HUAWEI FreeClipは、2023年12月19日から2024年2月1日までGREEN FUNDINGにてクラウドファンディングで先行公開されていた新型ワイヤレスイヤホン。
2月20日の正式発売に先立ち、ファーウェイ・ジャパンからFreeClipの実機をレビュー用に提供していただけた。
FreeClipは今までのイヤホンと何が違うのか?実際に使ってみた使用感を踏まえて、レビューをお届けしたいと思う。
オープンイヤーのデメリットを克服したデザイン
HUAWEI FreeClipを語るうえでまず最初に触れるべきは、ユニークなデザインだろう。イヤーカフのようなU字型のデザインを採用している。
ドライバーが内蔵されている先端の球状パーツは「アコースティックボール」、フック部分は「C-bridge」と呼ばれており、「C-bridge」にニッケルチタン形状記憶合金を内蔵して耐久性を担保しながらフィット感を高めている点が特徴だ。
独創的な形状なので、一目見ただけでは付け方がわかりにくいかもしれない。実際、筆者は発表会で取材した際に「これで装着方法あってるのか……?」と何度も不安になりながら試していた。
慣れてしまえばシンプルで、アクセサリーのイヤーカフ同様に両サイドのパーツで耳を挟むだけでOK。
耳の上の方を挟んでしまうと、自然とフィットする位置までFreeClipが降りて(落ちて?)くる。そのまま耳から外れて落下しないか不安になること間違いなしだが、意外と落ちないので安心してほしい。
実際に装着している様子がこちら。ニュアンスカラー×光沢のある質感という組み合わせにより、イヤホンというよりもファッションアイテムのような洗練された印象も受ける。
気になる安定感は、驚くほど優れている。どう見たって脱落しそうなデザインなのに、一度安定したポジションに収まるとわざと頭を振っても全然落ちる心配はなさそうだ。
ランニングをしてもジムでマシンを使った筋トレをしても、とにかく落ちない。
百聞は一見に如かずということで、今回、本製品のアンバサダーに就任したプロランナーの神野大地氏が、FreeClipを装着しトレッドミルでランニングをしている動画を掲載するので見てみてほしい。
今日HUAWEI FreeClipをはじめてジムで使ったけどかなりよかった
— ひがし (@pghigashi) February 14, 2024
自分のなかではトレーニング用としてこれ以上はないかもしれない#FreeClip #Huawei
↓は発表会のときのデモ
プロが走っても安定感抜群 pic.twitter.com/28gtbmbYkF
特殊な形状からはなかなか想像できないほどの安定感が少しでも伝われば幸いだ。
また、FreeClipのデザインの特徴はファッション性や安定感だけではない。
FreeClipは、一般的に「オープンイヤー型」と言われる耳を塞がないタイプのイヤホン。
周囲の音を聞ける・耳への負担が少ないというメリットがある一方、いくつかのデメリットもあるのだが、FreeClipはオープンイヤー型特有のデメリットを見事に克服している。
克服したデメリットとは、
- メガネとの併用
- サイズ
の2つ。
FreeClipには、一般的なオープンイヤー型イヤホンにあるイヤーフック(耳に引っかけるパーツ)がない。そのため、メガネと組み合わせても、どちらかがどちらかに引っ張られてしまうような心配がほとんどない。
また、イヤーフックがないことはサイズの小型化、特にケースの小型化に大きく貢献している。
以下の画像は、同じオープンイヤータイプの完全ワイヤレスイヤホンであるSOUNDPEATS GoFree2とShokz OpenFit。
どちらもイヤーフックを収納するためにケースが大きく設計されていることがわかる。
一方、こちらがHUAWEI FreeClipのケース。横に並んでいるのはFreeBuds Pro 3だが、ほとんど同じサイズであることがおわかりいただけるだろう。
当サイトではオープンイヤーのワイヤレスイヤホンを紹介する度に「ケースの大きさがネック」と添えていたが、FreeClipは独創的な発想によりスマートなデザインと使い勝手を高いレベルで両立しながら解決してしまった。
左右の区別がないのはWATCH Buds譲り
もう1つだけ触れておきたいFreeClipのユニークなポイントとして、「左右の区別がない」ことも挙げられる。
一般的に、イヤホンには右耳用と左耳用があり、各イヤホンにもL・Rと印字されているのが普通だ。
しかし、FreeClipにはこの区別がない。つまり、ケースから出したイヤホンを左右どちらの耳に付けても自動的に左右を認識してくれるし、耳から外したイヤホンはケースの左右どちらにも収納できる。
地味な要素かもしれないが、イヤホンを右手で取り出しても左手で取り出しても自然な動作で装着できるのは非常に使い勝手がよい。また、ケースに戻すときもある意味「雑」に扱える。
HUAWEIのイヤホンのなかでは、HUAWEI WATCH Budsも同様の仕様を採用していた。
「ながら聴き」向けの音質は十分だが改善の余地あり
FreeClipの先端、「アコースティックボール」と呼ばれている球状パーツには、約10.8mmのデュアルマグネットダイナミックドライバーが内蔵されている。
音質は明るく華やかなで、オープン型のイヤホンらしく軽快なサウンドを楽しめる印象だ。低音の出力も思っていたより悪くないが、あくまでも悪くない程度であり、やや迫力に欠けてしまうのは構造上仕方のないところだろう。
なお、ほかのFreeBudsシリーズと同様にAI Lifeアプリをインストールすれば、簡易的なイコライザー調節も可能だ。
- iPhone:App Store
- Android:Huawei Cloud
アプリを起動して「サウンド効果」に進むと、デフォルト・高揚・高音強調・音声の4種類のプリセットから選択できる。
筆者のおすすめは「音声」。
ボーカルやポッドキャスト、動画の話し声などがクリアになり1段階前に出てくるので、FreeClipの主戦場である「ながら聴き」をするシーンでもハッキリとした明瞭なサウンドを体験しやすい。
なお、FreeClipが対応しているコーデックはSBC・AAC・L2HCの3種類。
L2HCはLDACの990kbpsを超える1500kbpsのロスレス伝送に対応している規格だが、ファーウェイ製スマホとの組み合わせでしか利用できず、ファーウェイは2020年のHUAWEI P40 Pro 5G以降国内にスマホを投入できていない。
つまり、日本人にとっての対応コーデックは実質SBC・AACの2種類。1万円を切るオープンイヤーイヤホンにもLDAC対応モデルがあるので、高音質コーデックのサポートがL2HCのみに留まってしまったのは残念だ。
とはいえ、FreeClipの利用シーンは先程も述べたように「ながら聴き」がメインであると考えられるので、過剰に音質を求める必要性は低いのかもしれない。
音漏れはする?
FreeCllipに限らず、オープンイヤータイプのイヤホンには必ず付きまとう音漏れ問題。
結論から言ってしまうと、FreeClipも音漏れはするものの周囲に迷惑をかけたり気になったりするレベルではないので安心して使用可能だ。
アコースティックボールにはドライバーのほかに逆音波システムも内蔵されており、音漏れが軽減されている。
人混みや満員電車のような、極端に他者との距離が近くなってしまう環境では漏れている音が周囲に聴こえてしまう可能性があるものの、周囲の騒音が耳にダイレクトに届いてしまうFreeClipはそういったシーンで使うことはほぼないはずなので、まず心配はいらない。
通話もクリア
FreeClipを利用して通話も試してみたが、非常に快適だった。
デュアルマイクと骨伝導VPUセンサーが組み合わされているほか、独自の通話ノイズリダクションアルゴリズムが搭載されている影響か、屋外で通話した場合でも騒音は相手にほとんど伝わっておらず、イヤホンを通じて話していることすら気が付かれないほど。
長時間装着していても気にならない設計なので、テレワーク・リモートワーク用のイヤホンとしてもおすすめだ。
タッチエリアが広くラクラク操作できる
HUAWEI FreeClipは、ほかの完全ワイヤレスイヤホンと同様にタッチ操作に対応している。AI Lifeアプリを使えば、カスタマイズも可能だ。
左右それぞれのイヤホンがダブルタップとトリプルタップに対応しているので、割り当てられる機能は合計で4種類。
設定できる項目は以下の表のとおりだ。
ダブルタップ | トリプルタップ |
---|---|
・再生/一時停止 ・次の曲 ・前の曲 ・音声アシスタントを起動 ・なし から1つ選択 | ・次の曲 ・前の曲 ・なし から1つ選択 |
FreeClipはユニークな形をしているので、「タッチってどこ触ればいいの?」と思うかもしれない。筆者も最初は戸惑ったが、答えは「アコースティックボール以外どこ触ってもOK」という親切設計だった。
耳を挟んでいる後方のパーツだけではなく、U字型になっているC-bridgeもタッチ検出エリアなので、慣れも必要なくほとんど無意識に操作できる。
ラクに操作できる設計だからこそ、シングルタップに機能が割り当てられていないのも嬉しい。すでに1週間以上使用しているが、誤操作でイライラすることは1度もなかった。
バッテリー持続時間はスペックよりも気持ち長め
スペックシートによると、FreeClipのバッテリー持続時間はイヤホン単体で最大8時間、充電ケースを組み合わせれば最大36時間。
実際にフル充電した状態からバッテリーがゼロになるまで音楽を流し続け、電池持ちを検証してみた。
経過時間 | バッテリー残量 |
---|---|
0時間 | 100% |
1時間 | 96% |
2時間 | 85% |
3時間 | 73% |
4時間 | 61% |
5時間 | 50% |
6時間 | 37% |
7時間 | 23% |
8時間 | 11% |
8時間50分 | 0% |
1時間に約10~13%消費されており、公称値よりも気持ち長めの9時間弱という結果に。
「8時間ぶっ通しでイヤホンを付けている」という状況はなかなかないとは思うが、そういった使い方もできるほどには電池持ちがよい。
リモートワークやトレーニングのお供として使うのであれば、バッテリーの心配は全く必要ないはずだ。
なお、ケースの充電方法は有線(USB Type-C)のほかワイヤレス充電にも対応している。
Galaxyのワイヤレスバッテリー共有でも問題なく充電できることを確認できた。
従来のFreeBudsシリーズとの違いを比較
HUAWEI FreeClipとFreeBudsシリーズ全体の違いを大雑把に挙げると、以下の3つがすぐに思い浮かぶ。
- インナーイヤー型でもカナル型でもないオープンイヤー型
- イヤーカフデザイン
- ノイズキャンセリング非対応
また、製品アンバサダーにプロランナーを迎えるなど、「音楽を聴くこと」自体よりもそのシーンでの使い勝手や一体感をかなり重視して設計されているようにも感じた。
FreeClipとほかのFreeBudsシリーズのより詳細な比較は以下の記事にまとめてあるので、ぜひあわせてチェックしてみてほしい。
FreeClipは従来のFreeBudsシリーズとはやや異なる思想で設計されているように思えますが、2023年にも奇抜なデザインを採用していたFreeBuds 5が登場しています。
ファーウェイが、完全ワイヤレスイヤホンというジャンル全体に漂っている”マンネリ感”を打開しようとしているのではないか?ということが何となく伺えますね。
どんなときに便利?HUAWEI FreeClipの魅力と活用例
最後に、筆者が実際にどのようなシーンでHUAWEI FreeClipを活用しているのかを簡単に紹介しよう。
全く特別な使い方はしておらず、主な用途は最近通い始めたジムでのトレーニングの際に音楽やポッドキャストを流すことだ。
FreeClipの魅力は、
- 付けている感覚がほとんどなく
- 安定感があり
- ファッショナブルである
ことだと筆者は考えている。
フィット感や安定性は体を動かすときに使うのであれば必須条件。スタイリッシュな見た目も、モチベーションの維持という点で無視できないだけの影響があった。
特に、ダイエットや健康管理が目的のトレーニングは継続してこそ意味があるので、「運動すること」と「FreeClipを手に取ること」が自然と関連付けられて、そこに楽しみを見出せたことが無理なく習慣化できた要因のひとつではないかと感じている。
クーポンコードと価格、発売日
HUAWEI FreeClipは、2024年2月20日に発売される。
カラーバリエーションはブラックとラベンダーの2色で、価格は税込27,800円だ。
Amazonや楽天のほか、HUAWEI公式サイトでも購入可能。HUAWEI公式サイトでのみ利用できる1,500円OFFのクーポンコードも頂いているので、もし購入を検討している場合はぜひ活用してお得に購入してほしい。
クーポンの使い方は、以下の記事で解説しているので、不安な方はあわせて確認を。
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