EarFunテクノロジー株式会社から7月11日に発売された新型の完全ワイヤレスイヤホン、EarFun Air Sのレビューをお届けする。
アクティブノイズキャンセリングを含む多彩な機能を網羅していながら、EarFunらしい低価格を維持。また、同社のイヤホンとしては珍しくアプリからの操作に対応している点も特徴だ。
本記事では、EarFun Air Sを実際に使用して音質やノイズキャンセリングの効果、電池持ちなど検証しレビューしていく。包み隠さずありのままをお伝えするので、ぜひ最後まで読んで頂ければ幸いだ。
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製品提供:EarFunテクノロジー株式会社
結論:EarFun Air Sのよい点とイマイチな点
まず最初に結論をまとめておこう。EarFun Air Sを使ってみて、よいと感じたポイントとイマイチだと感じたポイントは以下の通りだ。
よい点
- 7,000円を切る低価格なのに多機能
- 迫力のある低音
- 自然かつ快適な外音取り込み
イマイチな点
- ケースの質感がややチープ
- 高音が曖昧
- ノイズキャンセリングの効果は控えめ
デザイン:ケースは大型、フィット感は良好
EarFun Air Sは、ブラックの1色のみで展開されている。
バッテリーケースはやや膨らんだたまご型で、完全ワイヤレスイヤホンとしてはやや大きめの部類。特に、以前レビューしたEarFun Free Pro 2と比較するとその差は歴然だ。
ケースの素材はプラスチック。安価なイヤホンやモバイルバッテリー、充電器などにありがちな軽くてチープな質感なので、残念ながら高級感はほとんどない。
しかし、表面にはマットな処理が施されているので見た目の印象はそこまで悪くない。質感は安っぽいが事実EarFun Air Sの価格はべらぼうに安く、低価格という縛りのなかでも手触りや質感についてもできる限りの配慮はある。
ケース底面には各種認証マークやバッテリースペックなどが印字。こういった印字もデザインを重視するのであればケースの内側にあると嬉しいというのが本音だが、底面でも目立つことはないだろう。
イヤホン本体は、「スティック型」「AirPodsタイプ」などと呼ばれているハウジングから軸がまっすぐ伸びているスタイル。
軸部分の外側は、適度な光沢とマットなテクスチャを組み合わせて金属風の質感を実現している。グレーともネイビーともシルバーともとれるような絶妙なカラーを採用しており、この部分はスタイリッシュだと感じた。
イヤホン部分は、イヤーピースを耳に押し込むカナル型。
イヤーピースの根本からチラッと見えるレッドカラーがアクセントになっており、気に入っている。また、イヤーピースの正面が十字型になっている点も特徴。付属しているサイズ違いのイヤーピースも、全て十字構造を採用している。
装着感も良好で、落ちたり痛みを感じたりといったこともなく快適。軽量なうえIPX5の防水にも対応しているので、軽いランニングやウォーキングのときに使うイヤホンとしても申し分なさそうだ。
音質:低音の主張が強いドンシャリサウンド
実際にEarFun Air Sのサウンドをチェックしてみる。接続したスマートフォンはGalaxy Note20 Ultraで、コーデックはaptX。ちなみに、EarFun Air Sの対応コーデックはSBC・AAC・aptXの3種類だ。
Amazon Music UnlimitedからUltra HD対応の楽曲を再生してみた。
EarFun Air Sの音を一言で表すのであれば、いわゆるドンシャリがピッタリだろう。低音のなかでも特にベースの主張が強く、ほかの楽器よりも1歩、2歩、3歩と前に出て演奏しているのではないかと感じるほど迫力がある。
ドンシャリとは言っても低音域と高音域を雑に引き上げたような調整ではなく、全体としてのまとまりがある点はさすがといったところ。しかし、高音域に近づくにつれて音の分離が曖昧になりやすく、曲によっては刺さるような鋭さを感じてしまうのは、低価格というワードがチラつくポイントだった。
後程詳しく紹介するが、EarFun Air Sは「EarFun Audio」というアプリからイコライザーをカスタマイズできる。
「低音ブースト」「高音ブースト」「低音を弱める」「高音を弱める」の4つのプリセットを選択できるほか、3つの項目を自由に調節もできるので、低音の主張や高音の鋭さを抑えたい場合は活用するといいだろう。
ゲームモードで遅延をチェック
EarFun Air Sには、遅延を抑えるゲームモード(低遅延モード)も搭載されている。
実際、ゲームモードを有効にすると明らかに遅延が改善されていることを体感可能。ゲームモードオフの状態ではワンテンポ遅れて聞こえていた音が、多少スムーズに聞こえるようになる。
音の遅延を視覚的にチェックできるオーディオテスターというアプリでEarFun Air Sの遅延具合チェックしてみたところ、ゲームモードオフの状態での遅延は約200~300ms前後、ゲームモードをオンにすると遅延は約150ms前後だった。
ざっくりとした検証ではあるが、ゲームモードの有効化により約150ms程度の遅延解消効果は実感できる。
ノイズ制御
EarFun Air Sは、6,000円台の低価格ながらノイズキャンセリングと外音取り込みに対応している。
ノイズキャンセリングと外音取り込みは、EarFun Air Sをペアリングした状態で「EarFun Audio」アプリからオン・オフできるほか、イヤホンのタップ操作でも切り替え可能だ。
ノイズキャンセリング:効果は控えめ
EarFun Air Sのノイズキャンセリングは、最大で約30dBのノイズをカットできると謳われている。
実際にさまざまなシーンで試してみたところ、効果を実感しやすい音とそうでない音がハッキリと分かれている印象。低周波のノイズカットが最も得意と言える。
ノイズキャンセリングの効果が最も感じられたのは、エアコンの動作音や車のロードノイズなど、「ゴォー」という低音のノイズ。静寂になるほどの効果ではないものの、気にならない程度まではノイズが低減されている印象だ。
逆に、人の話し声やテレビの音声、公共施設のアナウンスなどへの効果は薄く、ボリュームダウンこそするものの比較的素直に貫通してくる。
自宅やカフェ、図書館などで静寂を求めようとすると物足りないと感じる可能性が高い。一方、地下鉄の駅構内や電車内などでは効果を実感しやすいので、参考にしてみてほしい。
外音取り込み:積極的に使いたいほど自然
EarFun Air Sの外音取り込み機能は、自然な音で非常に使いやすい。極端に音が増幅されて割れてしまったり耳に刺さったりなどはせず、イヤホンを付けていない状態の音がそのまま伝わってくる感覚に近い。
コンビニのレジで短時間だけ会話をしたい場合や、車通りの多い場所でEarFun Air Sを使いたい場合など、さまざまなシーンで積極的に有効化したい機能だと感じた。
タッチ操作:精度よく多機能
EarFun Air Sが対応しているタッチ操作は以下の通り。タッチの感度は良好で認識される範囲も広く、不自由なく操作できる。
1回タップに割り当てられている機能が音量調節なので、不意に指がふれてしまっても曲が止まりにくい点も好印象だった。
機能 | 左耳側の操作 | 右耳側の操作 |
---|---|---|
音楽の再生/停止 | ダブルタップ | |
曲送り | – | トリプルタップ |
ボリュームアップ | 1回タップ | |
ボリュームダウン | 1回タップ | |
音声アシスタント起動 | – | 2秒長押し |
ANC / 外音取り込み / ノーマルモードの切り替え | 2秒長押し | – |
低遅延(ゲーム)モードのオン・オフ | トリプルタップ | – |
着信の応答・終話 | ダブルタップ |
正直に述べると項目が多いので覚えるのは大変だが、アプリによるカスタマイズに対応しているためある程度の柔軟性はある。
カスタマイズに対応しているのは、「トリプルタップ」と「長押し」の2種類。それぞれ
- 一時停止
- 前の曲
- 次の曲
- 音声アシスタント起動
- ゲームモード
- ノイズキャンセルモード切替
の6項目から好きな機能を選択し割り当て可能だ。
アプリ「EarFun Audio」:シンプルで使いやすい
EarFun Air Sは、「EarFun Audio」という独自のアプリに対応している。EarFun Air S専用のアプリというわけではなく、複数のEarFun製イヤホンの登録に対応しているようだ。
はじめてアプリを起動すると、ログインを促される。
Google Playのレビューを見ると以前は会員登録後のログインが必須だったようだが、現在は「キャンセル」をタップすればログインなしで利用可能だ。
アプリでできることは、主に
- ノイズキャンセリング・外音取り込み・ノーマルモードの切り替え
- ゲームモードのオン・オフ
- イコライザーのカスタマイズ
- タッチ操作のカスタマイズ
- ファームウェアの更新
など。左右個別にバッテリー残量の確認も行えるが、10%刻みでの表示にしか対応していないためBluetoothの設定画面で得られる情報と大差はない。
試しにイコライザーを調節してみよう。
イコライザーの設定画面では、「低音」「アルト」「高音」の3種類を上に10段階、下に10段階調節できる。また、音質の項でも触れたように「低音ブースト」「高音ブースト」「低音を弱める」「高音を弱める」の4つのプリセットも選択可能だ。
カスタマイズの幅は広いとは言えないし複数のプリセットを保存する機能にも対応していないので、必要最小限の機能と言える。しかし、その分シンプルでオーディオに詳しくない方でも扱いやすいため、6,000円台の格安完全ワイヤレスイヤホンのサポートとしては十分だと感じた。
マルチポイントにも対応
EarFun Air Sは、マルチポイントにも対応している。
マルチポイントとは、2つのデバイスに同時に接続できる機能のこと。タブレットとスマホの両方に接続しておき、タブレットで動画を見たり音楽を聴いたりしている最中にスマホに着信があった場合、切り替えの手間をかけずにEarFun Air Sで応答できる。
マルチポイント対応の完全ワイヤレスイヤホンは、最近になって増えてきている印象。しかし、6,000円台の低価格モデルでは対応例は少ないため、EarFun Air Sの強みと言える。
電池持ち:必要十分
公式サイトのスペックシートによると、EarFun Air Sはノイズキャンセリングオフの状態で約6時間、ノイズキャンセリングオンの状態で約5時間連続で使用できるとのこと。
実際にノイズキャンセリングオン・オフ両方の状態でEarFun Air Sを使用し、バッテリーがゼロになるまでの時間を計測して電池持ちを検証した。
経過時間 | ノイズキャンセリング – オン | ノイズキャンセリング – オフ |
---|---|---|
0分 | 100% | 100% |
1時間 | 90% | 80% |
2時間 | 70% | 70% |
3時間 | 50% | 60% |
4時間 | 20% | 40% |
5時間 | 10% | 20% |
6時間 | – | 10% |
結果は、ノイズキャンセリングを有効にすると約5時間分、無効にすると約6時間。ほぼスペックシート通りの結果だ。
ワイヤレス充電にも対応
EarFun Air Sのバッテリーケースは、背面に充電用のUSB Type-Cポートを搭載している。
また、Qi規格のワイヤレス充電もサポートしているので、互換性のあるワイヤレス充電器があれば置くだけでも充電可能。Galaxyスマホに搭載されている、ワイヤレスバッテリー共有機能で充電できることも確認済みだ。
まとめ
以上、EarFun Air Sのレビューをお届けした。
ノイズキャンセリング・外音取り込み・イコライザー調節・マルチポイント・防水など完全ワイヤレスイヤホンに求められるほとんどの機能を網羅しながら、7,000円を切る低価格に抑えられている点がEarFun Air S最大の魅力だ。
各機能のクオリティはそこそこでいいから全部入りの完全ワイヤレスイヤホンが欲しい、という方にはピッタリの1台と言える。
EarFun Air Sのスペック
製品名 | EarFun Air S |
---|---|
サイズ | 56 x 65 x 31mm |
重量 | 約52g |
Bluetoothバージョン | V5.2 |
対応コーデック | aptX・AAC・SBC |
バッテリー容量 | 40mAh(イヤホン)/ 500mAh(充電ケース) |
電池持続時間(公称値) | ノーマルモード:最大約6時間 ANCモード:最大約5時間 |
充電方法 | USB Type-Cポート / ワイヤレス充電 |
ANC(アクティブノイズキャンセリング) | 対応 |
外音取り込み | 対応 |
マルチポイント | 対応 |
装着検出 | 非対応 |
防水防塵 | IPX5 |
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