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CZUR Shine レビュー。ギリ持ち運べる?ポータブルオーバーヘッドスキャナー

3.5

職場には当たり前のように設置されているスキャナーだが、自宅にスキャナーがある方は少ないのではないだろうか。

コピー機・プリンター・スキャナーが一体になっている小型の複合機は低価格のモデルも多く普及しているため、持っている方も多いかもしれないが、スキャンの効率は決してよいとは言えない。そのため、最近の慣れない在宅勤務のなかで、実用的なスキャナーがなくて困った経験がある方は珍しくはないはずだ。

かといってスキャナーを自宅に導入しようとしても、そう簡単にはいかないだろう。多くの場合、意外と場所を取ることに気付き「まぁ頻繁に使うものでもないし・・・」と導入を諦めるパターンがほとんどではないだろうか。

そんな「自宅で使うには場所を取りすぎる」というデメリットを解消した、オーバーヘッド型のスキャナー「CZUR Shine(シーザー シャイン)」が、現在クラウドファンディングを実施中だ。

当サイトでは代理店より「CZUR Shine」を提供いただき、正式販売前ながら実際に使うことができた。本記事では、「CZUR Shine」の機能や特徴、実際に使ってみて感じたことを詳細にレビューしていく。

追記

Amazonにて「Shine Ultra」というモデル名で正式に販売が開始された。興味のある方は以下からチェックしてみてほしい。
AmazonにてCZUR「Shine Ultra」チェック

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「CZUR Shine」とはどんなスキャナーなのか?

実機をチェックする前に、そもそも「CZUR Shine」とはどのようなスキャナーなのかを簡単に紹介しておこう。

スキャナーの種類には、台の上に原稿を固定し、下から光を照射し反射光を読み取るタイプの「フラットヘッドスキャナー」や、自動給紙装置(AFD)によって原稿を自動で送りながら読み取る「シートフィードスキャナー」などがある。

一方、「CZUR Shine」はそのどちらにも含まれない、「オーバーヘッドスキャナー」と呼ばれるタイプ

上記画像のように、原稿を真上からカメラで撮影することで読み取るタイプのスキャナーだ。

カメラで撮影するだけなので、本を裁断することなく読み取れるのがまず真っ先に浮かぶメリットだろう。大事な書類や名刺を紙詰まりで傷つけてしまう心配もなく、完全な非破壊スキャンが可能だ。

CZURは、そんなオーバーヘッドスキャナーを幅広く手掛けてきたパイオニア的ブランド。

本記事で紹介する新型スキャナー「CZUR Shine」は、従来のオーバーヘッドスキャナーよりも小型かつ軽量で、ポータブルつまり外に持ち出すことも想定しているのが特徴。

自宅のデスクに置いても圧迫感がなく、200を超える公的機関や公共機関、教育機関等で幅広く採用されるCZURの技術を、現状最も手軽に試せる機種となっている。

開封からセッティングまで。ケーブルを接続するだけでOK!

ザックリと紹介をしたところで、「CZUR Shine」のレビューに入ろう。箱を開け、付属品を並べてみた様子が以下の画像だ。

付属品一覧

作業マット・指サック・USBケーブル・マニュアル・CD・フットペダルが同梱されていた。

専用のソフトウェアは、付属のCDからインストールする以外にもCZURのサポートページから入手可能なので、一度チェックしておくといいだろう。

CZUR Shine本体

「CZUR Shine」本体はこちら。一目見て「これはスキャナだ!」とわかる人は恐らくいないであろう非常にスタイリッシュなデザインが目を引く。事務机の隣に設置される複合機のような、いかにもなOA機器感はなく、個人向けらしく最新デバイスの雰囲気が感じられ好印象だ。

普段は折りたたんでおけるので台座部分のスペースしか取らず比較的コンパクトに設置できる。青い部分を持ち上げることで約74.5mmほど背を高くできるため、より広範囲をスキャンしたい場合に活用したい。

アームの先端には2基のLEDライトと1基のカメラが搭載されている。台座にあるボタンを押すことでライトのオン・オフを切り替えられ、回すと光量の調節ができるので、スキャナーとして使用していない場合でも簡易的なデスクライトとして活用可能だ。

付属のUSBケーブルは、片方がType-A、もう一方が独自規格となっている。あらかじめPCにソフトウェアをインストールしておけば、Type-AをPCに、独自規格の方を「CZUR Shine」に接続し、作業マットを広げるだけでスキャンの準備が整う。

真上から見た様子

USBから電源を取れるので、別途電源を接続する必要はなく、PCの画面からスキャンを実行すればフットペダルも接続しなくてよいため、デスクトップPCと常に接続しておくスタイルなら準備らしい準備は作業マットを広げるだけと、非常に手軽なのが魅力だと感じた

ちなみに、最大でA3サイズまで対応しているとのことだが、カメラに映る最大範囲はほぼ作業マットのサイズと同じくらい。わずかにA3よりも大きいサイズでもカメラに収めることは可能だった。

実際にスキャンを試す。使ってわかるソフトウェアの完成度

ここからは実際に「CZUR Shine」を使ってみて感じたことを述べていこう。筆者の自宅にあった漫画や小説など様々な紙をスキャンしてみた。

まず最初にアメコミでスキャンを試したが、早速ちょっとした問題が発生した。

画像のぼかしについて

以下に掲載する画像には、著作権の関係上一部ぼかしを入れています。例として挙げている江戸川乱歩の「心理試験」は既に著作権が切れていますが、出版されている本をスキャンしている以上、権利は出版社にあるので同様です。

伝わりにくい表現もあるかと思いますが、ご了承ください。

光の反射が気になる

見ての通り、中央に「CZUR Shine」のLED2基がそのまま反射してしまっている。アメコミに限らず、紙質がツルツルとしたタイプの雑誌だと同様の問題が発生した。

姉妹機である「CZUR Aura」には反射を防ぐサイドライトが用意されているが、コンパクトさを優先した「CZUR Shine」にサイドライトはない。

しかし解決方法は単純で、光量を調節して弱める、あるいはライトをオフにして部屋の照明や太陽光のみで撮影することで気にならないレベルまで改善できた。

改善後
改善後。中央の反射がなくなった。

スキャン時のカラーモードは「自動最適化」や「白黒」「グレースケール」など複数から選べるが、あまり気にしなくてもよいと感じた。というのも、スキャン後でも1枚ずつ、あるいは複数ページをまとめてカラーモードを変更できるからだ。

まずは全ての紙やページを読み込んでしまい、補正のためにチェックする段階で色がおかしいと感じたらその時にまとめてバッチ処理してしまう方が、効率よくスキャンできるだろう。

続いて、ページを開いた状態の小説をスキャンしてみた。上記画像のオレンジ色の線はソフトウェアが自動で本の輪郭と歪みを認識したもの。非常に正確に読み取れていることがわかっていただけるだろうか。

実際にスキャンされたページ。

実際にスキャンしたページがこちら。やや斜めになっているものの気になるほどではなく、1文字1文字もしっかり読み取れるレベルで映されていることが左上のページ数から確認できる。

カード1枚1枚を完全に認識

名刺や切手など、小さいカードも自動で認識しまとめて1度でスキャン可能。ぼかしをかけなくて済むようにトランプをバラまいてみたが、カメラの画角からはみ出しているジョーカーを含めて、全てほぼ完ぺきに認識されている。

上記の状態からスキャンボタンを押しただけで、一切手作業による補正をせずに読み込まれたカードが以下の画像だ。

細かい部分まで精巧にスキャン

斜めに置いてあったトランプが当たり前のようにまっすぐに補正され、細かい部分まで潰れることなく精細に認識されている。

スキャンされたデータは、カラーや角度、認識範囲などを手動で調節可能。OCRにも対応しており、PDFのほかWordやExcelファイルにも出力できる。

2週間ほど使ってみて、スキャナーや画像編集の知識がなくても直感的に操作できるソフトウェアが、非常に優秀だと感じた。「こうしたい」と思った動作が、メニューとして目につきやすい場所にしっかりと配置されている印象を受ける。

日本語も違和感がなく、おそらくほとんどの方はマニュアルを読まなくても大体の操作ができるはずだ。

注意点

「CZUR Shine」とそのソフトウェアは非常に優秀ではあるが、いくつか注意したいポイントがある。

まず、黒いマットの上に置いた紙を認識するという仕様上、暗い色の紙は背景のマットと同一視され、上手く認識されない場合が多い。下に白い紙を敷きわざと枠を作るなどの方法で改善はされるものの、上手くいかないケースもあった。

また、大量の蔵書を「CZUR Shine」を使って一気に電子化、いわゆる自炊をしてしまおうと考えるのは無謀かもしれない。

筆者が試してみたところ、約100ページのアメコミ1冊を電子化するのに、スキャンと手作業の補正を合わせて約45分程度かかった。ページ数が増えれば本を開いた状態でスキャンすること自体が大変になってくるため、さらに時間がかかるだろう。

200ページ前後が一般的な漫画の単行本ならまだ現実的かもしれないが、数百ページある小説の自炊を大量にこなすには、それなりの時間と根気が必要だ。

ポータブルサイズが魅力の「CZUR Shine」。実際持ち運べるの?

「CZUR Shine」はコンパクトなスキャナーであり、持ち運べるほどのサイズ感を特徴としている。

そこで筆者は、実際に「CZUR Shine」を外に持っていき、ポータブルスキャナーとしての使い勝手も試してみた。

まず第一に「そもそもカバンに入るのか?」と疑問に思う方が多いだろう。実際試してみたところ、PCバッグやカメラバッグなど、マチがやや広めに取られているカバンであれば、余裕とは言えないものの意外とすんなり入った。

サイズ(折りたたみ時) 幅157.9 × 奥行き116.9 × 高さ334.9mm
重量 約1kg

前述の通り、本体と作業マットさえあればノートPCと接続するだけでスキャンは可能なので、持ち運びさえクリアしてしまえばポータブルスキャナーとして使うことは問題なさそうだと感じる。

しかし、本体はコンパクトであっても作業スペースとして結構な広さを要求されることは盲点かもしれない。作業マットと本体を合わせると奥行きは480mm程度、さらに周辺にノートPCを設置する必要もあるので、「スタバでMac」のノリで「CZUR Shine」を広げるのは難しいだろう。

図書館やコワーキングスペースなどであればスペースも取りやすく、周囲に威圧感を与えることもないため、使いやすいはず。大学生時代に所有していれば、研究室と図書館の往復に持ち歩いていたかもしれない。

また、本製品に限った話ではないが、個人的にはノートPCの使用を想定するのであれば、USBケーブルにType-Cの選択肢も欲しかったところだ。

まとめ。お手軽スキャナーとして幅広くおすすめできそう

以上、ポータブルスキャナー「CZUR Shine」のレビューをお届けした。

「CZUR Shine」は、非常に手軽に使えるスキャナーだと感じた。小型かつ軽量で設置しやすく、それでいてソフトウェアはしっかりと作りこまれているため、日常的に使用する方からたまにしか使わない方まで、幅広い層に勧めやすい製品に仕上げられている。

雑誌や資料のような少量の紙媒体を電子化するのに向いているスキャナーではあるものの、少量であれば自炊も十分可能だ。実際筆者はこの2週間ほどで、手元に置いておくほどの愛着がなかったり、ハードカバーと文庫の両方を持っている小説を4冊程度自炊し、原本を売却した。

本好きにとっては、完全な非破壊スキャンはそれだけで大きな魅力だ。それをハイクオリティかつ手軽にできる「CZUR Shine」は、持っていれば定期的に出番がありそうだと感じた。

クラウドファンディングサイトのMakuakeでは「CZUR Shine」のほか、リターンとして同製品を収納・固定する事に優れたバックパックもラインナップされている。

2020年11月6日まで出資を受け付けているので、興味のある方はぜひチェックしてみほしい!

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ひがし

平成6年生まれの男。趣味はガジェット・テニス・料理・スターウォーズ・カードマジックなど。ペンギンとオカメインコが大好き。

当サイトでは主にGalaxyを中心に様々なガジェットのリークやニュース、レビューなどをお届けしています。今は完全ワイヤレスイヤホンにご執心。