ここ最近、さまざまなメーカーが完全ワイヤレスイヤホンを市場に投入するようになった。イヤホン=オーディオメーカーという認識は既に古く、スマホアクセサリを取り扱うメーカーであれば当たり前のように完全ワイヤレスイヤホンも展開している。
充電器やケーブルで知名度の高いUGREENも、完全ワイヤレスイヤホンに力を入れ始めているメーカーのひとつ。特に「UGREEN HiTune X6」は、ノイズキャンセリング機能を搭載しながら5000円台にまで抑えられた低価格が最大の特徴のイヤホンだ。
本記事では、「UGREEN HiTune X6」のレビューをお届けする。音質やノイズキャンセリングの効果はもちろん、電池持ちもしっかりと検証しコストだけではなく肝心のパフォーマンス面もチェックしてみたので、ぜひ最後まで読んで頂ければ幸いだ。
製品提供:UGREEN
UGREEN HiTune X6のスペック
まずはじめに、「UGREEN HiTune X6」のスペックから。
製品名 | UGREEN HiTune X6 |
---|---|
Bluetoothバージョン | Bluetooth 5.1 |
Bluetoothプロファイル |
HSP、HFP、ACRCP、A2DP
|
ドライバー | 10mmダイヤモンドライクカーボン |
コーデック | AAC, SBC |
周波数範囲 |
20Hz-20KHz
|
バッテリー持ち |
6時間(ケース併用で26時間)
|
充電時間 | イヤホンは1.5時間、ケースは2時間 |
充電ポート |
USB-Cポート
|
防水性 | IPX5 |
パッケージと付属品
「UGREEN HiTune X6」のパッケージはこちら。特段目新しいポイントはなく、横からスライドさせて取り出すタイプの箱を採用している。
「UGREEN HiTune X6」本体以外の付属品は、充電用のType-A to Type-Cケーブルと簡易的な取扱説明書、Safety Guide、交換用のイヤーピース2サイズ。
デザインと外観:質感はGoodだがツルツルで掴みにくい
さっそく「UGREEN HiTune X6」の実機をレビューしていく。まずは、デザインや質感といった外観を中心にチェックしていこう。
本機のカラーバリエーションは、ブラックの1色のみ。バッテリーケースはAirPodsシリーズでもおなじみの縦に深さのあるタイプで、コンパクトでもなければ特別大きすぎもしない一般的なサイズだ。
まず最初に気に入ったポイントは、底面が完全にフラットになっていること。完全ワイヤレスイヤホンのケースはデスク上では寝かせなければならないスタイルも珍しくないが、「UGREEN HiTune X6」のケースは底面がフラットなので安定して自立させられる。
バッテリーケースは、蓋部分がブラック、下半分が暗いシルバーという組み合わせのツートンカラー。どちらも素材はプラスチックではあるものの、サラサラとしたマットなつや消し加工が施されているので見た目はなかなかスタイリッシュに仕上げられている。
さすがに手で触れてしまうと価格相応の質感だが、安っぽさを最大限感じさせない設計になっているので、不満は全くない。
ケースを開けてみた様子がこちら。
イヤホンは横並びに配置されており、周囲には十分な間隔が開けられている。しかし、「UGREEN HiTune X6」本体が丸い形状かつツルツルな質感であるからか、非常に取り出しにくいと感じた。
イヤホンの先端を摘まもうとしても指先を引っかけられる場所がイヤホンにはなく、どうしても指が滑ってしまう。一応、指でイヤホンを押し上げるように力を加えてマグネットの吸着を剥がすと簡単に取り出せるが、スムーズに出し入れできるようになるにはやや慣れが必要だ。
イヤホン単体の外観がこちら。
丸型の完全ワイヤレスイヤホンとAirPodsのようなうどんタイプの完全ワイヤレスイヤホンの丁度中間のような形状が特徴。外側はケース同様にマットな処理に仕上げられており、内側は光沢のある質感だ。
地味なポイントかもしれないが、右(R)と左(L)を表すアイコンが色分けされている点は便利だと感じた。
装着感:やや大きいがしっかりとフィット
続いては、「UGREEN HiTune X6」の装着感について。同イヤホンは、イヤーピースを耳に押し込むカナル型を採用している。
耳にイヤーピースを押し込んだ後、軽く捻るように装着すると非常に安定感がある。軽くランニングしてみた程度は落ちる心配もなく、安心して使用可能。軸部分も長すぎないため、第三者から見た際の違和感も比較的抑えられている。
一方、完全ワイヤレスイヤホンとしてはサイズがやや大きいため、人によっては圧迫感を強めに感じるかもしれない。付属品としてデフォルトよりも小さめのイヤーピースも用意されているので、自分の耳に合ったサイズを選択しよう。
音質:粗削りだがエネルギッシュ
続いては 「UGREEN HiTune X6」 の音質についてレビューしていこう。なお、対応しているコーデックは低価格モデルらしくAACとSBCの2種類のみだ。
Galaxy Note20 UltraとAmazon Prime MusicおよびSpotifyの組み合わせでさまざまな曲を再生してみたところ、真っ先に感じられたのは重厚感のある低音だった。曲によってはやや響き過ぎているシーンも多かったがその分立体感にも優れており、ライブのようなリアルな雰囲気を楽しめる音だ。
一方で、中音域から高音域、特に高音の伸びはやや粗くドライな味付け。強調された低音に埋もれないだけのパワーはあるものの、ディティールは感じ取りにくく大分おおざっぱな音だと感じた。
キラキラしたサウンドや透明感のある高音を楽しみたいという方にはあまり向いているとは言えず、逆にエネルギッシュなハツラツとした音楽が好きな方にはおすすめしやすい。
ゲームモード(低遲延モード)
「UGREEN HiTune X6」には、遅延を軽減するゲームモード(低遅延モード)が搭載されている。
実際にいくつかのゲームアプリを起動して試してみると、通常モードの場合、ゲーム内のボタンのタップに対してワンテンポ遅れてくる形で操作音が聞こえてくる。
ゲームモードを有効にすると、指がボタンから離れるか離れないかくらいのタイミングで音が聞こえてくるため、しっかりと遅延が抑えられていることが確認できた。
また、ゲームモード適用中は低音の強調がややマイルドになるような音質の変化も感じられた。高音域の乾いた雰囲気も抑えられており、自然なサウンドに近づくイメージ。クラシックなど音楽のジャンルによっては、あえてゲームモードを適用した方が心地よく聴ける場合もあるかもしれない。
ノイズキャンセリング:ノイズ低減効果は控えめかつ自然
「UGREEN HiTune X6」 は、5000円台の低価格ながら強力なアクティブノイズキャンセリングを搭載している点が特徴。騒音を最大で35dBまで低減できると謳われている。
実際に試してみたところ、ノイズ低減効果はやや控えめに感じた。エアコンの動作音や車のロードノイズ、パソコンのファン音など低めの音に対してはしっかりと効果が感じられたものの、キーボードのタイプ音やドアの施錠などやや高めの音は若干マイルドになる程度といった印象だ。
人の話声を打ち消すのもやや苦手なようで、周囲の人の会話は若干遠のくもののほかの雑音と比較するとある程度聞き取れてしまった。
一方で、過剰な圧迫感やホワイトノイズがほとんど気にならなかったのは魅力的に感じたポイント。音楽を流さずに耳栓代わりとしても、ストレスなく使えそうだ。
タッチ操作:反応も精度も良好
「UGREEN HiTune X6」は、ほかの多くの完全ワイヤレスイヤホン同様にイヤホンをタップするとさまざまな操作を行える。
タッチの反応はよく、2回以上のタップや数秒間の長押しもスムーズに認識される印象。誤操作することもないので、ストレスはほとんど感じない。
機能 | 右耳側の操作 | 左耳側の操作 |
---|---|---|
音楽の再生 / 停止 | シングルタップ | |
曲送り | トリプルタップ | – |
曲戻し | – | トリプルタップ |
ボリュームアップ | ダブルタップ | – |
ボリュームダウン | – | ダブルタップ |
着信に応答 / 終話 | シングルタップ | |
着信拒否 | 2秒長押し | |
ANCオン / オフの切り替え | 1秒長押し | |
低遅延(ゲーム)モードのオン・オフ | 4回タップ | |
音声アシスタントの起動 | 2秒長押し |
頻繁に使うであろうANC(アクティブノイズキャンセリング)の切り替えが、1秒間の長押しかつ左右を問わない点も使いやすい。
一方、機能をカスタマイズできるようなアプリが用意されておらず、左右で固定されている機能も多いため、全ての操作を使いこなそうとするとある程度の慣れが必要。
筆者の場合は、曲の再生と停止(シングルタップ)・ANCのオン・オフ(1秒長押し)だけを使っており、その他の機能はスマートフォンやGalaxy Watch4から操作していた。
電池持ち:ANC有効時でも長持ち
気になる 「UGREEN HiTune X6」 の電池持ちについても検証してみた。Amazonの製品ページによると、「UGREEN HiTune X6」はイヤホン単体で6時間音楽再生が可能だという。
実際に、ノイズキャンセリングオンの状態とオフの状態、それぞれどれくらいのペースで電池が消耗されていくかを検証した結果が以下の通り。ペアリングしたスマートフォンはGalaxy Note20 Ultra、音楽再生に使用したアプリはSpotifyだ。
なお、「UGREEN HiTune X6」にはアプリが用意されていないので、Bluetoothの設定画面からバッテリー残量を確認した。
経過時間 | ノイズキャンセリング – オン | ノイズキャンセリング – オフ |
---|---|---|
0分 | 100% | 100% |
1時間 | 90% | 90% |
2時間 | 80% | 80% |
3時間 | 60% | 60% |
4時間 | 50% | 50% |
5時間 | 30% | 40% |
6時間 | 10% | 30% |
7時間 | 0% | 10% |
8時間 | 0% |
結果は、ノイズキャンセリングを有効にすると約7時間、無効にすると約8時間だった。今回の検証では、公式情報よりも1~2時間以上電池が長持ちする結果となった。
念のため、ノイズキャンセリングオン・オフの状態をそれぞれ2回計測してみたが、結果はほとんど変わらず。ノイズキャンセリングオフの状態で8時間のバッテリー持ちは優秀なうえ、ノイズキャンセリングを有効にしても電池の消耗ペースがほとんど変わらない点は非常に魅力的だ。
ANCを搭載していなくても、バッテリー持ちが3~4時間という完全ワイヤレスイヤホンも少なくない。「UGREEN HiTune X6」の7~8時間のバッテリー持ちは間違いなく強みと言える。
ちなみに、充電方法は有線のみでQiワイヤレス充電には非対応。ワイヤレス充電までできれば個人的にはバッテリーに関して言うことなしだったのだが、あまり贅沢は言えないか。
まとめ:UGREEN HiTune X6はどんな人におすすめ?
以上、「UGREEN HiTune X6」のレビューをお届けした。
「UGREEN HiTune X6」は、Amazonにて5000円台、セール時には3000円台で販売されているときもある。そんな低価格な完全ワイヤレスイヤホンなのでどんなものかと恐る恐る使ってみたのだが、思っていた以上にクオリティが高く感心してしまった。
もちろん、音質やノイズキャンセリング、質感や操作性など、個々の要素にフォーカスを当てれば「UGREEN HiTune X6」より優れた完全ワイヤレスイヤホンは存在する。
しかし、実用性のあるノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンとしてはおそらく最安クラスであり、とにかく安さ・コストパフォーマンスを重視したいという方にはピッタリの1台だろう。
「UGREEN HiTune X6」の執筆時点でのAmazon価格は、税込5,399円。安くて実用的な完全ワイヤレスイヤホンを探している方は、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
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