最近は、高性能な完全ワイヤレスイヤホンの低価格化が急速に進んでいる。強力なノイズキャンセリングを搭載したモデルやワイヤレス充電に対応したモデルなど、ハイエンドモデルと遜色ない機能を搭載したモデルも増えてきた印象だ。
本記事で紹介する「EarFun Free Pro 2」も、ノイズキャンセリング機能やQiワイヤレス充電に対応している。充実の機能を備えていながら価格は7000円台まで抑えられており、いわゆる「コスパ抜群」などと言われる完全ワイヤレスイヤホンだ。
本記事では、「EarFun Free Pro 2」のレビューをお届けする。音質やノイズキャンセリングの効果はもちろん、電池持ちもしっかりと検証しコストだけではなく肝心のパフォーマンス面もチェックしてみたので、ぜひ最後まで読んで頂ければ幸いだ。
TOTAL
3.5/5
製品提供:EarFunテクノロジー株式会社
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動画レビュー
EarFun Free Pro 2の概要
まずはじめに、「EarFun Free Pro 2」とはどういった完全ワイヤレスイヤホンなのか?という点について簡単に紹介しておこう。
名称に2が入っていることからもわかるように、本製品はEarFun Free Proの後継機にあたるモデル。リーズナブルな価格は維持しつつ、アルミニウム合金採用のコンパクトなケースやノイズキャンセリング性能の向上、マイクの増設など順当な進化を遂げているようだ。
「EarFun Free Pro 2」の主なスペックは、以下の表を確認してみてほしい。
製品名 | EarFun Free Pro 2 |
---|---|
サイズ | 66.6mm x 25mm x 28.5mm |
重量 | 4.1g(イヤホン単体) / 約38g(充電ケース+イヤホン) |
Bluetoothバージョン | V5.2 |
対応コーデック | AAC / SBC |
バッテリー容量 | 35mAh x 2(イヤホン) / 420mAh(充電ケース) |
電池持続時間 | ノーマルモード:最大約6時間 ANCモード:最大約5時間 |
充電方法 | USB Type-Cポート / ワイヤレス充電 |
ANC(アクティブノイズキャンセリング) | 対応 |
外音取り込み | 対応 |
マルチポイント | 非対応 |
装着検出 | 非対応 |
防水防塵 | IPX5相当の防滴 |
充実の付属品
「EarFun Free Pro 2」のパッケージがこちら。オーディオビジュアル機器の総合アワードであるVGP2022の受賞機器であることが比較的大きくアピールされている。
内容物は、「EarFun Free Pro 2」本体のほかに、交換用のイヤーピースとイヤーフック、充電用のType-A to Type-Cケーブル、取り扱い説明書。また、イヤホンやケースなどに付いた汚れ・ゴミなどを取るのに使える綿棒も付属している。
筆者の経験上、清掃用の綿棒がイヤホンの付属品として同梱されていたのは初めて。さらに、クリーニング方法が日本語で記載された紙まで入った充実っぷりはまさに至れり尽くせりと言える。
デザインと装着感:とにかく小さい
さっそく「EarFun Free Pro 2」の実機をチェックしていこう。まずは、デザインや質感といった外観を中心にレビューしていく。
本機のカラーバリエーションは、ブラックの1色のみ。バッテリーケースを箱から取り出したときの第一印象は「小さい!細い!」だった。スペック表を見た時点である程度コンパクトであるとは予想していたが、実物は予想を2回りほど上回るサイズ感。
完全ワイヤレスイヤホンは、一般的に長方形のバッテリーケースを採用したモデルが多い。「EarFun Free Pro 2」のケースも長方形ではあるのだが、とにかく細い。イメージとしては、親指くらいの太さと人差し指くらいの長さといったところだ。
ちなみに、「EarFun Free Pro 2」のバッテリーケースには素材としてアルミニウム合金が採用されているとのこと。質感の高さが本機の特徴のひとつのようだが、触ってみた感覚としては一般的なプラスチック製のケースと比べてもあまり違いは感じられなかった。
一応、表面はマットな質感に処理されているためペタペタと指紋や汚れが付いたりといった心配はほとんどない。大人っぽいデザインで十分に満足できる仕上がりだが、個人的には「高級感がある」とまでは言えないように思えた。
ケースを開けてみた様子がこちら。イヤホンは横並びに配置されており、周囲にも十分なスペースが設けられているためスムーズに出し入れ可能だ。
ケース内部も素材感は外側と同じ。ただし、イヤホンが直接触れる部分は光沢のある質感に仕上げられている。
イヤホン単体のデザインがこちら。イヤホンの外側もケース同様にマットな処理が施されているので、汚れが目立ちにくい。
内側に1箇所、外側に2ヶ所小さな穴が確認できるが、これらは全てマイク。左右で合計6のマイクが搭載されてる。
装着感
「EarFun Free Pro 2」は、イヤーピースを耳に押し込むカナル型と呼ばれるタイプのイヤホン。
イヤーピースのほかにイヤーフックも搭載したスタイルを採用しており、フィット感は良好だ。イヤーフックに適度な弾力があるため、しっかりと支えられている感覚がある。頭を軽く振ったくらいでは落ちず、ランニングに耐えられるのも実証済みだ。
「EarFun Free Pro 2」を装着した様子がこちら。
イヤホン自体も非常にコンパクトなので、自分にとっても外から見る第三者にとっても異物感は少なく比較的自然な印象だ。
音質:女性ボーカルが心地よい
続いては 「EarFun Free Pro 2」 の音質について。コーデックはAACとSBCの2種類に対応している。
Galaxy Note20 UltraとAmazon Prime Musicの組み合わせでさまざまな曲を再生してみたところ、中高音域周辺の華やかさが真っ先に感じ取れた。やや派手気味なきらいはあるものの不自然な色付けは少なく、特にシンセや女性ボーカルとの相性がよいと感じる。
一方で、キラキラとした解像感や臨場感のある奥行きはもう1歩。平面的とまでは言えないものの、あともう少しだけ音場が拡張されるとまた違った評価になっていたと思う。
低価格なイヤホンには、取り合えず低音を強調したようなやっつけ仕事な音質のモデルも多くあるが、 「EarFun Free Pro 2」 は価格の制約があるなかでもしっかりと音を作りこみ工夫しているように感じた。
ノイズキャンセリング:価格を忘れそうになるノイズ低減効果
「EarFun Free Pro 2」 の特徴のひとつが、強力なアクティブノイズキャンセリングだ。公式サイトによると騒音を最大で40dBまで低減できるという。
実際に試してみたところ、確かにスペック通りの効果が感じられた。自宅で使用するとエアコンが動作しているかどうかわからなくなるくらいには動作音が消え、外で使用すればロードノイズもほとんど気にならない。
一方で、人の話声を打ち消すのはやや苦手。周囲の人の会話は若干遠のくもののほかの雑音と比較するとしっかりと聞き取れてしまった。
また、風切り音とホワイトノイズも気になったポイント。音楽を流していないときに聞こえる「サーッ」というホワイトノイズが若干大き目なので、耳栓用として購入を検討している場合は注意が必要だ。
外音取り込みで自然に会話が可能
「EarFun Free Pro 2」にはノイズキャンセリングの反対、周囲の音を取り込む機能も搭載されている。
マイクが左右合計6つも搭載されているおかげかもしれないが、本機の外音取り込み機能はかなり自然で非常に使いやすかった。極端に音が増幅されて割れてしまったり耳に刺さったりなどはせず、イヤホンを付けていない状態の音がそのまま気持ち拡大した程度で伝わってくる。
コンビニのレジで短時間だけ会話をしたい場合や、車通りの多い場所で「EarFun Free Pro 2」を使いたい場合など、さまざまなシーンで積極的に有効化したい機能だと感じた。
電池持ち:可もなく不可もなく
気になる 「EarFun Free Pro 2」 の電池持ちについても検証してみた。公式サイトのスペックシートによると、「EarFun Free Pro 2」はノイズキャンセリングオフだと6時間、ノイズキャンセリングオンだと5時間連続で音楽再生が可能だという。
実際に、ノイズキャンセリングオンの状態とオフの状態、それぞれどれくらいのペースで電池が消耗されていくかを検証した結果が以下の通り。ペアリングしたスマートフォンはGalaxy Note20 Ultra、音楽再生に使用したアプリはSpotifyだ。
経過時間 | ノイズキャンセリング – オン | ノイズキャンセリング – オフ |
---|---|---|
0分 | 100% | 100% |
1時間 | 66% | 88% |
2時間 | 46% | 66% |
3時間 | 19% | 52% |
4時間 | 5% | 36% |
5時間 | – | 21% |
6時間 | – | 5 |
ノイズキャンセリングを有効にすると約4時間分、無効にすると約6時間だった。ノイズキャンセリング有効時の電池持ちが気持ち少ないが、ほとんど公式情報通りといっていいだろう。
約4時間という電池持ちは決して長いとはいえない。しかし、十分な効果のあるノイズキャンセリングを搭載した完全ワイヤレスイヤホンとしては、個人的な判断基準にはなるものの及第点ではある。
3~4時間の新幹線移動の間に充電を挟む必要がないため、「EarFun Free Pro 2」1台だけでもとりあえず外出できそうだ。
ちなみに、上記のバッテリー持ち検証後の残量が空になったイヤホンをケースに戻したところ、約20分で50%まで回復した。
コンパクトながらワイヤレス充電にも対応
ケースは、背面のUSB Type-Cポートのほか、Qi規格のワイヤレス充電にも対応している。「EarFun Free Pro 2」のスリムなサイズにワイヤレス充電機構を搭載してきた点は、非常に評価できるポイントだ。
Galaxyスマートフォンに搭載されているワイヤレスバッテリー共有でも充電可能。Galaxyユーザーはもちろん、同様の機能を搭載したスマートフォンユーザーであれば別途ケーブルを持ち歩く必要がない。
操作方法を覚えるのに一苦労
「EarFun Free Pro 2」には、ほかの多くの完全ワイヤレスイヤホン同様にタッチ操作によるさまざまな機能が搭載されている。
タッチの反応はよく、反応するエリアが中央付近のみ(EarFunロゴがあるあたり)に限られているため、誤操作する心配も少ない。そのため、タッチ操作自体にはストレスが少ないのだが、利用できる機能が多く使いこなすのがやや難しいとも感じる。
機能 | 右耳側の操作 | 左耳側の操作 |
---|---|---|
音楽の再生 / 停止 | ダブルタップ | |
曲送り | トリプルタップ | – |
ボリュームアップ | 1回タップ | – |
ボリュームダウン | – | 1回タップ |
着信に応答 / 終話 | ダブルタップ | |
着信拒否 | 2秒長押し | |
通話の切り替え | トリプルタップ | |
音声アシスタント起動 | 2秒長押し | – |
ANC / 外音取り込み / ノーマルモードのオン・オフ | – | 2秒長押し |
低遅延(ゲーム)モードのオン・オフ | – | トリプルタップ |
上記が「EarFun Free Pro 2」のタッチ操作で利用できる機能の一覧。機能ごとではなく操作ごとに分類すると、「シングルタップで音量調節・ダブルタップで再生 / 停止・トリプルタップで曲送り」と少しはわかりやすくなる。
しかし、操作が左右に分けられているため「ボリュームアップは右か?左か!?」といった形で迷いやすく、若干ストレスを感じたのも事実。機能と操作を制御するアプリが用意されていないのはコストカットだと思うが、同じコストカットなら機能を絞ってくれた方が結果的に使い勝手はよかったのではないかと感じてしまった。
まとめ:EarFun Free Pro 2はどんな人におすすめ?
TOTAL
3.5/5
以上、「EarFun Free Pro 2」のレビューをお届けした。
多くの媒体で「コスパ最強!」などと謳われており、逆に若干の胡散臭さを感じながらのレビューだったが、1万円を大きく下回る価格ながらアレもコレもできてしまう全部入りの仕様には正直感心してしまった。
もちろん、音質やノイズキャンセリング、質感や操作性など、個々の要素にフォーカスを当てれば「EarFun Free Pro 2」より優れた完全ワイヤレスイヤホンは多く存在する。
しかし、満遍なく及第点を取っている点が本機の魅力であり、「こだわりがない」「専門的なスペックはよくわからない」「とにかく安く」といった条件でイヤホンを探している方には、「EarFun Free Pro 2」は非常におすすめだと言える。
「EarFun Free Pro 2」は、Amazonにて税込7,704円(執筆時点)にて販売されている。興味があれば、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
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