Pixelシリーズに新モデル、それも待望の廉価版が登場しました。
GoogleはPixelシリーズとしては初となるミドルレンジPixel 3aとPixel 3a XLの2モデルを投入。ハイエンドに当たるPixel 3・Pixel 3 XLと比較してワンランク下のプロセッサを搭載し、本体素材も変更。その反面カメラ性能はキープされるなど、一言にミドルレンジや廉価モデルと言っても上手く機能の取捨選択がされています。Pixel 3aとPixel 3a XLのうち、筆者が購入したのはより小型なPixel 3a。両モデルともJust Black、Clearly White、Purple-ishの3つのカラーバリエーションで展開されており、今回はせっかくなのでPurple-ishを選択。
本記事では、Pixel 3aとはどのようなスマートフォンなのか、実際の使用感を写真を交えながらレビューしていきます。最後には動画もありますので少しでも購入を検討している方の参考になれば幸いです。
なぜXLではなくPixel 3aなのか
レビューの前に、Pixel 3aと3a XLの2モデルで展開されているこのシリーズでなぜXLではなく3aを選んだのかを簡単にお伝えします。
Pixel 3aと3a XL、名称からわかるように筆者が購入した3aはより小型なモデルになります。Pixel 3a XLは大型な分だけ当然高性能、というわけではなく両者のスペックにおいて差があるのは
- 画面サイズ:Pixel 3a⇒5.6インチ Pixel 3a XL⇒6.0インチ
- バッテリー:Pixel 3a⇒3,000mAh Pixel 3a XL⇒3,700mAh
この2点と単純なサイズと重量くらい。それでいて販売価格はPixel 3aの方が1万円以上安価に設定されています。筆者は昨年のPixel 3発表時に価格の高さを前にして購入まで踏み切ることができませんでした。そこで今回は機能やデザインがほぼ同じであるならば少しでも安い方が良い、との判断の上でPIxel 3aを購入した形になります。日本ではまだまだ小型サイズの需要が根強い印象があるため、多くの人がXLではなくPixel 3aを購入しているのではないでしょうか。
初期ロットにはPixel 3a XLのファームウェアが焼かれている可能性アリ
初期ロットに限った話なのでもう解決している問題だとは思いますが、一部のPixel 3aは誤ってPixel 3a XLのファームウェアが焼かれた状態で出荷されています。これによる弊害は主におサイフケータイが使えないこと。逆に言うとおサイフケータイの設定に触っていない場合は気が付かない可能性が高く、該当の端末の所有者にはGoogleから直に連絡がいっているようですが念のためにPixel 3aを予約購入した方は確認してみることをオススメします。
確認の方法やもし初期不良であった場合の対応は以下を参考にしてみてください。
Pixel 3aの外観をチェック。片手に収まる軽量設計
前置きが長くなってしまいましたが、まずはPIxel 3aの外観・デザインをチェックしていきます。今回購入したカラーはPurple-ishですが、初代Pixelから続く光沢違いのツートンデザインと電源ボタンのアクセントカラーは踏襲され、デザイン面における大きな変更点は無し。ポジション的に勘違いされやすいですが、Pixel 3aは廉価版であり小型モデルではありません。サイズは151.3 x 70.1 x 8.2mmで、Pixel 3シリーズで最も小型なのは145.6 x 68.2 x 7.9mmのPixel 3。しかし重量はPixel 3aがPixel 3よりも1グラム軽い147gでシリーズ最軽量。さすがにPixel 3と持ち比べて1gの差を感じることはできませんが、最近の大型スマートフォンを比較対象とすれば軽さを実感できると思います。
ベゼルレスデザインのスマートフォンが急激に増えている中、Pixel 3aの太いベゼルは自己主張が激しくやや時代遅れであることは否めません。PixelシリーズはHTCから引き抜かれたチームによって開発されていると言われていますが、以前触ったU12+にも同じ印象を抱いていたことを思い出して何となくHTCの面影が見え隠れしていることに気が付きます。
上部には3.5mmジャックを装備。Pixel 2で廃止されてしまったインターフェースがこのタイミングで復活したのは不意打ちでした。どうも近頃はハイエンドからイヤホンジャックを撤廃し下位モデルには残しておく、という差別化が頻繁に見られますが、有線・無線のどちらでも利用可能な分イヤホンジャックがある方が高機能と言える気がします。コスト的にはどちらが優れているのかは不明ですが・・・。
Purple-ishの場合、側面の電源ボタンのカラーは明るいグリーン。右手で本体を持つ場合は丁度親指が電源ボタンに掛かる位置に来るのですが、筆者の場合持つ手は左手。電源ボタンを押すためには人差し指もしくは中指を少し伸ばす必要があります。細かなポイントですが、個人的には電源ボタンと音量ボタンは上下逆の方が好みでした。
ポリカーボネート製の本体の見た目は思っていたよりもチープな感じはせず好印象。触れてしまえばガラスとの質感の差は如実に感じられますが、指紋などの汚れや割れを気にしないで気軽に扱えるのは1つのメリットでしょう。
Snapdragon 670の性能は?ベンチマークスコアを計測
Pixel 3aは日本で販売されているスマートフォンには採用例が少ないSnapdragon 670を搭載しています。ミドルレンジというとSnapdragon 660や630などの約2年前のプロセッサがまだまだ現役ではありますが、妥協せずに比較的新しいプロセッサを選んでいるのは嬉しいところですね。
参考程度ですがAntutuベンチマークのスコアは157790。Snapdragon 710のスコアが約16万強くらいでしたので、それなりに健闘しています。
PUBGはデフォルトで3段階中最高のHD画質が選択されていました。しかし実際にプレイしてみたところ頻繁にではないもののコマ落ちするシーンが見受けられたので、PUBGに限って言えば設定からある程度画質を落とした方が快適に遊ぶことができると思います。
その他基本的な動作においてはパワー不足を感じるシーンは無く、実に軽快に動作してくれます。唯一気になる点は後述しますがカメラの夜景モードやポートレートでの撮影後、処理に数秒かかること。廉価版でありながらも上位モデルと同等のカメラ性能を有しているが故の弊害かもしれません。
Pixel 3同等の機能。Night Sightもアクティブエッジも利用可能
廉価版でありながらもほとんどの機能がそのまま使えることはPixel 3aの魅力。HTC譲りの本体下部を握りこむことでGoogleアシスタントを呼び出せる「アクティブエッジ」も健在で、Google製スマートフォンである本機のGoogle製らしい要素と言えるでしょう。握る際の感度も調整可能で誤作動させてしまうこともなく、適度なサイズ感のPixel 3aとは中々相性の良い機能に思えます。”呼び出しやすいが誤作動しにくい”というのは相反するようですが重要なポイントで、ここのさじ加減を誤るとBixbyボタンのようなマイナスイメージが付きまとうことになるので、その点は上手くやっています。
また、アラームの音や着信も端末を握ることで素早く消音することが可能。あまり注目されない機能ですが毎朝便利に活用しています。
カメラはハイクオリティ。作例を紹介
Pixel 3とPixel 3aのカメラモジュールは同じもので、カメラ性能は同等。画像処理専用チップの「Pixel Visual Core」がPixel 3aには非搭載のため厳密には同じとは言えないようですが、その差分はソフトウェアの最適化によって対処しているために性能は同等であるとGoogleが発言しています。
やや逆光気味の1枚。デフォルトでONになっているHDRがよく効いているおかげか全体的に明るく迫力ある写真が撮れたと思います。
生い茂る草を撮影。緑色の濃淡から葉っぱの細部に至るまでよく描写されていると思います。
夜景モードで撮影。距離がありすぎるため光量が足りないですが、水面までしっかり描写されています。しかし暗い部分はややノイズが目立ち、P20 Pro程の衝撃ではないですね。”夜景モード”の名の通り暗いところを明るく撮影するというよりも、暗がりの中での光をキレイに表現することが得意といった印象です。
ポートレートモードはハイクオリティで、シングルカメラでここまでできるのかと素直に驚き。細い茎や葉に惑わされることなく、被写体からの距離に応じて自然にボケの度合いも変化しています。
総じてカメラはハイクオリティでしたが、撮った写真をサっと確認しようすると撮影後の処理に数秒かかっていることが多くて気になりました。ポートレートモードと夜景モードは特にその傾向が顕著で、これがもし前述の「Pixel Visual Core」が無いことによるものだとしたら、少なくとも「カメラ性能は同等」というのはやや怪しくなってきます。撮れる写真自体は文句なく綺麗なものですが。
Pixel 3aの不満点。ベゼル、バッテリー、初期不良
総合的に満足度の高いPixel 3aですが、イマイチなポイントもいくつか紹介しておきます。
まず第一に、バッテリー持ちはあまり良くはありません。いくつかレビューを見ているとPIxel 3も似たような状況らしく、むしろPixel 3aは改善されている方らしいのですがそれでも自信を持って「丸一日安心!」とは言えない危うさがあるというのが正直な評価。
また、冒頭でも触れたように質感は悪くないもののデザイン、特にベゼルの太さは時代遅れ。何でもかんでも流行に乗ってベゼルレスにすればいいわけではありませんが、指紋センサーやスピーカーがあるわけでもないディスプレイ下のスペースは無駄と言わざるを得ません。
これは”Pixel 3aの不満点”からは少し外れてしまうかもしれませんが、予約した端末が初期不良だったことはやはりマイナスな印象。何よりも「交換した端末も同様の不具合を抱えている可能性がある」という点がGoogleもどこまで問題を把握できているのかが曖昧に思えてしまい、不安にさせられたところが大きいです。
まとめ。Pixel 3aは「買い」なのか?どんな人にオススメ?
以上Pixel 3a使ってみた感想をお伝えしました。
ハイエンドモデルであるPixel 3の約半分の価格でありながらも要素の的確な取捨選択によりほぼ同等の機能と妥協しない性能を持ち合わせており、各所でコストパフォーマンスが最高との評価を得ています。
一方で、本機に限らずPixelシリーズはAndroid OSのリファレンスモデルという役割もあることから尖った機能が無いもの事実であり、一般的にあまり重要視されていない「3年間アップデートが保証されている」ことが最大の特徴に。カメラ性能も優秀ですが1万円近く安いHuaweiのP30 liteでも同じくらい満足度の高い仕上がりは得られますので、単純に「コスパ最強」で片付けてしまうのはやや違和感が残るかなと思います。
個人的には迷わず「買い」なPixel 3aですが、それはアップデートの保証やいち早く最新のOSを試すことに楽しみを見出しているから。逆に言うとそれらにあまり興味が無いのであればもっと選択肢は広がりますし、以前紹介したOPPOのR17 Neoの方がスマートフォンとしての面白さやコストパフォーマンスは上だと思います。ただし、かつてはNuAns NEO [Reloaded]くらいしか選択肢が無かったハイエンド以外での「SIMフリーでおサイフケータイを使いたい」「性能にも妥協したくない」というニーズに応えるには最適なのは事実。
Pixel 3aは新たなスタンダードになるスマートフォン。ミドルレンジとしては理想的な仕上がりになっていますが、自分がスマートフォンに求めている要素は何か?を考えつつ買い替えを検討してみてほしいと思います。
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