ファーウェイ・ジャパンは、新型のAndroidタブレット「HUAWEI MatePad T10」を4月23日に発売した。
「HUAWEI MatePad T10」は、低価格かつ適度なスペックを搭載したエントリーモデルに位置するタブレット。日本国内でAndroidタブレットを継続的に取り扱っているメーカーが少なくなっているなか、幅広い価格帯で新型を投入し続けているファーウェイは、非常に貴重な存在と言える。
今回、当サイトでは発売されたばかりの「HUAWEI MatePad T10」をお借りできたので早速試してみた。同タブレットを実際に使ってみて感じたことを、詳しくレビューしていこう。
「HUAWEI MatePad T10」を
MatePad T10のスペック
「MatePad T10」のスペックは以下の通り。ここ最近発売されている他のファーウェイ製スマートフォン同様にGMSには対応していないので、その点のみ注意が必要だ。
OS | EMUI 10.1 (Android 10ベース) |
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ディスプレイ | 9.7インチIPS液晶(1280 × 800ピクセル) |
プロセッサ | HUAWEI Kirin 710A |
メモリ / ストレージ | 2GB / 32GB |
背面カメラ | 約500万画素 AF対応 |
インカメラ | 約 200万画素 |
バッテリー | 約5100 mAh |
モバイル通信 | 非対応 |
ネットワーク | Wi-Fi IEEE: 802.11a/b/g/n/ac(2.4 GHz and 5 GHz) Bluetooth: Bluetooth 5.0 |
ポート | USB 2.0 Type-C |
カラー | ディープシーブルー |
ストレージが32GBとタブレットにしてはやや心許ない数値なので、本格的に使用するのであればmicroSDカードによる拡張も検討した方がいいだろう。microSDカードは、最大512GBまで対応している。
デザインと質感
まずは「MatePad T10」の外観やインターフェースを細かくチェックしていこう。カラーバリエーションは、今回送っていただいたディープシーブルーの1色のみが展開されている。
ブルーと付けられているものの、パッと見た印象としてはほとんどネイビーに近く、やや大人っぽい落ち着いた色味だ。筐体は恐らく金属で、全体的にサラサラとしたサンドブラスト加工が施されている。カメラの中心を横切るように素材が切り替わる、ツートンデザインも特徴のひとつだ。
ディスプレイサイズ | 9.7インチ |
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本体サイズ | 幅240×高さ159×7.9 mm |
重量 | 約450 g |
9.7インチのディスプレイサイズに対して、本体サイズは幅240×高さ159×7.9 mm。インカメラが長辺側に搭載されていることから、横向き状態での使用を想定した作りになっていることが伺える。
重量は約450g。ずっしりと重さを感じるほどではなく思っていたよりも軽々と扱える感覚だが、寝ながら長時間使用してみるとやはり腕はそれなりに疲れてきた。
インターフェース
インターフェースをチェックしてみると、底面にUSB Type-Cポートとイヤホンジャック、microSDカードスロット、側面に電源ボタンとボリュームボタンを搭載している。
上部と下部にそれぞれスピーカーを搭載。イヤホンジャックを搭載している上に内蔵スピーカーも2基と、エントリーモデルながらオーディオ周りは結構充実している印象。有線・無線を問わず高品質なサウンドを楽しめる。
また、個人的にはUSB Type-Cポートの採用も評価したいポイントだ。エントリーモデルのスマートフォンやタブレットでは、上位モデルとの差別化ポイントとしてわざわざmicroUSBを採用する場合もあるが、「MatePad T10」では中身こそUSB 2.0ではあるものの端子はType-C。
いくつものデバイスを所有していてもケーブルを取っ替え引っ換えしなくて済むので、ストレスフリーだ。
1つ残念なのは、「MatePad T10」には指紋センサーが搭載されていないこと。インカメラも顔認証には対応していないので、「MatePad T10」ではロック解除に生体認証が使えない。
モバイル通信に対応していないため、基本的に自宅で使うことを考えればパスコードやパターン認証でも特に問題はないだろう。しかし、セキュリティ的にもロック解除の手軽さからも、やはり顔認証と指紋認証のどちらかには対応していてほしかったというのが本音だ。
ディスプレイ
「MatePad T10」のディスプレイサイズは9.7インチで、解像度は1280 × 800ピクセル。パネルにIPS液晶を採用しているためか視野角は比較的広く、発色も良好だった。ベゼルに関してはお世辞にもスマートとは言えないが、価格なりといったところだろう。持ち手があると考えれば、悪くはないかもしれない。
画面サイズが大きい反面解像度が高いとは言えないので、表示の粗さを気にする方もいるはずだ。筆者もその一人だが、特に普段から高解像度のハイエンドスマートフォンを使っていれば、なおさら差を感じやすい。
実際にYouTubeやAmazonプライムビデオで動画を見たり、kindleで漫画を読んだりしてみたが、全く問題なく快適に閲覧できた。もちろん、アプリアイコンや細かい文字などを見ると解像度の差は一目瞭然。しかし、個人的にはあえて比べようとしない限りそこまで気にならなかったというのが正直な感想だ。
ちなみに、kindleに限らず電子書籍を閲覧する際はeBookモードがおすすめ。グレースケール表示に切り替わり、紙の本に近い質感を体験できる。eBookモードは、クイック設定パネルからワンタップで有効・無効を切り替え可能だ。
もちろん、ブルーライトカットモードも搭載されているので、シーンに合わせて臨機応変に使い分けたい。
「MatePad T10」の大きな画面を活かす機能としては、マルチウインドウも忘れてはいけない。
デフォルトのブラウザアプリのほかにVivaldiのようなサードパーティのブラウザをAppGalleryからインストールしておけば、YouTubeを見ながらSNSを閲覧したり、調べものをしたりといった使い方も可能だ。
「HUAWEIアプリマルチプライヤー」と呼ばれる、横画面で同じアプリを2つのウィンドウで表示する機能も搭載されているが、プリインストールされているアプリのなかでは、U-NEXT・ニュースダイジェスト・ibisPaint・Petal検索の4つしか対応しておらず、今のところは実用性にやや欠けていると言わざるを得ない。
ベンチマークとパフォーマンス
「MatePad T10」が採用しているプロセッサー、HUAWEI Kirin 710Aは、エントリー~ミドルクラスの性能。メモリも2GBであり、あくまでも最低限の装備といったところだ。
一応GeekBenchとAntutuの2種類でベンチマークも測定してみたので、参考にしてみてほしい。
Geekbench | Single Core:299 Multi Core:1224 |
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Antutu | 178290 |
タップやスクロールといった基本的な操作に関しては、全くストレスなく行える。しかし、タスクから複数のアプリを切り替えたり、本体を横向きにして画面を回転させたりなどといった動作でワンテンポ遅れてしまうシーンも頻繁に見られた。間違っても、3Dゲームを「MatePad T10」で快適にプレイしようとは考えない方がいいだろう。
一方で、ブラウザでウェブサイトを閲覧したり、YouTubeで動画を視聴したりといった使い方であれば、全く不満は感じない。
特に、左右にそれぞれ1基ずつ搭載されたスピーカーのクオリティは高く、ボリュームが大きい割に音割れもなかったので、動画視聴は思った以上に快適だった。動画ビューワーとしては、十分におすすめできる仕上がりだ。
カメラ
「MatePad T10」に搭載されているカメラは、約500万画素のシングルカメラのみ。タブレットのカメラを使用するシーンはあまり多くはないと思うが、一般的なスマートフォンと比較しても決して画質が優れているとは言えないので、あまり期待しない方がいいだろう。
いくつか実際に撮影した作例も掲載する。
ガラス張りの室内で泳いでいた鯉のぼり。ダイナミックレンジは広いとは言えず、所々白飛びや黒潰れが発生しているものの、色味自体はナチュラルに撮影できている。
続いてはラーメンの作例。決して極端に暗い環境ではなかったが、室内というだけでグッとノイズが増えてディティールが怪しくなってしまった。
決して使い物にならないほどのクオリティではないが、ミドルレンジ以上のスマートフォンを持っているのであれば、「MatePad T10」のカメラの出番はほとんどないだろう。メモ用・記録用として割り切って使うのがおすすめだ。
シャッター音が非常に小さく、ほとんど目立たなかった点は嬉しいポイントだった。また、マナーモードにすればシャッター音も消えるので、周囲を気にせずにカメラを使用しやすいという点では優れている。
バッテリー
「MatePad T10」は、約5100mAhのバッテリーを内蔵している。どの程度バッテリーがもつのかは気になるところだと思うので、実際に検証してみた。
検証内容は、「MatePad T10」でブラウザ版YouTubeの動画を延々と再生し続けるというもの。動画品質は720p、画面の明るさはオートにした状態だ。
経過時間 | バッテリー残量 |
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2時間 | 89% |
4時間 | 69% |
6時間 | 51% |
8時間 | 32% |
10時間 | 11% |
12時間30分 | 0% |
結果は約12時間程度の電池持ちだった。ゲームのようなバッテリーを消費しがちなアプリは「MatePad T10」の使い方に向いていないことを考慮すると、十分な結果と言える。外出先でYouTubeや動画配信サービスを利用する場合でも、バッテリー消費を気にせずに楽しめそうだ。
解像度が高くない点も、電池持ちという観点から見ればある意味メリットとして働いた可能性が高い。
アプリ不足のフォローは「Petal検索」で
冒頭でも軽く触れたように、「MatePad T10」はGMSに非対応だ。Google Playストアからアプリをインストールできないので、アプリの入手にはファーウェイ独自のプラットフォームであるAppGalleryや、Amazonアプリストアを利用する。
AppGalleryにも随分とアプリの数が増えてきてはいるが、「日本人がよく利用する定番サービス」という観点から見るとまだまだ充実しているとは言えない。
そういったアプリ不足の解決策として、「MatePad T10」を始めとしたGMS非対応のファーウェイデバイスには、「Petal検索」というアプリがプリインストールされている。同アプリでは、本来自分で個別に探してインストールしなければならないアプリのAPKファイルを、APKPureのようなサービスを横断して検索し、アップデート等の管理までできるようにしてくれる。
簡単にいうと、やや上級者向けである「アプリのAPKを探してインストール」という作業を、Google Playのような感覚で初心者でもできるようにしてくれるアプリといったところだ。
もちろん、アプリの使用は自己責任なうえインストールしたアプリが100%動作するとは限らない。しかし、筆者が試してみた限りではほとんどのアプリが問題なく動作しているので、「MatePad T10」で使ってみたいアプリがある場合は試してみてほしい。
ほかのHUAWEIタブレットと比較
現在、ファーウェイからは多くのタブレットが展開されている。MatePad T10は、EMUIおよびHarmonyOSを搭載したタブレットのなかではかなり低価格な部類であり、気軽に購入できるモデルとなっている。
当サイトでは、MatePad T10を含むこれまでに試してきたHUAWEIタブレットを比較しているので、購入を検討している場合はぜひ目を通しておいてほしい。
まとめ
以上、「HUAWEI MatePad T10」のレビューをお届けした。スペックシートを見るだけだとやや頼りないように思えるかもしれないが、問題なく使えるレべルには達しているので、約2万円という低価格で買えるのであれば個人的にはアリだと感じる。
この手の格安タブレットは、よく「安いから初心者におすすめ!」との謳い文句で紹介されることが多い。しかし、当サイトではどちらかというと安さの理由がわかる、ある程度の知識がある方におすすめしたい。
「ごろ寝しながら動画を見る用のマシンが欲しい」「キッズモードで子供に遊ばせたい」など、あらかじめ用途がハッキリしていると、最大限のコストパフォーマンスを発揮できるはずだ。
もし、もっとハイスペックなタブレットに興味ある場合は、以前当サイトで「HUAWEI MatePad Pro」をレビューしているので、そちらもチェックしてみてほしい。
「HUAWEI MatePad T10」は、市場想定価格税込23,980円で、4月23日に発売済み。HUAWEIデバイスやEMUIを試してみたいというニーズにも、「MatePad T10」であれば格安で応えられる。
公式オンラインストアである「HUAWEI STORE」では、お得なセットやクーポンも利用できるので、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
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