HUAWEI MatePad Pro レビュー。久々に登場したハイスぺAndroidタブレットの使い心地は? | プラスガジェット
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HUAWEI MatePad Pro レビュー。日本に久々登場したハイスぺAndroidタブレットの使い心地は?

4.0

ファーウェイ最新のAndroidタブレットHUAWEI MatePad Pro」を、ファーウェイ・ジャパン広報よりお借りしていましたのでレビューをお届けします。

ファーウェイ・ジャパンは6月2日に「MatePad Pro」「MatePad」「MatePad T8」の3つのAndroidタブレットを発表。本製品「MatePad Pro」は最上位に当たるモデルで、専用のスタイラスペン「M-Pencil」とキーボードカバー「スマートワイヤレスキーボード」に対応しています。

ここ数年はスマートフォンの大型化の影響もあってか、タブレット市場はAppleのiPad以外は以前ほどの勢いがなく、本製品は久々に日本市場に登場したハイスペックなAndroidタブレットとなります。

本記事では、「MatePad Pro」に加え「M-Pencil」と「スマートワイヤレスキーボード」についても使い心地を詳細にレビューしていきます。

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スペック

「MatePad Pro」の主な仕様は以下の通り。比較として「MatePad」「MatePad T8」のスペックも掲載しておきます。

  MatePad Pro MatePad MatePad T8
OS Android 10(EMUI 10.1) Android 10(EMUI 10.1) Android 10(EMUI 10.1)
ディスプレイ 10.8インチIPS液晶(2,560×1,600ドット) 10.4インチIPS液晶(2,000×1,200ドット) 8.0インチ液晶(1,280×800ドット)
プロセッサ HUAWEI Kirin 990 HUAWEI Kirin 810 MTK MT8768
メモリ / ストレージ 6GB / 128GB 3GB / 32GB 2GB / 16GB
背面カメラ 約1300万画素 800万画素 500万画素
インカメラ 800万画素 800万画素 200万画素
バッテリー 約7,250 mAh 約7,250 mAh 約5,100 mAh
急速充電 有線:22.5 W(最大40W)
ワイヤレス(Qi):最大15W
7.5Wのワイヤレス給電に対応
モバイル通信 非対応 FDD-LTE:Band 1 / 2 / 3 / 5 / 7 / 8 / 18 / 19 / 20 / 26 / 28
TDD-LTE:Band 38 / 40 / 41
W-CDMA:Band 1 / 2 / 5 / 6 / 8 / 19
GSM:850 / 900 / 1800 / 1900 MHz
非対応
ネットワーク 802.11ac対応、Bluetooth 5.1 802.11ac対応、Bluetooth 5.1 802.11ac対応、Bluetooth 5.0
カラー ミッドナイトグレー ミッドナイトグレー ディープシーブルー

プロセッサにはハイエンドのKirin 990を採用し、6GBのメモリと128GBのストレージを搭載。近年では貴重な存在となるハイスペックなAndroidタブレットです。

海外では5Gに対応した「MatePad Pro 5G」が登場していますが、本製品「MatePad Pro」はモバイル通信には対応しておらず、Wi-Fiのみ。上記3機種のなかでは「MatePad」のみLTEモデルがラインナップされています。

インターフェースはUSB Type-Cポートのほか、NMカードスロットを搭載。NMカードスロットの開閉には多くのスマートフォンのようにイジェクトピンが必要となるため、頻繁に出し入れする使い方には向いていません。

スピーカーは上下2箇所ずつのクアッドスピーカー。文章で伝えることができないのがもったいないと感じるくらいには音量が大きく、音質も良好です。

ワイヤレス充電とバッテリー持ち

バッテリーは大容量の7,250mAh。付属の充電器とケーブルを用いることで最大22.5W、別途充電器とケーブルを購入すれば最大40Wの急速充電が可能

さらに最大15WのQiワイヤレス充電に対応しているほか、本体のバッテリーを別のデバイスに無線でシェアできるワイヤレス給電機能(最大7.5W)もタブレットとしては世界で初めて搭載しています。

MatePad proのワイヤレス給電でFreeBuds 3に充電している様子
7.5Wのワイヤレス給電に対応

元々はファーウェイ製スマートフォンに搭載されていたワイヤレス給電ですが、物理的なサイズが大きく、上記画像のようにほかのデバイスを乗せても安定感があることに加えバッテリーも容量が大きいため、非常にタブレット向きな機能だと感じます。

バッテリー持ちについては、YouTubeで1080p / 60fpsの動画を再生させ続けたところ、約13時間と少しで0%になりました。公式サイトではフル充電で約12時間の稼働とされているので、かなり良好な結果と言えます。

また、本製品もほかの最新ファーウェイデバイス同様にGMSに非対応。そのためアプリは、独自の「AppGallery」やAmazonアプリストアを利用してインストールします。

広々とした美しい10.8インチディスプレイ搭載

まずはデザインやディスプレイをチェックしていきましょう。「MatePad Pro」のディスプレイは10.8インチの液晶。左上にパンチホール型のインカメラを備えます。

インカメラは顔認証に対応。指紋認証に対応していない本製品において唯一の生体認証となります。認証速度は高速で、気が付かないうちにロックが解除されていることがほとんどでした。

MatePad Proのディスプレイ

昨今のスマートフォンはベゼルのスペースを極力削ることでサイズを維持しながら画面の大型化を図っていますが、「MatePad Pro」もその流れを汲み、ベゼルの幅を約4.9 mmまで抑えつつホームボタンも設けないことでベゼルレス化を実現。表示領域がかなり広々としていると同時に、4つの角が丸みを帯びているためかディスプレイとボディとの一体感も感じられます。

ちなみに、画面占有率は約90%。広大な作業スペースを贅沢に活用することで、ウェブブラウジングやSNS、文章の作成などの作業も快適に行えます。

解像度は2,560×1,600、つまりアスペクト比が16:10のため、一般的な16:9よりも横向きにした場合に使える縦方向のスペースが多く、これが個人的にはかなり使いやすかったポイント。一般的な16:9の動画を再生すると上下に黒帯が発生してしまうデメリットもありますが、「MatePad Pro」の場合黒帯のおかげで動画にパンチホールが重ならないという副次的なメリットも生じています

また、液晶ディスプレイではありますがコントラスト比が1500:1、輝度540nit、色域はDCI-P3対応とハイスペックで、表示は非常に明るく鮮やか。写真の編集や閲覧、動画視聴時には大いに力を発揮してくれます。

背面のデザイン

背面はカメラ以外がフラットな形状。ミッドナイトグレーという名称のカラーですが、グレーよりもネイビーに近く、やや大人っぽい印象の落ち着いたカラーです。

手触りはサラサラとしていて、昨今のスマートフォンのように指紋に悩まされる心配はほとんどありません。特段これといって特筆する点もないシンプルなデザインですが、基本的には後述する「スマートワイヤレスキーボード」を装着して利用していたので背面を見る機会はあまりありませんでした。

電源ボタンと音量ボタン、パンチホール型のインカメラ

短辺側の側面に電源ボタン、パンチホール型のインカメラを回り込むようにして長辺側に音量ボタンが配置。音量ボタンと反対の側面にNMカードスロットが配置され、両側の短辺に2基ずつスピーカーが搭載されています。

片手で保持できるサイズと重量
本体サイズ 約246 mm × 約159 mm × 約7.2 mm
重量 約460 g

さすがに小型とは言えないサイズではあるものの重量は控え目なため、片手で保持するのは意外と楽。

ベゼルレス化によって画面端に誤って触れることが多くなることを危惧していましたが、意外とこれが発生することはありませんでした。ベゼルレスのスマートフォンはその多くがエッジが湾曲したデザインを採用していますが、「MatePad Pro」はディスプレイが完全にフラットであるためと思われます。

高い処理性能とマルチタスクでPCの領域へ

続いてパフォーマンスと機能についてチェックしていきましょう。「MatePad Pro」は、充実したマルチタスク機能と高い処理性能の組み合わせによって、ノートPCの領域にまで踏み込むタブレットとなっています。

Antutuベンチマークスコア
左:通常時 右:パフォーマンスモード有効時

Google Playでは配信が停止されているAntutuベンチマークですが、ファーウェイ独自の「AppGallery」には並んでいたので、同アプリでベンチマークを測定してみた結果がこちらです。

左の「451653」が通常時に測定したスコア、右の「490738」がバッテリー設定からパフォーマンスモード有効にした場合のスコア。概ねSnapdragon 855やSnapdragon 855+を搭載したスマートフォンとほぼ同等のスコアを示しており、同チップの5G版を搭載するHUAWEI P40 Pro 5GのAntutuベンチマークスコアとも横並び。

数値そのものは目安のひとつですが、実際に使ってみた感触としては、3Dゲームや画像・動画の編集などの重たい処理もスムーズにこなせます。特に「MatePad Pro」では、「M-Pencil」を用いたいくつものレイヤーを扱うイラスト制作の際にもこのパフォーマンスを活かすことができそうです。

画面分割をしている様子

この有り余る性能を消費する手段として、マルチタスク機能は積極的に使っていきたいところ。上記画像は、ウェブブラウザのVivaldiとプリインストールされているメールアプリを2分割した画面に表示している様子ですが、「MatePad Pro」ではこれに加えてアプリをもう1つフローティングさせ、合計3つのアプリを同時に表示させることが可能です。

Google Playからアプリをインストールできない関係上、SNSや動画配信サービス、YouTubeなどの閲覧にウェブブラウザを使用する機会が多いかと思います。例えばYouTubeを見ながら調べものをしたい、となったときに、ブラウザでYouTubeを開いてしまうと同じアプリを2つ起動はできないため、ブラウザでの調べものができなくなってしまう、というシーンが予想されます。

こういった場合の対処として、ブラウザアプリを複数インストールしておくことが有効。同じアプリを2つ起動できなくても、別のブラウザであれば問題なく起動できるため、2画面のブラウジングが実現できます。そういった意味では、名の知れたブラウザであるVivaldiが「AppGallery」でリリースされていることに非常に助けられています。

デスクトップモードを実行し3つ以上のアプリを同時に起動
デスクトップモード実行中のMatePad Pro

アプリ3つのマルチタスクだけでは物足りない!という方のために、デスクトップモードも搭載されています。かつてスマートフォンとディスプレイをケーブルで接続することで利用できたデスクトップモード(PCモード)が、「MatePad Pro」では単体で利用可能。クイック設定パネルから一発で起動できます。

「MatePad Pro」のデスクトップモードを実行すると、EMUIのロゴが現れた後ホーム画面の下部にタスクバー、左上にアプリアイコンが並ぶ、PCで見慣れた画面が出現します。

画面左下からドロワーを開きアプリを起動すると、アプリは全て個別のウィンドウで表示。マルチウィンドウ時と同様に同じアプリを起動することはできないものの、開くアプリの個数に制限がないため、処理性能が許す限り思う存分にマルチタスクが可能です。

当サイトでは過去に、HUAWEI P20 ProのPCモードを試し「ノートPCの代わりとなる域にはまだまだ達していない」と述べていました

主な理由としてパワー不足とマウスやキーボードなどの入力デバイスが事実上必須となることを挙げていましたが、「MatePad Pro」ではそれらを完全に克服しています。ペンとキーボードは一緒に持ち運ぶことが可能で、P20 ProではフリーズしたGoogleマップもブラウザから快適に利用可能。使い勝手としてはWindows PCよりもChromebookに近いですが、「MatePad Pro」はAndroidタブレットでありながら確実にノートPCの領域に踏み込みつつあると感じます

ちなみに、上記画像にも写っていますがワイヤレスマウスの利用も可能です。基本的には「M-Pencil」で十分快適に利用できましたが、選択肢の1つとして覚えていても損はないでしょう。

MatePad Proのカメラ性能

MatePad Proのカメラアプリ

簡単にカメラもチェックしてみましたが、基本的にはメモや記録用と割り切って使うのが無難。十分キレイに撮影はできますが、それなりのスマートフォンを持っているのであれば、写真撮影にわざわざMatePad Proを取り出す必要はありません。

MatePad Proのカメラスペック
背面カメラ 約1300万画素 / F値1.8 / 焦点距離26mm
インカメラ 約800万画素 / F値2.0 / 焦点距離26mm

「M-Pencil」と「スマートワイヤレスキーボード」

以下では、「MatePad Pro」対応アクセサリである「M-Pencil」と「スマートワイヤレスキーボード」を使ってみた感想も述べていきます。

M-Pencil

M-Pencil

まずは4,096段階の筆圧感知に対応したスタイラスペン、「M-Pencil」から。

転がりにくい六角形のデザインを採用した「M-Pencil」は、マグネットによって本体側面に吸着し、その状態で「MatePad Pro」本体からワイヤレス充電が可能。満充電に必要な時間は1時間、急ぎの場合でも30秒間だけ充電すれば約10分間は使うことができる急速充電にも対応しています。

M-Pencilの充電時間と使用可能時間 30秒間の充電 1時間の充電(満充電)
連続使用可能時間 約10分間 約10時間

充電だけではなく、ペアリングも側面に近づけるだけでOK。「M-Pencil」を利用するのに必要な設定等はなく、すぐに使い始められます。

ペン先は柔らかい素材になっていますが、ガラス面に滑らせる以上感触はコツコツとしたもので多少は慣れが必要。ペーパーライクフィルムを張り付ける等工夫をすると書き心地が良くなりそうです。

筆者がイラストを描くのに使用したアプリは「AppGallery」から入手したアイビスペイントですが、ペンの追従や筆圧感知は非常に直感的で申し分ないクオリティ。腕がある人であれば、本格的なイラスト制作も十分視野に入りそうです。

下記の本格的じゃないイラストのクオリティには目を瞑っていただきたいですが、素人でも快適にお絵かきを楽しめるレベルだと言えます。

M-Pencilで描いたイラスト
M-Pencilで描いたイラスト

また、画面消灯時にペン先で画面をタップすると黒い画面上に即座にメモを取れる機能も搭載。Galaxy Noteシリーズで利用可能な「画面オフメモ」そのものの使い心地で、メモを書き始めるまでの動作に一切の無駄がなく、非常にスマートで気に入った機能です。

筆者はこれまで、「ペンの持ち運び」と「充電の手間」という2点がスタイラスペン対応デバイスの課題だと考えていました。

Galaxy Noteシリーズを気に入って使っているのはペンを内蔵するというギミッキーでスマートな手段でこの課題を解決しているからでもあるのですが、「MatePad Pro」と「M-Pencil」の組み合わせもマグネットによる脱着とワイヤレス充電によって課題を解消。常に一緒に持ち運びたくなるアクセサリです。

スマートワイヤレスキーボード

スマートワイヤレスキーボードの外観

「スマートワイヤレスキーボード」は、「MatePad Pro」の保護ケース兼スタンド兼キーボードという1台3役を担う重要なアクセサリ。端子等は搭載されておらず、接続はBluetooth。本体との脱着はマグネットによって行われ、スタイラスペン同様マグネットで吸着した時点で接続が認識されます。

キーボードの配列は上記の通りファンクションキーがないUS配列。キーストロークは1.3mm、キーピッチは実測で約17.8mm程度。軽めではありますがカチカチとした打鍵感もしっかりと感じられ、ぐらつきもありません。エンターキーのサイズにさえ慣れてしまえば、記号以外はスラスラと入力できるようになりました。

スマートワイヤレスキーボードでMatePad ProをノートPCライクに使う

スタンドの傾斜は60度と70度の2段階の角度に調整可能。膝の上でタイピングしてもバランスが崩れることはなく、スタンドとしての安定感も良好です。

本記事の文章の5割程度は「スマートワイヤレスキーボード」で執筆しています。ソフトウェアキーボードでは難しいCtrl + AやCtrl + X、Ctrl + Vといったショートカットキーも難なく扱えるので、文章作成マシンとしてはほとんどノートPCと変わらない運用が可能でした。

デザインもリッチで本体保護にも役に立つため、個人的には「M-Pencil」よりも優先度が高い、ほぼ必須級のアクセサリだと考えています。

ほかのHUAWEIタブレットと比較

ほかのHUAWEIタブレットと比較

現在、ファーウェイからは多くのタブレットが展開されている。MatePad Proは、EMUIおよびHarmonyOSを搭載したタブレットとしては、依然として高価で上位に位置付けられていることがわかる。

当サイトでは、MatePad Proを含むこれまでに試してきたHUAWEIタブレットを比較しているので、購入を検討している場合はぜひ目を通しておいてほしい。

まとめ。用途が明確ならコスパに優れたハイエンドAndroidタブレットに

以上、HUAWEI MatePad Proのレビューをお届けしました。

本製品は、没入感の高いベゼルレスデザインを採用し、美しいディスプレイを搭載。プロユースにも応えられる高い性能と、その性能を最大限生かすことができる完成度のアクセサリも用意されています。

ただし、当然ながら全てにおいて完璧なわけではありません。例えばカメラ性能はファーウェイの最新スマートフォンに遠く及ばないクオリティ。フラッグシップ並までは求めないものの、現時点でカメラが本体から出っ張っているのだから思い切ってデュアルカメラくらいは搭載し、美しいディスプレイをすぐに活かせるようにしても良かったように感じました。逆に言えば、価格の安さの秘訣は恐らくカメラにあるのかなとも。

また、GMSの非搭載はネガティブな要素ではありますが、用途が限定される傾向にあるタブレットでは、スマートフォンほどの大きな痛手ではないようにも思えます。筆者のように記事の執筆をメインとしたり、またはスタイラスペンを用いたイラストが描きたかったり、といったように目的がハッキリとしていてHMS上でそれが叶う環境が整っていれば、税込6万円台で購入できる「MatePad Pro」は、賢い買い物にもなり得ます。

特に今回強く感じたのは、自分がタブレットでやりたかったことのほとんどがウェブブラウザだけでできてしまったことに対する驚き。Chromebookに興味がある方には、意外と「MatePad Pro」がおすすめできるかもしれません。

HUAWEI MatePad Proの価格と発売日

HUAWEI MatePad Proは、6月12日に発売。

執筆時点でのAmazon価格は65,780円で、「M-Pencil」は10,890円、「スマートワイヤレスキーボード」は16,280円。Amazon以外にも、楽天、Yahoo!ショッピング(PayPayモール)といったファーウェイ公式ストアから購入可能です。

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ひがし

平成6年生まれの男。趣味はガジェット・テニス・料理・スターウォーズ・カードマジックなど。ペンギンとオカメインコが大好き。

当サイトでは主にGalaxyを中心に様々なガジェットのリークやニュース、レビューなどをお届けしています。今は完全ワイヤレスイヤホンにご執心。