HTCの最新フラッグシップU12+の実機を触ってきたので簡単にレビューをしていきます。
HTC U12+は、国内では7月20日にSIMフリーモデルとして販売開始となったHTCの最新フラグシップモデル。プロセッサにSnapdragon 845を搭載したハイエンドモデルで、前作U11と比べメモリが4GB→6GBに、インカメラ、リアカメラ共にシングルカメラからデュアルカメラになるなど順当な進化を遂げているほか、U11より搭載されていた独自機能エッジセンスにもこれまでの「握る」動作に加え「持つ」「タップ」などの操作方法が追加され片手での操作を快適にできるようにブラッシュアップ。9月22日に開催されたHTCのユーザーイベントMeet Uに参加し、U12+をじっくり試してきました。
外観。トランスルーセントブルーが目を引く
こちらがHTC U12+。私が試用できたのはトランスルーセントブルーという半透明で中の構造が透けて見えるという特徴的なカラーバリエーション。水面のような独特な反射をするリキッドサーフェスデザインをベースに一部分が透けるように。
アップにしてみるとこんな感じ。指紋センサーを中心に周囲のパーツが薄っすらと透けて見ええているのがわかるかと思います。かつてのボンダイブルーのiMacやクリアパープルのゲームボーイなど、中身が透けるデバイスというのはそれだけで引き付けられる独特の魅力がありますね。どうせならもっと大胆に全体を半透明にしてほしい、との意見もあるようですが、この中央にかけてのグラデーションのスケルトンも素晴らしいデザイン性かと思います。
ちなみにこちらがバックパネルを外したところ。中心部分のみが半透明になっていることがよくわかります。
カメラは待望のデュアルカメラとなっており、背面から飛び出すことなくフラットで横並びに配置。2つのカメラはそれぞれ1200万画素の広角レンズと1600万画素の望遠レンズとなっており、ズーム時の切り替えの他ソフトウェア的に背景ボケを作る際に利用されるそうです。
左サイド。照明の関係で見えにくいですが、こちらはSIMスロットのみ。
右サイドは電源とボリューム調整の感圧センサー。どちらもボタンではなく”感圧センサー”になっています。電源は指で触れて判断できるように斜めにパターンが入っています。
ちなみにこちらがU12+の試作機の右サイド。電源もボリュームも感圧センサーで操作するため”ボタン”という形をとる必要がなかったことから元はこんな感じだったとのこと。しかしより快適な操作性を考えた結果今のボタン風のデザインが最適との結論に至ったのだそうです。
U12+は”触れて、握って”操作する
上でも述べたようにU12+は電源もボリュームも感圧式のセンサーで操作するため、完全にボタンレスな設計になっています。さらにU11から搭載され今作でさらにブラッシュアップされたエッジセンス2による握る操作など、U12+はこれまでにない独特な操作方法が目立つ端末。実際に使ってみた感想としては、感圧式の電源、ボリューム操作は意外とすんなり受け入れることができたかと思います。しかし操作自体は受け入れることができたものの、センサーを”押した”と判定された時にU12+からバイブによるフィードバックが帰ってくるのですが、私が現在メインに使っているGalaxy Note8の疑似ホームボタンやiPhoneのTaptic Engineとは違いボタンとされている場所だけでなく端末全体がブルっと振動することが若干の違和感でした。もしかすると細かく設定ができるのかもしれませんが、今後も感圧センサーによる操作を継続するのであれば改善を期待したいポイントになります。
エッジセンスは軽く触ってみただけではありますが個人的にはかなり好印象。握る動作は以前からありましたが、U12+から追加されたダブルタップという動作についても3段階で感度を調節することができ、割り当てる動作も豊富に用意されておりかなり便利に使えそうです。個人的にはダブルタップに「戻る」を割り当てれば、現在Galaxy Note8でBixbyボタンに割り当てている「戻る」とほぼ同等な操作感を実現できると考えており、それだけでエッジセンス2の意味があると思っているほどです。
Meet U会場で会った人の中にU12+ユーザー、U11 Lifeユーザーの方がいてエッジセンスについて少しお話したのですが、端末スリープのオンオフ、会員証系などのサッと出したいアプリのショートカットなど各々自分にあったスタイルで活用されていて、飛び道具的なイメージを持っていたエッジセンスに対する印象がガラッと変わりました。せっかくこれだけ興味が湧いてきたのに次に出るU12 Lifeにはエッジセンスは非搭載とのことで非常に残念・・・。
堅実かつ美しいカメラ
Meet U会場内だけですが、U12+のカメラで撮影することもできました。
テーブルに置いてった木彫りの白熊。カクカクした質感がよく表現できています。
同じくテーブルに置いてあった花を撮影。背景ボケを作るモードで撮りましたが、細かい葉や茎に惑わされることなくしっかりと背景のみをボカすことに成功しています。
こちらもボケモードで撮影。奥の方がボケていますが、今回のように明確に背景らしくない平面的な場合は若干不自然になってしまいますね。
逆に被写体と背景をハッキリさせてあげるとU12+はしっかりと意図を読み取ったかのように処理してくれます。
フルーツの盛り合わせ。皮や果肉のディティールも残っており色も現実に忠実です。
全体的にHuaweiやGalaxyのような彩度やシャープネスを強調したような派手さはなく、どちらかというとiPhone的な現実に忠実な画作りといった印象を受けました。全て室内の照明のみでの撮影でしたが十分に明るく撮れており、発色も綺麗。Androidのカメラの強みともいえるマニュアル撮影やRAW保存も可能で、堅実ながらもハイレベルなカメラでした。
ディスプレイは改善の余地あり?
明確に比較したわけではないのですが、U12+は最大輝度にした状態でも若干画面の明るさが物足りなく感じました。ディスプレイ自体は非常にキレイで暗い部分の表現も液晶の割にうまくできていると感じたのですが、画面の明るさ(もしかすると視野角)は改善できるポイントかもしれません。また、現代のフラッグシップにしては上下のベゼルの太さも残念ながら目立ってしまいます。P20 ProはU12+とほぼ同等かちょっと狭いくらいのベゼルに指紋センサーを配置できているため、U12+ももっと工夫できるのではないかと思っています。
たったの2時間ちょっとの間触ってみただけですが、U12+はこれまでのスマートフォンというジャンルを引っ張ってきたブランドであるHTCの実力がよくわかる、力の入った端末に感じます。私は主にエッジセンスとカメラに魅入られていますが、お財布と相談しなければなりません。
U12+はキャリアでの販売がなくなりSIMフリー端末としてHTC直販かAmazonなどからの購入になるため、値引きや分割払いがこれまでより不自由になったのは価格帯を考えると痛いかもしれません。その分購入手段は増えたので格安SIMユーザーにとっては嬉しい変化であるとも言えますね。
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