YOBYBO X-BOAT PRO レビュー。スライドギミック搭載、片手装着もできるユニークな完全ワイヤレスイヤホン | プラスガジェット
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YOBYBO X-BOAT PRO レビュー。スライドギミック搭載、片手装着もできるユニークな完全ワイヤレスイヤホン

3.0

3月10日より、YOBYBOブランドの新型完全ワイヤレスイヤホン「X-BOAT PRO」のクラウドファンディングが開始される。

「X-BOAT PRO」はYOBYBOシリーズ第5世代モデルであり、ハイレゾ相当の音質と革新的なデザインを両立した意欲的な1台だ。

今回、当サイトではクラウドファンディング開始前に「X-BOAT PRO」の実機を送って頂けたのでレビューをお届けしよう。じっくりと使い込んだうえで同イヤホンの音質やデザイン、電池持ちなどを含めた使い勝手を包み隠さずお伝えするので、参考にしていただければ幸いだ。

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動画レビュー

YOBYBOとは

まず本題に入る前に、YOBYBOとはどういったメーカーなのか?という点について簡単に紹介しておこう。聞き慣れないメーカーなうえパっと見では何と読めばいいのか迷うかもしれないが、読み方は「ヨービーボ」だ。

YOBYBOは、中国深セン発のオーディオメーカー兼テクノロジーブランド。主にワイヤレスイヤホンを展開しているメーカーではあるものの、「世界最薄クラス」や「世界最軽量クラス」といった謳い文句が多く、音質だけではなくハードにもこだわった設計が特徴のメーカーだ。

当サイトでは以前に同ブランドのZIP20(ジップ20)のレビューを掲載しているが、そちらもケースの質感や蓋の開閉音にこだわった、ある種変わり種のイヤホンだった。

YOBYBO X-BOAT PROとは

YOBYBO X-BOAT PROとは

本記事でレビューするYOBYBOの「X-BOAT PRO」は、同ブランド5世代目にあたる完全ワイヤレスイヤホン。

未来を感じる革新的なデザイン」と銘打たれており、極端なまでに薄いケース・片手でスライドできる構造など、他の完全ワイヤレスイヤホンではなかなか見られない独創的な設計が特徴だ。

また、高音質コーデックであるaptX Adaptiveもサポート。対応デバイスとペアリングした際には、ハイレゾ相当のサウンドも楽しめるようになっている。

「未来を先取りする」デザインをチェック

カラーバリエーション

前置きが長くなってしまったが、ここからが本題。まずは、未来を感じさせるという「X-BOAT PRO」の外観・デザインをチェックしていこう。

「X-BOAT PRO」には、スペースシルバー・ナイトブラック・サイバーグリーンの3つのカラーバリエーションが用意される予定。今回レビューするカラーはスペースシルバーだが、3色ともケースの色が異なるだけでイヤホン自体のカラーはブラックで統一されている。

バッテリーケースは角の丸い長方形だが、最大の特徴はパッと見ただけでわかるその薄さ。ケースとは言ってもイヤホン自体は剥き出しの状態で収納されており、両サイドからスライドさせて出し入れする独特のスタイルを採用している。

ケースの背面

反対側には、充電用のUSB Type-CポートとYOBYBOロゴ。ロゴはかなり大きめではあるものの、背景のシルバーに近いカラーが採用されているため、不自然に目立つことなくうまくデザインの一部として溶け込んでいる印象だ。

なお、ロゴやType-Cポートを覆っている部分はアンチグレア加工が施されたガラス製。ケース全体も1枚のアルミを削り出して設計されており、サラサラとしていて汚れや指紋も付きにくいため、見た目はもちろん手に取った際の質感も満足のいくものだった。

イヤホンはオープンタイプ

イヤホン本体は、イヤーピース不要のオープン(インナーイヤー)タイプ。軸やハウジングなどの大部分はケース同様サラサラとしたマットな質感で、イヤー部分のみ光沢のある質感に仕上げられている。

イヤホン単体の軽さも、「X-BOAT PRO」の特筆すべきポイント。片側が約3.9gと非常に軽量で、ケースも46.3gしかない。ケース自体の薄さも相まって、持ち運びには全く困らないだろう。カバンやポーチなどはもちろん、洋服のポケットにも無理なく入れて出かけられる。

スマートフォン側には「X-BOAT PRO」ではなく「Q-Boat」として認識されるので注意

片手装着は唯一無二だが…

前述の通り、「X-BOAT PRO」の特徴はイヤホンをスライドさせて出し入れするギミックだ。慣れてしまえば、イヤホンを半分ほどスライドさせる ⇒ 耳に軽く押し当てるように引っかけるという手順で、取り出しから装着までを片手で行える。

例えば、片方の手がカバンや傘などで塞がっていても、もう一方の手でポケットから 「X-BOAT PRO」 を取り出してスマートに装着可能。有効なシーンはやや限られてしまうが、ほかの完全ワイヤレスイヤホンではできない「X-BOAT PRO」だけの強みと言える。

左右の判別ができない

一方で、このスライド機構に関しては気になる部分もある。デザイン性を重視したためか、イヤホンをケースに収納した状態では左右(L・R)の判別がスムーズにはできない。

ケース内側にL・Rの印字

一応、イヤホンをほんの少しだけスライドさせると、ケース内側に印字されたL・Rを確認できる。しかし、片手でイヤホンをスライドさせると大抵の場合L・Rの印字は指の陰に隠れてしまうため、印字の存在と動作がイマイチ噛み合っていないと感じた。

ケース背面は左右非対称なので、現状は「Type-Cポートがある側が左だな」という判別方法に頼っている。それで問題ないと言えば問題ないのだが、左右の判別に慣れが必要という点にはやや詰めの甘さを感じてしまった。

長時間もラクラクな装着感

長時間もラクラクな装着感

前述の通り、「X-BOAT PRO」は片側約3.9gと非常に軽量な設計。オープンタイプということもあり、装着感は非常に快適だ。

バッテリー持続時間チェックの関係上、長時間付けっぱなしで過ごしたりもしていたが、耳が痛くなることはなくストレスフリー。軽く頭を振ってみてもズレたり落ちたりせず、フィット感も良好だった。

X-BOAT PROを装着してみた様子

装着した様子がこちら。

ケース収納時にイヤホンが剥き出しになっている関係上、イヤホン自体にインジケーターが搭載されているが、ペアリング後にインジケーターが点灯することはなかったので、薄暗い場所で耳が光ってしまう心配もなさそうだった。

クセのない軽快な音質

クセのない軽快な音質

続いては音質について。

まず、スペックについて簡単に紹介すると、「X-BOAT PRO」は13mmのLCPダイナミックドライバーを搭載し、SBC・AAC・aptX Adaptiveの3種類のコーデックをサポートしている。一部のAndroidスマートフォンでは、ワイヤレスながらハイレゾ相当のサウンドを再生可能だ。

今回は主にSpotifyで音楽を聴いてみたためハイレゾに関しては試せていないが、クセがなく自然な音に感じた。どちらかというと低音よりも中・高音域にスポットが当てられており、特にボーカルはしっかりと前に出ていて存在感がある

ドラムやベースといった重低音はやや軽めに感じたものの高音の抜けは気持ちよく、オープン型の特性を活かした軽快なサウンドを楽しめる。

通話にもオススメ

通話にもオススメ

音楽だけではなく、通話の音質に優れているのも「X-BOAT PRO」の魅力。

今回、通常の通話のほかLINEアプリの無料通話も試してみたところ、どちらも非常にクリアな音声で通話ができた。向こうの声が綺麗に聞こえるのはもちろん、エアコンが動いている部屋で通話をしていてもこちらの声はかなり綺麗に届いていたようだ。

「X-BOAT PRO」 には、2基のマイクを利用したENCノイズキャンセリング機能が搭載されている。周囲の環境音を軽減させ、最大で約-35dBのノイズ減退を実現するとのことなので、同機能がしっかりと効いているということだろう。

ゲーミングモードの実力は?

ゲーミングモードの実力もまずます

「X-BOAT PRO」には、遅延を最小限に抑えるゲーミングモードが搭載されている。イヤホン背面のトリプルタップで、ミュージックモードとトグル可能だ。

通常のミュージックモードの場合、ゲーム内のボタンのタップに対してワンテンポ遅れてくる形で操作音が聞こえてくる。一方、ゲーミングモードを有効にすると、指がボタンから離れるか離れないかくらいのタイミングで音が聞こえてくるため、しっかりと遅延が抑えられていることが確認できた。

リズムゲームのような音のタイミングが重要なゲームはさすがに厳しいが(そもそもワイヤレスイヤホンでは限界がある)、一般的なゲームを違和感を軽減しながらプレイするという目的であれば十分効果はあるはずだ。

タッチ操作

「X-BOAT PRO」はタップ・ダブルタップ・長押しによる操作に対応している。右耳と左耳で操作が分かれているほか、アプリは用意されておらず以下の操作を体で覚える必要があるため、若干慣れは必要かもしれない。

  音楽再生時 通話時
シングルタップ 右:ボリュームアップ
左:ボリュームダウン
応答
ダブルタップ 再生 / 一時停止 終話
ダブルタップ後に長押し 右:次の曲
左:前の曲
着信を拒否
トリプルタップ ゲーミングモード ⇔ ミュージックモード

また、筆者の指先の乾燥具合も関係あるのかもしれないが、率直に述べてタッチ操作の感度はそこまで高くはないと感じた。

感度が高くないと聞くとネガティブなイメージを持つかもしれないが、個人的にはあまり気になってはいない。むしろ、付け外しの際にシングルタップの操作がほとんど暴発しないので、意図通りにコントロールしやすい点で気に入っている。

電池持ちを検証

電池持ちを検証

最後に電池持ちの検証結果を共有しておこう。公式情報によると、「X-BOAT PRO」はイヤホン単体で最大約5時間の音楽再生が可能とのこと。

実際に「X-BOAT PRO」で音楽を再生し続け、Bluetooth設定の画面からバッテリー残量の推移をチェックして記録した結果が以下の表だ。

経過時間 バッテリー残量
0分 100%
1時間 85%
2時間 70%
3時間 55%
4時間 25%
5時間 15%
6時間 0%

バッテリーが0%になるまでの時間は、およそ6時間。何度か同様の検証をしてみたが、いずれも公称値よりも多少長持ちしてくれた。

標準的な電池持ちではあるものの、イヤホンの重量を考慮すれば十分健闘しているとも言える。なお、ケースを併用すると最大で約40時間再生可能だ。

ただし、1点どうしても気になったことがある。それは、バッテリーが15%前後になるとイヤホンから「Battery Low」という音声が流れる点だ。機能自体は珍しくないのだが、音声が数十秒に1回流れてくるため、非常に煩わしい

「Battery Low」の音声は、個人的にはそもそも不要だと思っている。もし流したいのであれば、バッテリー残量が減ったタイミング1回きりで十分であり、何度も執拗に聴かせる意味は全く感じない。検証結果の通り、バッテリーが15%を切っても1時間近く動作できるのに、この仕様は非常にもったいない。

次のモデルがあるのならば、ぜひ改善を希望したいポイントだ。

追記(2022/4/15)

GREENFUNDING内の活動報告によると、バッテリー残量低下時に流れる「Battery Low」の頻度を改善したと報告されています。どの程度かは不明ですが、頻度が少なくなったのであれば良調整だと言えます。

充電中の様子

充電方法は背面のType-Cポートによる有線接続のみであり、ワイヤレス充電には対応していない。「X-BOAT PRO」は薄型という明確なコンセプトがあるイヤホンなので、機能を取捨選択していると考えれば納得のいく仕様だ。

充電ポートが側面ではなく背面に搭載されているため、充電中の様子はややスマートさに欠ける。ちなみに、付属のケーブルはType-A to Type-Cだが、Type-C to Type-Cのケーブルでも充電可能。スマートフォンをモバイルバッテリー代わりにしても充電できるため、頭の片隅に入れておくと緊急時に役立つかもしれない。

まとめ

以上、YOBYBO「X-BOAT PRO」のレビューをお届けした。

アルミ削り出しのケースやイヤホンが剥き出しのスタイル、スライドギミックによる片手装着など、ハード的な部分にとことんこだわって設計されている。音質も決してないがしろにされておらず、質感とサウンドを高いレベルで両立している点が魅力だ。

一方で、すでにいくつか触れたように所々詰めの甘さも見られる。そういった点では、ある意味クラウドファンディングらしい製品とも言えるかもしれない。

「X-BOAT PRO」は、3月10日からGREEN FUNDINGにてクラウドファンディングが開始される。興味があればぜひチェックしてみてほしい。

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ひがし

平成6年生まれの男。趣味はガジェット・テニス・料理・スターウォーズ・カードマジックなど。ペンギンとオカメインコが大好き。

当サイトでは主にGalaxyを中心に様々なガジェットのリークやニュース、レビューなどをお届けしています。今は完全ワイヤレスイヤホンにご執心。