ファーウェイの新型完全ワイヤレスイヤホン、「FreeBuds 4」が7月30日に発売された。
発売に先駆けてファーウェイジャパン広報より実機をお借りしていたので、本記事では、2種類のマイクや大型のダイナミックドライバーを内蔵するなど、先代からさらにブラッシュアップされた「FreeBuds 4」の音質やアクティブノイズキャンセリング、電池持ちなどをレビューする。
レビュー動画も掲載するので、質感などを詳しくチェックした方は、そちらも参考にしてみてほしい。
レビュー動画
FreeBuds 4とは
「FreeBuds 4」は、ファーウェイの新型完全ワイヤレスイヤホン。海外では2021年5月に発表されていたモデルが、日本にも満を持しての登場だ。
名称からもわかる通り、本製品はHAUWEI FreeBuds 3の後継モデル。同イヤホンが日本で発売されたのは2019年11月であったため、「FreeBuds 4」は約2年ぶりのモデルチェンジとなる。
スペック
Bluetooth規格 | BT 5.2 | マルチポイント接続 | 対応 |
---|---|---|---|
対応コーデック | SBC / AAC | 電池容量 | 各イヤホン:30 mAh (min.) 充電ケース:410 mAh (min.) |
ドライバー | 14.3 mm LCP ダイナミックドライバー | 充電 | USB-Type-C ワイヤレス充電 |
耐水 | IPX4(イヤホンのみ) | 専用アプリ | HUAWEI AI Life |
デザイン
今回お借りしていたFreeBuds 4はシルバーフロストと呼ばれるカラー。同イヤホンにはもう1色、セラミックホワイトも用意されている。
シルバーフロストのケース表面はマットに処理されており、指紋や汚れの付きにくい質感だった。発表会直後のタッチアンドトライで見た限り、セラミックホワイトには光沢のあるケースを採用していたため、カラーを選ぶ際の参考にしてみてほしい。
なお、ケースの形状は完全な円形。ケースサイズは直径58×高さ21.2mmであり、手の平サイズと言っても問題なさそうな大きさだ。
ケースサイズ | 直径58×高さ21.2mm |
---|---|
ケース重量 | 約38 g(イヤホン無しの場合) |
イヤホンサイズ | 高さ41.4×幅15.8×奥行き18.5mm |
イヤホン重量 | 約4.1 g |
ケースの底面には充電用のUSB Type-Cポート、側面には円形のボタンを搭載。イヤホンが入った状態でボタンを長押しするとペアリングモードに入れるので、FreeBuds 4を普段とは別の端末にペアリングさせたいときに活用できる。
なお、EMUI10以上を搭載したファーウェイのスマートフォンであれば、フタを開けるだけのポップアップペアリングにも対応する。
イヤホン自体はセラミックホワイト・シルバーフロスト共に光沢のある表面仕上げ。フタを開けるたびにピカピカとしたイヤホンが顔を覗かせるので、毎回ちょっとテンションが上がる。
イヤホンがそれぞれ左右外向きに収納されているスタイルは、FreeBuds 3の頃から変わらず。取り出しにくさは全く感じないものの、耳に付けるとき、あるいは耳からイヤホンを外してケースに収納するときに一度手の中で向きを変えなければいけないため、若干スムーズさに欠けると感じた。
イヤホン自体は、軸がまっすぐと伸びるいわゆる「うどん」などと呼ばれる形状。ハウジングの丁度真裏になる軸の上部とスピーカー側には、それぞれ頼もしい大型のマイクが確認できるが、これらは恐らくアクティブノイズキャンセリングに活用されるマイクだろう。
内側のマイクのそばには、近接センサーも搭載。装着検知機能にも対応しており、FreeBuds 4を耳から取り外すと曲を一時停止し、装着しなおすと再開といった動きを自動で行える。
なお、FreeBuds 4の充電ケースはFreeBuds 3と比べて6.3%の小型化と20.8%の軽量化を実現している。両モデルの比較は別で記事を公開する予定だ。
※追記
FreeBudsシリーズの比較記事を公開しました。FreeBuds 4とFreeBuds 3だけではなく、その他のモデルも含めて比較しているので、購入を迷っている場合はぜひ以下からチェックしてみてください。
装着感
FreeBuds 4を実際に装着している様子を第三者から見た様子がこちら。飛び出す軸の長さがやや長めにも感じられるが、特に違和感はない。個人的にはシルバーフロストのカラーが気に入っていることもあり、わりと格好良く感じている。
FreeBuds 4は、耳に引っかけるように装着するインナーイヤー型(開放型)のイヤホン。筆者も実際に数日間装着して使用しているが、付け心地は非常に軽快でかなり好印象。特に日本の夏のような高温多湿な環境では、インナーイヤー型のFreeBuds 4は長時間付けても蒸れにくいのでストレスなく使用できる。
イヤホンの形状には10,000人の耳のビックデータを活用し、耳を8つのエリアに分けて各ポイントごとに設計したという。吸い付くような装着感、というとやや大げさな表現に聞こえるかもしれないが、イヤホンの各部分が適切に耳に密着しフィットするため、開放型ながらピッタリとした装着感を得られる。
筆者の場合は最大で約4時間強FreeBuds 4を装着していたが、全くといっていいほど痛みやストレスを感じなかった点は非常に好印象だ。
思いっきり頭を振れば徐々にズレていき耳から落ちてしまったものの、運動不足解消のためのウォーキングや軽いランニング程度であれば安定感についても問題はない。一方、耳から飛び出ている部分がやや長いため、寝ながら使ったり、肩掛けのバックを掛けたりなどといった動作にはやや注意が必要だった。
音質
肝心の音質はどうか?
構造的な話をすると、FreeBuds 4は14.3mmのダイナミックドライバーを内蔵し、低音はもちろん高音もしっかりと強化されているという。パワーエンジンの内蔵により、低音の振動がより強められていることも特徴だ。
先日サブスクが解禁されたばかりのGARNET CROWを中心に聴きながら、FreeBuds 4の音質をチェックしてみた。確かに謳い文句通りしっかりとバスが効いていて、聴きごたえのある音質だ。
低音が強めに完全ワイヤレスイヤホンは往々にして安っぽい下品な音になりがちだが、FreeBuds 4の場合は良質な低音が全体をしっかりと引き締めており、重圧ながらも躍動感のあるサウンドに仕上げられている。
低音の強化により、FreeBuds 3で感じられた透明感のある高音域が鳴りを潜めてしまったのはやや物足りないポイントだが、広がりのある独特の空間表現は健在。背景の小さな音まで繊細に描写されるので、どういった音を聴かせたいのか?という音楽家の意図を汲み取れる気がする。
背景とボーカルの区別もハッキリとしており、奥行きのある表現が可能なので、音楽だけではなく映画やドラマといった動画コンテンツとの相性も良好。力強い低音も、迫力のあるシーンへの没入感を高めてくれる。
音漏れや遅延は?
FreeBuds 4はインナーイヤー型のイヤホンなので、音漏れが心配な方もいるだろう。個人的な感想としては、特別音漏れを気にしなければならないほど漏れているとは感じなかった。
音楽の再生中にグッと耳を近づければ当然音が聴こえるが、FreeBuds 4だから特に音が漏れやすいということはない。周囲が騒がしい場合は自然と音量を上げてしまいがちなので、満員電車などで多少気を遣えばトラブルになることもないはずだ。
また、FreeBuds 4を使用しながらYouTubeの動画もいくつか視聴してみたが、動画内の話者の口の動きと耳に届く音声にズレはほとんど感じられず、違和感はない。ただし、ゲームに関しては遅延が感じられたので、FPSやリズムゲームなどの音が重要なゲームをプレイするのにはあまり向いていない。
ただし、EMUIを搭載したスマートフォンの場合は遅延を150msまで抑えられているとのことだ。
イコライザー効果
FreeBuds 4は、Ai Lifeアプリを使用して簡単なイコライザーの調節が可能。Ai Lifeアプリ起動後、音質⇒ EQ効果と進むと、デフォルト・低音強調・高音強調の3パターンを選択できる。
- デフォルト
- 低音強調
- 高音強調
実際にそれぞれのイコライザーを適用して試してみたが、低音強調・高音強調共に該当の音を強調するというよりも反対の音を絞っているような印象を受けた。
また、どちらの設定を適用しても高音や低音と共にボーカルまで抑えられてしまい、やや迫力に欠けてしまう。個人的にはデフォルトから設定を変更する必要は内容に感じた。
FreeBuds 4で通話を試す
テレワークが普及した今の時代、完全ワイヤレスイヤホンで通話を行うシーンも増えてきたのではないかと思う。FreeBuds 4の通話品質に興味がある方も多いはずだ。
結論から述べると、FreeBuds 4の通話は非常にクオリティが高い。
FreeBuds 4を通して聞こえる相手の声も、こちらが発する声も非常にクリア。風切りノイズもほとんど感じさせないため、室内はもちろん外でも問題なく通話ができる。
FreeBuds 3の時点で通話のクオリティは非常に高かったが、FreeBuds 4にもしっかりと受け継がれているようで安心の出来栄え。通話用途でFreeBuds 4を検討しているのであれば、文句なしにおすすめできる。
アクティブノイズキャンセリング
開放型のFreeBuds 4における最大の目玉機能が、アクティブノイズキャンセリング。
内側と外側の両方にノイズをキャッチするマイクを搭載し、ファーウェイはこれをハイブリッドアクティブノイズキャンセリングと呼んでいる。
最大25dBのノイズ低減が可能というだけあり、アクティブノイズキャンセリングを有効にした状態で外出すると街中のザワザワ感や「ゴーッ」という喧騒が見事に打ち消されて、ほぼ聞こえなくなる。
筆者の自宅では、パソコンのすぐそばに小型の扇風機を設置しているが、FreeBuds 4を装着すればモーター音やファンの回転する音も7~8割はカットできていた。開放型であるため電車や飛行機のような大きな音を打ち消すのはあまり得意ではないが、日常の雑音を消すことに関しては想像以上のデキだった。
ただし、いくつか気になる点もある。まず1つ目は、音楽を流さない状態でアクティブノイズキャンセリングを有効にすると、「サーッ」というホワイトノイズが聞こえてしまうこと。
不快になるかと聞かれるとそんなことはないのだが、あるかないかで言えばホワイトノイズはない方がいいに決まっている。音楽を流してしまえばほとんど気にならないので、FreeBuds 4を耳栓のように使いたい場合は若干注意が必要だ。
もう1つは、ノイズキャンセリングを有効または無効にするたびに「ノイズキャンセリングオン(オフ)」の音声が流れるのだが、このボリュームが無駄に大きい。本体のボリューム設定とは無関係に強制的に流れる音声なので、もう少し控えめだと嬉しいのだが・・・。
モード切り替えにも対応
FreeBuds 4のアクティブノイズキャンセリングには、モード選択機能が搭載されている。
Ai Lifeアプリからノイズキャンセリングを有効にすると、すぐ下のグレーアウトしている「モード」が操作可能になる。
- くつろぎ:ノイズの少ない場所に最適
- 標準:うるさい場所に最適
選択できるモードはくつろぎと標準の2種類。くつろぎに設定すると、打ち消されるノイズの量が多少弱まり、外音が入ってきやすくなる。
自宅で使う場合はくつろぎ、人の多いカフェで使うときは標準、といったように、好みやシーンに応じて臨機応変に使い分けられる。
アダプティブ・イヤーマッチング・テクノロジー
FreeBuds 4には「アダプティブ・イヤーマッチング・テクノロジー」と呼ばれる、耳の形とイヤホンの装着具合を検出して最適なノイズ低減を実現する機能が搭載される。
本機能は、発売後にOTAによるアップデートで実装されるとのことだ。
ジェスチャー操作
FreeBuds 4には、軸部分をタップしたりスワイプしたりして操作できるジェスチャー機能が搭載されている。
使用できるジェスチャーは、ダブルタップと長押し、そしてスワイプの3種類。シングルタップによる操作ができないのは一見するとデメリットにも思えるが、FreeBuds 4を装着したり取り外したりする際の意図しない操作を防げるため、理にかなった設計と言える。
- ダブルタップ:再生 / 一時停止、次の曲、前の曲、音声アシスタントを起動、ナシから左右それぞれ1つずつ(着信時:電話に応答 / 終了)
- 長押し:ノイズキャンセリングを有効化 / 無効化(着信時:着信を拒否)
- スワイプ:音量調節
ダブルタップによる操作は、左右それぞれに好みの機能を割り当て可能。長押しとスワイプは左右共通で、執筆時点では機能の変更にも対応していない。
タップやスワイプの感度は優れており、慣れてしまえば直感的な操作ができる。特に、左右のどちらのイヤホンでも音量を調節できる点は、カバンや傘などで片手が塞がっているシーンでも操作しやすく気に入っている仕様だ。
デュアルデバイス同時接続(マルチポイント接続)
FreeBuds 4は、マルチポイント接続にも対応している。つまり、FreeBuds 4を同時に2つのデバイスに接続し、ペアリング先をシームレスに切り替えながら使用可能だ。
ペアリングするデバイスにファーウェイ製でなければならないという縛りはなく、Mac / Windows / iOS / Androidに対応しているので、大抵のスマートフォンやタブレット、PCとデュアルデバイス接続ができる。
例えば、FreeBuds 4をスマートフォンとタブレットの両方に接続しておいたとする。自宅ではタブレットで動画を視聴し、スマートフォンだけを持って出かければ、そのままペアリング先が自動的にスマートフォンに移行。
面倒なペアリングの操作が不要で、非常にスムーズだ。
また、ペアリング先のデバイスはAi Lifeアプリから管理できる。Ai Life内の「接続センター」に過去FreeBuds 4とペアリングしていたデバイスが一覧表示されるので、別のデバイスに接続したい場合はタップするだけでOKだ。
なお、2つのデバイスと接続はできるが、同時に音声を流すことはできない。「接続センター」からの設定で音声の優先順位を選ぶことができるので、用途に合わせたカスタマイズが可能だ。
電池持ち
最後に、FreeBuds 4の電池持ちをチェックしておこう。ファーウェイの公式サイトによると、FreeBuds 4はノイズキャンセリングオンの状態で約2.5時間、ノイズキャンセリングオフの状態で約4時間の音楽再生が可能とのこと。
満充電のFreeBuds 4をGalaxy Note20 Ultraに接続し、Spotifyで音楽を流し続けて電池の消耗ペースを記録した結果が以下の表だ。
経過時間 | ノイズキャンセリングON | ノイズキャンセリングOFF |
---|---|---|
0時間 | 100% | 100% |
1時間 | 右:84% 左:72% | 右:76% 左:80% |
2時間 | 右:51% 左:45% | 右:60% 左:64% |
3時間 | 右:6% 左:6% | 右:32% 左:38% |
4時間 | 0% | 右:17% 左:26% |
5時間 | – | 右:6% 左:12% |
5時間20分 | – | 0% |
ノイズキャンセリングが有効な状態で約3時間、ノイズキャンセリングを無効にすると約5時間というのが筆者の環境におけるFreeBuds 4のバッテリー持ちだった。
アクティブノイズキャンセリングを搭載した完全ワイヤレスイヤホンとしては、可もなく不可もなくといったところ。欲を言えばノイズキャンセリング有効時・無効時共にもう1時間程度欲しかったところではあるが、個人的に実用性のボーダーラインだと考えている「ノイズキャンセリングオンで3時間」は安定してクリアできそうだったので、ひとまず安心だ。
バッテリーが空になったFreeBuds 4は、ケースに入れて約1時間で満充電になるとのこと。実際に試してみたところ、5分で約22%、10分で51%まで回復していた。
ワイヤレス充電について
なお、FreeBuds 4のケースの充電方法は、USB Type-Cによる有線充電とQiに対応したワイヤレス充電の2パターン。お借りしていたサンプルのケースはワイヤレス充電非対応だったので今回は試せていないが、広報に確認したところ製品版はしっかりと対応しているとのことだった。
日本国内モデルは、ワイヤレス充電非対応とファーウェイの公式コミュニティで回答がありました。
発売直前に公式Twitterに問い合わせ、ワイヤレス充電に対応しているとの返答を貰った方もいるようなので、ファーウェイ・ジャパンがギリギリまで正確な仕様を把握していなかった可能性があります。
まとめ:FreeBuds 4は時代にマッチした完全ワイヤレス
以上、HUAWEI FreeBuds 4のレビューをお届けした。
先代のFreeBuds 3と比べると、FreeBuds 4はアクティブノイズキャンセリングの効果や装着感が幾分か向上しており、ジェスチャー機能も対応操作が増えるなど、期待されていたであろうポイントは一通り進化していたように感じる。
個人的には、通話品質の高さとマルチポイント接続によるシームレスなデバイス切り替えが非常に気に入った。1人で複数のデバイスを自在に使い分けるのはもはやガジェット好き特有の行動ではなく当たり前になりつつあるが、FreeBuds 4はそういった時代の変化にいち早く適応した完全ワイヤレスイヤホンに仕上がっている。
FreeBuds 4は、本日7月30日から発売が開始された。Amazonのほか、公式オンラインストアであるHUAWEI STOREでも取り扱われているので、興味がある方はチェックしてみてはいかがだろうか。
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