OPPO Reno 10x Zoom(10倍ズーム版)を購入しました。
2019年の4月に突如発表されたOPPOのRenoシリーズは、中国市場を皮切りに一気にグローバルへと展開。通常版のRenoの他、低価格帯のReno Z、5G通信に対応したReno 5Gなど豊富なモデルが用意されている同シリーズですが、今回購入したのは最も注目度が高いと思われる、光学ズームギミックを取り入れハイブリッド10倍ズームを実現したハイエンドモデルReno 10x Zoom。
日本でも7月3日に正式発表されたReno 10x Zoomですが、このブログでも事細かに情報をお伝えしていたことからもわかるように本機が気になりすぎて仕方なかったので技適取得済みのグローバル版をややフライング気味に購入。さらには青森県在住ながら東京で開催された【OPPO「Reno 10x Zoom」タッチ&トライ】sponsored by ひかりTVショッピングユーザーイベントにも参加し、日本発売前ではありますが既に様々なシチュエーションで使ってみることができたので、いち早くレビューをお届けます。
金属の質感とガラスの美しさが1つに。輝くオーシャングリーンの虜
OPPO Reno 10x Zoomが手元に届いた時にまず感じたことは「デカい!!!」。最近のスマートフォンはどんどん縦に長くなっているためパッケージも縦長になってきますが、Reno 10x Zoomは恐らく今まで購入したどのスマートフォンの箱よりも長く、そして大きいです。
その理由は見ての通りReno 10x Zoom本体と充電器が縦に並んで入っているから。Reno 10x Zoom自体もコンパクトな端末ではなく、縦長のディスプレイを搭載してはいるものの手に取ってみると意外と横幅を感じると思います。これまでGalaxy Note 8をメインにしていた私にとってこの横幅は顕著に感じられるもので、やや面食らったのは事実です。
サイズが大きくなれば重量が増えるのも必然。Reno 10x Zoomの重量は215グラムと数あるスマートフォンの中でもヘビー級で、箱を開けて手に取った瞬間に「あ、重いな」とハッキリ感じるほど。鞄の中に入れてしまえばそこまで気にはならないものの、洋服のポケットに入れた場合はかなりの存在感があります。
さらに215グラムという重量を印象付けているのはその重心のバランス。典型的なトップヘビーと言うべきか、明らかに端末上部に重量が偏っていることが感じられます。「ピボットライジング構造」と呼ばれるポップアップカメラや、ズーム用のカメラモジュールなどやや特殊な機構が上部に集中しているためと思われますが、この偏りがReno 10x Zoomを数値以上に重たく感じさせている要因だと感じます。
ちなみに世間で大きくて重いとの評価が多いiPhone XS Maxの重量は208グラム。本機はこれを7グラムもオーバーしていることになります。
大きくて重いとのイメージが先行したReno 10x Zoomですが、実際に手に持ち端末を眺めていると見とれる程美しいことに気が付きます。ノッチもパンチホールもない正真正銘の大きなフルディスプレイは圧巻。背面はガラス製ながらサラサラとしたマットな質感に仕上げられており金属筐体さながらの触り心地を実現。それでいて見る角度を変えることで鈍く輝く反射光が様々な表情を見せるガラス製ならではの工夫も取り入れられており、控え目に言って最高のデザインだと感じます。キラキラとしたガラス製とは違い指紋も付きにくいという実用性まで兼ね備えており、触り始めて数分ですっかり虜になってしまいました。
この背面の処理は実はR17 Proでも採用されているもの。しかしReno 10x Zoomの方に極端に惹かれるのはやはり全体的なデザインにまとまりを感じるからでしょう。フラットなトリプルカメラとOPPOロゴ、さりげない「DESIGNED BY OPPO」の文字が中央に並び、周囲とは異なる光沢のラインにより控え目ながらも適度な存在感を放ちます。マットな質感なガラスと聞くと”くすみがかった”マイナスな印象を持つかもしれませんが、実際にはこれまでにないリッチでアダルトな雰囲気に仕上がっています。
表側はノッチもパンチホールも存在しない正真正銘のフルディスプレイ。顔認証にも対応したインカメラは端末上部に格納されています。
ディスプレイサイズは6.6インチで、解像度は2,340×1,080のフルHD+。有機ELを採用しているため色彩豊かなハッキリとした描画が可能です。
また、どれだけの人が差を実感できるかは不明ですが、ハイエンドモデルとしては6.6インチというサイズに対しての解像度が高いとは言えないのは事実。
背面。中央には上から4,800万画素のメインカメラ、800万画素の広角カメラ、そして1,300万画素の望遠カメラが並びます。
カメラの下に見える金属の突起は、フラットなカメラが直接接地しないようにとの配慮兼デザインにおけるアクセントと思われます。このワンポイントは確かにオシャレなのですが、お察しの通り本機を机において操作する場合は端の方をタップするとややガタつきが生じます。全体的にこだわり抜かれたデザインだと感じる本機ですが、この突起に関しては必要かと言われると素直に頷くことはできません。
充電ポートはUSB Type-C。端末下部のスピーカー穴は片側のみで反対側にはSIMカードスロットを搭載。SIMカードスロットが端末下部に位置しているのはやや珍しい気がします。
上部にはポップアップカメラが格納され下部には充電ポートとスピーカー、SIMカードスロット。つまりイヤホンジャックは存在しません。一応付属のイヤホンはType-C端子に対応しているため別途の用意は必要ありませんが、これまでのイヤホン資産はアダプターがないと活用することができません。
Reno 10x Zoomのデザインについては以上。独特のデザインと質感にすっかり惚れ込んでしまったのは言うまでもありません。今回購入したのはオーシャングリーンでしたが、ブラックも欲しくなりました。
画面下の指紋認証の速度が改善
続いて機能について見ていきます。
日本国内では前モデルにあたるR17 Pro / R17 Neoで注目を浴びたディスプレイ指紋認証。私はミドルクラスのR17 Neoを購入し実際の使い勝手を試してみましたが、通常の指紋センサーと比較して精度や速度はハッキリと劣っていると感じていました。
バッテリー持ちは良好。ワイヤレス充電非対応なのが惜しい
あまり注目されていませんがReno 10x Zoomは4,065mAhという大容量バッテリーを搭載していることも特徴の1つ。
バッテリー駆動時間についてはかなり優秀で、朝出社してから夜帰宅するまでの間、ブラウジング、メールやLINEの送受信、音楽再生、休憩中のYouTube再生等の使い方をしても1日は余裕で持ちます。私の場合は帰宅してからのネット利用はほぼPCに切り替わるので、ギリギリにはなりますが丸2日充電をしなくても何とか耐えられるだけのポテンシャルがありました。もちろん、使い方や頻度によってバッテリー駆動時間は大きく変わりますが、私の生活スタイルではバッテリーを充電する頻度がかなり減ったのは間違いありません。これまで利用したことのある端末で言うと、体感的にはHuawei Mate 9と同じくらいのバッテリー持ちです。
また、本機はVOOC 3.0というOPPO独自の高速規格に対応。30分で4,065mAhのうち50%の充電ができてしまうのは驚異的。
ただしVOOC 3.0はFind XやR17 Proに搭載してるSuperVOOCよりは1段落ちる性能であることには注意が必要。SuperVOOCは約50分で端末をフル充電してしまう性能ですが、2つのバッテリーを直列に接続しそれぞれに5Vずつ電圧をかけるというかなり特殊な仕組みを採用しているのでそう簡単に搭載できるものではないのでしょう。欲を言えばSuperVOOCが欲しかったのは事実ですが、充電頻度が少ない本機ではそこまで致命的ではありませんし、VOOCという規格そのものがACアダプタとケーブルの両方が対応製品でなければ利用できない機能のため、サードパーティの充電器やケーブルを利用することが多い私の環境ではそこまで恩恵がないのも事実です。
どちらかというと欲しかったのはワイヤレス充電。速度こそ遅いですが一度ワイヤレスの便利さに慣れてしまうと中々抜け出せないものです。
文句なしにパワフルなスペック。ベンチマークスコアは?
Reno 10x ZoomにはSnapdragon 855という最新かつ最高峰のプロセッサが搭載されています。メモリも8GBと潤沢で、メモリ8GB、ストレージ256GBという構成は数字だけ見れば私の愛用するラップトップZenbook 3と同じ。スマートフォンとPCのパフォーマンスを比較するのはナンセンスですが、スマートフォンのスペックのインフレ具合がよくわかる数値の変化だと思います。
そんなReno 10x Zoomのパフォーマンスとはどの程度のものなのか。まずは参考程度にAntutuベンチマークを測定してみました。
何度か測定してみたところ概ね35~36万点に落ち着いています。同じくSnapdoragon 855を搭載しているGalaxy S10 / S10+も同程度、A12 Bionic搭載のiPhone XS Maxが34万点前後なので文句なしの数値と言えるでしょう。
ゲームを始めとした3D描写によって端末に大きく負荷がかかるようなアプリも本機であれば一切のストレスを感じることなく動作させることができました。ハッキリ言ってスペックは過剰で、普段の利用シーンでは使い切る方が難しいくらい余裕のある動作には頼もしさすら感じます。日本国内で本機よりも上のパフォーマンスを有していそうなのはゲーミングスマートフォンのblack shark 2くらい。Reno 10x Zoomは見た目の美しさとは裏腹に非常にパワフルなスマートフォンと言えます。
注目のハイブリッド10倍ズーム。カメラ性能はいかに
名前に”10x Zoom”と入っているように本機最大の注目ポイントはハイブリッド10倍ズームが可能なカメラ性能。
搭載しているトリプルレンズの内訳は4,800万画素のメインカメラ、800万画素の広角カメラ、1,300万画素の望遠カメラ。
中でも望遠カメラは、内部に搭載したプリズムによって入射光を直角に曲げセンサーまで誘導するという特殊なカメラモジュールを搭載しており、これにより劣化を最小限に抑えた10倍までのハイブリッドズームを実現。夜景やポートレートなどのクオリティはそのままに、スマートフォンの弱点であったズームを克服しています
以下から早速作例を紹介していきます。
10倍ズーム
まずはタッチ&トライイベント内に設置されていたミニチュアを1倍で撮影したもの。
10倍で撮影するとこんな感じに。会場がやや薄暗くデジタルズームらしい劣化はやや見られるものの内部の文字までくっきりと写っているのには驚きの一言。
ちなみにReno 10x Zoomにおける”10倍”というのはメインカメラを1倍としたときの0.6倍にあたる広角カメラがスタートになっていることには注意が必要。カメラアプリ上では1倍⇒2倍⇒6倍⇒10倍⇒広角とタップするごとに焦点距離を切り替えることができますが、劣化を抑えたハイブリッドズームは広角⇒1倍⇒2倍⇒6倍までということになり、表示上の10倍はここに含まれていません。上記のミニチュアの写真はカメラアプリの表示上の1倍と10倍となるため、OPPOの言う10倍ハイブリッドズームの範疇からはほんの少し飛び出していることになります。
”10倍”を実現するための数字トリックですが、人によっては騙されたような気になるかもしれません。
こちらが広角カメラで撮影した写真。10倍ズームのスタートとなるメインカメラを1倍としたときの0.6倍になります。
そして10倍ズーム、カメラアプリ上では6倍と表記されている焦点距離がこちら。ここまでがハイブリッドズームの範囲になります。
そこからさらに拡大した、カメラアプリ上では10倍と表記されている焦点距離がこちら。確かにデジタルズームしている感覚はありますが、スマートフォンで撮影した写真とは思えないディティールです。このくらいまでであれば十分実用的な範囲と言えるでしょう。
ちなみに最大撮影倍率はHuawei P30 Proを上回る60倍。実用性は不明ですが”スマートフォンで60倍”と聞くとインパクトは凄いですね。
暗がりをものともせずズームできてしまうのもReno 10x Zoomの頼もしさ。
夜景
続いて夜景撮影を試します。こちらは六本木ヒルズ森タワー49階からの夜景。あいにくの雨の中ガラス越しというコンディションでしたが、雲までしっかり映っているのはさすが。
ちなみにReno 10x Zoomの夜景撮影は、瞬時に数枚の写真を撮影しそれを合成することでノイズや白飛びを軽減するという手法を用いています。そのため一度の撮影で複数回のシャッター音が鳴るため、シャッター音はオフにすることを推奨します。
森タワーを下から撮影。よく見ると暗い部分にはノイズが見えますが、スマートフォンの画面で閲覧する分には全く気にならないレベルだと思います。
タッチ&トライの帰り道に見つけたオブジェを撮影。近くの建物と街灯の明るさがあればほとんど昼間と変わらずシャッターが切れます。シルバーのオブジェに反射した景色までしっかり確認できますね。
こちらも薄暗い状況ではありましたが夜景モードではなく通常モードで撮影。
ポートレート
続いてポートレートモードをチェック。
イベント会場にいたひかりTVのキャラクター「ひかりカエサル」をポートレートモードで。人物ではなくてもしっかりとポートレートモードが適用されています。
ポートレートモードで花を撮影。R11sやR17 Neoのときも同じことを言っていますが、OPPOのポートレートモードは背景の認識が本当に優秀だと思います。
料理
イベント会場内に用意されていたハンバーガーとチーズケーキ。従来モデル同様にReno 10x ZoomでもAIが料理を認識し、やや温かみのある色で撮影してくれます。
ラーメンもおいしそうに撮れました。
Reno 10x Zoomのカメラを使ってみて感じたのは”万能感”。夜景、ポートレート、ズーム、広角、AI認識など、現在のスマートフォンのカメラが特徴として推せる機能は全て一通り揃っていて本機1台のみでカメラは相当遊べるはず。今回はあまり焦点を当てなかったインカメラについてもポップアップギミックというだけでワクワクしますし、当然美顔効果も搭載。
日本参入当初、自ら”カメラフォン”を謳っていたOPPOの本気が垣間見れたような気がします。
ColorOS 6の使い勝手
Reno 10x ZoomにはColorOSの最新版ColorOS 6が搭載。今までの傾向からOPPOは日本国内でのColorOSの更新にはあまり積極的ではない様子なので、最新のColorOSを試すには最新の端末を買うほかありません。
散らかった印象が強かったR11sの頃と比べると、設定項目のカテゴリ分けが適切になったこと、機械翻訳感が薄れてきたことなどから設定画面はずいぶんと見やすくなりました。
ただし、改善はされているものの設定画面から飛べる”電話マネージャー”と独立したアプリの”フォンマネージャー”などOPPO端末ではお馴染みのややこしさは健在。フォンマネージャー内ではカタカナが突然半角になる箇所が見られるなど、随所に詰めの甘さが見られることは否定できません。
また、ColorOS 6の新機能として戻るボタンやホームボタンなどのナビゲーションキーを”両側からのスワイプジェスチャ”に割り当てることができるようになりました。
- 左右どちらでも内側に向かってスワイプすることで戻るボタン
- スワイプした状態を維持することで前のアプリに戻る
- 下から上へのスワイプでホームボタン
- 下から上へのスワイプした状態を維持することで最近のタスクを表示
といった動作が可能で、これがかなり便利。戻るボタンの動作はiOSに似ているようですが、iOSが現在の画面を横にスワイプして除けるイメージなのに対して、ColorOS 6のスワイプジェスチャは外側から戻るボタンを引っ張り出すイメージと、両者使っていると設計思想に微妙な違いを感じます。
これまでも画面下部を左右と中央に三分割してそれぞれの位置から上方向にスワイプすることでナビゲーションキーを代用する機能はありましたが、片手で画面の左右下に触れるのは難しく扱いにくさが目立ちました。しかし本機のジェスチャー操作は左右どちらのサイドでもよく、さらに位置も左右辺であれば指定がないなどとにかく簡単かつスマートになったと思います。
Reno 10x Zoomの欠点
Reno 10x Zoomの欠点として真っ先に挙げられるのは、冒頭でも触れた重量とバランス、そして大きさでしょう。
Reno 10x Zoomは縦長のディスプレイを搭載してはいますが、最近私が触れてきたGalaxy Note8、P20 Pro、Xperia 10、Pixel 3aなどと比べると明らかに横幅がありサイズが大きいです。男性用のジーンズのポケットには入らないこともないですがかなり窮屈で、スリムタイプのパンツのポケットでは試す気にもなれません。シャツの胸ポケットに入れても幅がギリギリな上に頭は飛び出すという始末で、持ち歩くならポケットが大きい洋服か鞄が必須。ケースを付けるのであればなおさらでしょう。
また、私はそうでもないのですが恐らく気になる人がいるであろうポイントが背面カメラ下のO-DOT(オードット)と呼ばれる金属の出っ張り。デザイン上のアクセントであると同時にフラットなカメラや背面を保護する役割があるのだとか。
しかしこのO-DOT(オードット)があることによって机の上に置いた状態でReno 10x Zoomを操作しようとすると、タップする位置によっては当然ガタつきが生じます。個人的にはそういった使い方はあまりしないのでいいのですが「せっかくフラットなのに余計な物を付けるな」と言われるような気がしています。
まとめ
粗削りだったディスプレイ指紋認証は完全に実用レベルまで引き上げられ、どれか1つでも特徴になり得る撮影モードは全てを余すことなく搭載。安易な模倣ではない独自のデザインは美しく、過剰とも思えるハイパフォーマンスも贅沢に装備。
Renoシリーズは創造力に富んだ若者にフォーカスし、OPPOが初めてグローバルに向けて展開する本格的な端末という立ち位置。機能、デザイン、スペック、そしてカメラの独自ギミックなどとにかく注目するポイントに事欠かないインパクト大な本機は、まさにOPPOの名前とブランドを印象付けるのにピッタリ。私はOPPOの思惑通りにReno 10x Zoomの虜になってしまいました。
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