で気持ち良い。個々の音の輪郭がハッキリしている分、やや乾いた音というイメージも抱いた。音の広がりや奥行きもしっかりと感じられ、十分にクリア。税込10,000円以下のワイヤレスイヤホンの音としてはほとんど不満がない、十分すぎる仕上がりだろう。
デュアルマイクとビームフォーミングの実力
度重なる緊急事態宣言の影響もあり、仕事や学校がオンライン中心になった方も少ないはずだ。そういった方にとっては、FreeBuds 4iを使用した通話時のマイク性能も気になるところだろう。
結論を簡潔に述べると、FreeBuds 4iのマイク性能は非常に優れていた。30,000円前後のハイエンドイヤホンにも引けを取らず、今回FreeBuds 4iを試したなかで筆者が最も気に入った部分でもある。
2台のスマートフォンを用意して通話状態にして、FreeBuds 4iを通して聞こえる声の品質をチェックしてみた。また、実際に通話する機会もあったので、相手からの声がどのように聞こえるのかもチェックできた。
まず、相手の声は問題なくハッキリと聞こえる。もちろん、これは相手の状況にも左右されるため一概にFreeBuds 4iの実力とは言い切れないが、聞こえてくる音声が明瞭だったことは事実だ。
次にFreeBuds 4iを通した音声だが、これが非常にクリアだった。デュアルマイクを利用した通話ノイズキャンセリングと独自のビームフォーミングの効果なのか、後ろでエアコンが動作していようがトラックが走っていようが、全く関係なく音声だけがピンポイントに捉えられていたのには驚きだ。
エントリーモデルではあるものの、通話時のマイク性能の高さにはスマートフォンメーカーとしてのこだわりやプライドが感じられる。
アクティブノイズキャンセリング
低価格ながらアクティブノイズキャンセリング機能を搭載している点も、FreeBuds 4iの特徴だ。カナル型なので装着した時点で一定の遮音効果は感じられるが、アクティブノイズキャンセリングを有効にするとより一層の静寂を実現できる。
実際にアクティブノイズキャンセリングを有効にしてみたところ、その瞬間に周囲のボリュームがパッと下げられたような感覚に陥る。ノイズキャンセリングの強さとしては、ハイエンドモデルのように完全にノイズを消せるほどではないものの、7~8割程度のカットは可能なように感じた。
近くの国道を走る車やパソコンのファン、風の音などあらゆる雑音をカットできるが、主に低音域のノイズを除去しているような印象を受けた。
街中で使用すれば、たちまち音楽だけの世界に没頭できる。音楽を流さず耳栓のように使用することもできるので、勉強や読書のお供としても便利に活用できるはずだ。
FreeBuds 3iでは、比較的静かな場所でアクティブノイズキャンセリングを有効にすると、「サー」というホワイトノイズが気になった。しかし、FreeBuds 4iではしっかりと改善されており、ホワイトノイズが入ることはほとんどなかった。
「価格が安いからアクティブノイズキャンセリングもおまけ程度でしょ」などと侮ってはいけないクオリティに仕上がっている。
外部音取り込み
装着するだけである程度周囲の音を遮ってしまうFreeBuds 4iは、車通りの多い通りなどでそのまま使うと危険なシーンも少なくない。そこで活用したい機能が、外部音取り込みだ。
外部音取り込みを有効にすると、アクティブノイズキャンセリングとは逆にイヤホンを装着した状態でも周囲の音がしっかりと耳に届く。外で歩いているときはもちろん、カフェで店員さんを呼んだり、ちょっとコンビニに寄って会計したりなど、役に立つシーンはいくつもある。
FreeBuds 3iではホワイトノイズが多くてやや使いにくかった機能だが、FreeBuds 4iでは気になるノイズはほとんどなく、非常にクリアに音を取り込める。取り込める音量は大きいとは言えず音量の調節などにも対応はしていないが、その分耳に刺さるような音はなく、非常に自然だ。
価格帯を考慮すれば、搭載されているだけでもありがたい機能。十分なクオリティに進化したと言えるだろう。
電池持ち
公式情報によると、FreeBuds 4iは、イヤホンに55mAh、ケースに215mAhのバッテリーが内蔵されている。音楽再生時間は最大約10時間で、アクティブノイズキャンセリングを有効にしても約7.5時間とのことだ。
実際にFreeBuds 4iをAndroidスマートフォンとペアリングし、Spotifyの音楽をひたすら再生して電池持ちを検証してみた。バッテリー残量はHUAWEI AI Lifeから確認し、左右のイヤホンで残量に差がある場合は、少ない方の数値で計測している。
経過時間 | バッテリー残量(ANCオン) | バッテリー残量(ANCオフ) |
---|---|---|
0分 | 100% | 100% |
1時間 | 90% | 95% |
2時間 | 80% | 90% |
3時間 | 65% | 80% |
4時間 | 55% | 70% |
5時間 | 35% | 60% |
6時間 | 20% | 50% |
7時間 | 10% | 45% |
7時間45分 | 0% | 40% |
8時間 | – | 35% |
9時間 | – | 20% |
10時間 | – | 10% |
11時間15分 | – | 0% |
FreeBuds 4iの電池持ち検証結果はこちらの表の通り。通常で約11時間、アクティブノイズキャンセリングを有効にした状態でも8時間と、電池持ちはかなり優れている。
レビューとして掲載していないモノも含めて、これまで数々の完全ワイヤレスイヤホンを試してきたが、アクティブノイズキャンセリングを有効にした状態で約8時間バッテリーが持続するというのは初めての経験だった。
そもそも、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載していなくても6時間前後が限界というモデルも多く、FreeBuds 4iの電池持ちはエントリーモデルだけではなく、完全ワイヤレスイヤホン全体で見ても間違いなく頭一つ抜けている。
また、FreeBuds 4iは約10分間の充電で約4時間の連続音楽再生が可能な、急速充電にも対応している。上記検証でバッテリーが0%になったFreeBuds 4iをケースに戻して10分後に再度ペアリングしてみたところ、バッテリーは60%まで回復していた。
検証結果を基にすると、60%であればアクティブノイズキャンセリング有効だと約4時間、無効だと約5~6時間程度は再生できるので、概ね公式情報通りの結果と言える。
アプリでタッチ操作をカスタマイズ
FreeBuds 4iは、タッチ操作にも対応している。タッチによる機能は、HUAWEI AI Lifeアプリから比較的自由なカスタマイズが可能だ。
なお、執筆時点でGoogle Playに掲載されているHUAWEI AI Lifeアプリは、バージョンが古いためかFreeBuds 4iを認識しなかった。購入時に付属するクイックスタートガイド内のQRコードを読み込み、公式サイトからapkファイルをインストールすると、FreeBuds 4iに対応した最新版のアプリを入手できる。
FreeBuds 4iのタッチ操作は「ショートカット」という名称になっており、ダブルタップと長押しをトリガーとして左右のイヤホンそれぞれに機能を割り当てられる。誤操作しやすいシングルタップに機能がない点は、個人的に嬉しいポイントだ。
ダブルタップに割り当てられる機能は、再生 / 一時停止・次の曲・前の曲・音声アシスタントを起動・なしの5つ。長押しに割り当てられるのはノイズ制御のみで、ノイズキャンセリング。外部音取り込み・オフの3パターンを自由に設定できる。
しばらく使った結果、筆者は最終的に「左右のダブルタップに再生 / 一時停止」「長押しにノイズキャンセリングと外部音取り込み」というカスタマイズに落ち着いた。
音量の調節こそできないものの、比較的カスタマイズの自由度は高いと言える。
まとめ。FreeBuds 4iは「低価格かつノイキャン」を満たす有力な選択肢
完全ワイヤレスイヤホンは、ここ数年ですっかりと普及した。さらに、黎明期には2~3万円台が中心で手が出しにくかったアクティブノイズキャンセリング搭載モデルも、ここ数年では随分と値下がりし、身近な存在になってきたと思う。
そんななか登場したFreeBuds 4iも、アクティブノイズキャンセリングを搭載したイヤホンとしては非常に低価格。それでいて、音質もアクティブノイズキャンセリングの効果も十分で、バッテリーに関しては優秀といっていい仕上がりだ。
「詳しいことはわからない・こだわらないけど、ノイズキャンセリングが使える完全ワイヤレスイヤホンが欲しい」という要望に対する回答としては、性能面・価格面の両方を考慮したうえで限りなく正解に近いモデルではないかと思う。
FreeBuds 4iは、4月20日より発売されている。特に、公式オンラインストアである「HUAWEI STORE」では、お得なクーポンも利用可能だ。興味のある方は、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
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