スマホの新しいジャンルとして、折りたたみスマホ(パカパカスマホとも呼ばれている?)が徐々に認知され普及し始めている。
読者のなかにも、折りたたみスマホに興味がある・使ってみたいという方がいるかもしれない。しかし、いざ購入を検討してみても「デメリットは?」「本当に便利なの?」「失敗しないか不安」とネガティブなことを考えてしまい購入に踏み切れない場合も。
そこで本記事では、実際に折りたたみスマホを使ったり取材したりしてきた経験を基に、折りたたみスマホのデメリットを紹介する。失敗しないための選び方も合わせて解説するので、折りたたみスマホに興味がある方はぜひ最後まで読んでみてほしい。
折りたたみスマホのデメリット
筆者が実際に折りたたみスマホ(パカパカスマホ)を使ってきて感じた、またはほかの折りたたみスマホユーザーから聞いた主なデメリットは以下の7つ。
各デメリットについて以下で詳しく解説していく。
価格が高い
まず真っ先に思いつく折りたたみスマホのデメリットが、価格の高さ。
現在日本国内で正式に販売されている折りたたみスマホはGalaxy Z FlipシリーズとGalaxy Z Foldシリーズが中心で、数年遡るとモトローラのRazr 5Gなどもあるが、いずれも価格は10万円をゆうに超える。
Galaxy Z Foldシリーズについては20万円を超えてしまうので、気軽に購入はできない。そのほか、ETORENのような輸入サイトで購入できる海外の折りたたみスマホも20万円近いモデルがほとんどだ。
また、折りたたみスマホの価格の高さはその構造や特殊なパーツが原因である場合が多く、同価格帯のハイエンドスマホと比較してカメラ性能やバッテリー持ちが劣っていることも珍しくない。
そのため、ハッキリ言ってコスパがよいとは言えないだろう。
画面の折り目
折りたたみスマホの多くは、ディスプレイ表層に特殊な極薄ガラスを採用することで柔軟な折りたたみの動作を実現している。
便利でギミックとしての面白さがある反面、ディスプレイの表面に薄っすらと折り目が浮き出てしまうのはやはりデメリットだ。
一応、HUAWEI Mate X3のように折り目がほとんど目立たない折りたたみスマホもあるものの、現在日本で正式に販売されているモデルは折り目が目立つタイプばかり。
折り目が出てしまう原因のひとつにはヒンジの構造があり、サムスンも防水性能を諦めれば歪みの目立たない折りたたみスマホを作れるとも言われている。
ただし、前述のHUAWEI Mate X3は目立たない折り目とIPX8の防水を両立しているようなので、より広い販路を持つサムスンにも折りたたみスマホのパイオニアとして頑張ってほしいと思う。
耐久性に不安がある
折りたたみスマホには、通常のスマホには存在しないヒンジが搭載されているため、その分耐久性に不安が残る。
もちろん、そう簡単に故障することはなくガラケーを破壊する定番手法だったいわゆる「逆パカ」も難しいほど頑丈に設計されている。しかし、多くのハイエンドスマホが防水防塵に対応しているなか、折りたたみスマホが防水にしか対応できていないことは、それだけ隙間を埋めるのが難しい証拠だ。
また、ある程度の期間使用しているとディスプレイにあらかじめ貼り付けられている保護フィルムが浮いてしまうリスクがあるのも、折りたたみスマホ特有のリスク。
折りたたみスマホの画面は繊細なので、保護フィルムなしで使うと一気に故障のリスクが上がってしまうので気を付けたいポイントだ。
保護フィルムを交換すると保証が受けられない
自身の手で保護フィルムを交換できないのも、折りたたみスマホのデメリットだ。
先程お伝えしたように、折りたたみスマホの保護フィルムは使用していると自然と浮いてきてしまうリスクがある。しかし、浮いたフィルムを自分で剥がして別の保護フィルムを貼り付けると、メーカーやキャリアの保証対象外となってしまう。
ではどうすればよいのかというと、保護フィルムが剥がれた時点でメーカー・キャリアのサポートに頼りフィルムを交換してもらう必要がある。やや面倒だが、高価な折りたたみスマホの保証がなくなるのが嫌であれば我慢するしかない。
逆に言うと、「保証なんてどうでもいい!」という考えであれば自身の手による保護フィルムの交換は問題ない。
実際、当サイトでは折りたたみスマホ用の保護フィルムを複数検証しおすすめのモデルも紹介しているので、興味があれば以下の記事をチェックしてみてほしい。
参考Galaxy Z Flip4用保護フィルムのおすすめ3選
厚さと重さ
折りたたみスマホは、画面を折りたたむという構造の関係上一般的なスマホの2倍近い厚さがある。
もちろん、折りたたむ分だけコンパクトにはなるものの、本のように横向きに折りたたむタイプの場合は折りたたみ後のサイズも一般的なスマホと大差がなく、厚さが気になってしまうはずだ。
また、ヒンジを中心として2つのバッテリーを搭載しているモデルが多く、通常のスマホよりも多くのパーツやギミックを必要としていることから重量も重い場合がある。
ソフトウェアの最適化がまだまだ
折りたたみスマホは、画面を折りたためることで普通のスマホにはできないさまざまな機能を実現している。
例えば、三脚やスタンドを使わずに端末を固定したり、折り曲げた角度に合わせて画面を上下や左右に分割したりなどだ。
しかし、折りたたみのUIに対応しているアプリがメーカー純正アプリやGoogle製アプリの一部だけだったり、折りたたむことで操作性が損なわれたりしてしまうアプリがあるのも事実。高価なハードに対してソフトウェアの最適化が進んでいないのは、デメリットといっても差し支えないだろう。
2023年、Androidを開発するGoogleが独自の折りたたみスマホ「Pixel Fold」を発表し日本への投入も決定しているので、今後急速に折りたたみスマホ向けのソフトウェア最適化が進むことに期待したい。
機種が少ない
そもそもの選択肢が少ないことも、折りたたみスマホのデメリットと言える。
現在日本で正規のルートで購入できる折りたたみスマホは、
- Galaxy Z Flipシリーズ
- Galaxy Z Foldシリーズ
- Pixel Foldシリーズ
くらいであり、思いっきりメーカーが偏っている。
グローバルに目を向けると、HUAWEIやVIVO、OPPOなどの中国系メーカーからも折りたたみスマホは展開されているので、今後は日本で購入できる機種がもう少し増えると嬉しい限りだ。
折りたたみスマホのメリット
続いては、折りたたみスマホのメリットについて。
ここまでさまざまなデメリットを紹介してきたものの、折りたたみスマホには特有のメリットも多くあるのでシーンによってはとても便利に使用できる。
大画面をコンパクトに持ち運べる
折りたたみスマホの最もわかりやすいメリットは、大画面をコンパクトな状態で持ち運べること。
例えば、Pixel FoldやGalaxy Z Fold5の場合はタブレットにも匹敵する7.6インチの画面を一般的なスマホサイズに変形して持ち運べる。
縦向きに折りたたむGalaxy Z Flip5の場合も、6.7インチの画面を約半分のサイズにできるので画像のように胸ポケットにもスッポリと収納可能だ。
大画面と機動性を両立していることが、折りたたみスマホのシンプルながらも強力なメリットと言える。
2種類の画面を使い分けられる
折りたたみスマホのメリットとして、性質の異なる2種類の画面を使い分けられる点も挙げられる。
画面を内側に向けて折りたたむスマホの場合、折りたたんだ状態でもある程度スマホとして使えるようにサブディスプレイが搭載されているモデルが多い。
Galaxy Z Foldのように横向きに折りたたむスマホであれば、画面を開かなくても一般的なスマホと同等の画面を使えるというわけだ。
また、Galaxy Z Flip5のような縦向きの折りたたみスマホでも通知のチェックや音楽のコントロールなどはサブディスプレイから行える。カメラのプレビューも表示できるので、高性能なアウトカメラを利用した自撮りも可能だ。
スタンド・三脚なしで自立する
筆者が折りたたみスマホを使っていて最も便利だと感じたポイントは、スタンドや三脚を使わずに自立させられることだ。
ただ画面を起こすだけではなく、テントのように逆さまにしたり画像のように横に向けたりなど、スタイルは以外と幅広い。
動画視聴や写真・動画撮影などさまざまなシーンで役立ってくれているので、個人的には折りたたみスマホ最大のメリットではないかと考えている。
背面カメラで自撮り(セルフィー)
先程も軽く触れたが、多くの折りたたみスマホは外側にサブディスプレイが搭載されているので、アウトカメラを使ってセルフィーを楽しめる。
一般的なスマホで画角を確認しながら自撮りするときは、インカメラを使うことになる。しかし、インカメラはアウトカメラと比較して性能が劣る場合がほとんどだ。
折りたたみスマホであれば、高性能な背面カメラで画角を確認しながら自立させて撮影可能。機種によっては広角 ⇔ 超広角などカメラの切り替えもできるため、集合写真にも活用しやすいはずだ。
マルチタスクに便利
上下または左右に画面を分割しやすい折りたたみスマホは、マルチタスクにも適している。Android標準の画面分割機能を利用すれば、動画を見ながらSNSをチェックしたりWebサイトを見ながらメモを取ったりなど並行して複数の作業を進めやすい。
また、Galaxy Z Fold4の場合は大画面を活かして3つのアプリを同時に起動可能。折りたたみスマホにはハイパフォーマンスなモデルが多いため、複数のアプリを起動するときにもたつきにくいのも嬉しいポイントだ。
ファッショナブルで話題性抜群
最後に挙げる折りたたみスマホのメリットは、実用性とは少し離れた部分になる。
それは、折りたたみスマホがまだまだ珍しいガジェットであるということ。持っているだけで「それ何!?」と聞かれることもあり、話題性には事欠かない。
特に、Galaxy Z Flip4についてはサムスン自身がファッショナブルなアイテムとしてマーケティングしている側面もあり、ガジェット好きだけではなく意外と女性からの注目度が高かったりもする。
リング付きケースやショルダーストラップと組み合わせた新しいスマホの持ち歩き方とも相性がよく、スマホをファッションアイテムの一部として楽しみたい方にもおすすめだ。
失敗しないための選び方
ここまで折りたたみスマホのメリットとデメリットを細かく紹介してきた。
では、折りたたみスマホを買ってみたい!使ってみたい!と考えたとき、どのようにして選べばよいのだろうか?
実際にいくつかの折りたたみスマホを使ったり取材したりしてきた経験から、選び方のポイントを簡単に紹介したい。
縦折り or 横折り
折りたたみスマホには、ディスプレイを本のように横方向に折りたたむタイプとガラケーのように縦方向に折りたたむタイプの2種類がある。パカパカスマホと呼ばれているのは、どちらかというと縦折りタイプが多い印象だ。
横折りタイプはタブレットにも匹敵する大画面を一般的なスマホサイズで持ち歩ける点がメリットで、縦折りタイプはとにかくコンパクトな点が魅力。
自身が使ってみたいと思う折りたたみスマホはどちらのタイプなのか、ハッキリさせたうえで購入を検討することが大切だ。
使いたいキャリアは?
どのキャリアで折りたたみスマホを使いたいか?というのも選ぶうえで大切なポイントだ。
現在、日本で折りたたみスマホを展開しているメーカーは主にサムスンだが、サムスンのGalaxy Z FoldシリーズやGalaxy Z Flipシリーズは、ソフトバンクでは購入できない。
- ドコモで買える折りたたみスマホ:Galaxy Z Fold / Galaxy Z Flip / Pixel Fold
- auで買える折りたたみスマホ:Galaxy Z Fold / Galaxy Z Flip / Pixel Fold
- ソフトバンクで買える折りたたみスマホ:Pixel Fold
- 楽天モバイルで買える折りたたみスマホ:Galaxy Z Flip4
ソフトバンクで折りたたみスマホを使いたい場合は、必然的にPixel Fold一択となるので注意が必要だ。
価格をチェック
折りたたみスマホを選ぶ際は、価格のチェックも忘れてはならない。
デメリットの項目でも触れたように、折りたたみスマホは全体的に価格が高い。執筆時点(2023年5月)で最も安いGalaxy Z Flip4を最も低価格で販売している楽天モバイルでも10万円は超えるので、ある程度の覚悟を持って購入しよう。
おすすめの折りたたみスマホはコレ!
以上、折りたたみスマホのメリットやデメリット、選び方などについて詳しく語ってきたが、「結局おすすめの折りたたみスマホはどれなの?」と気になっている読者がいるかもしれないので、当サイトなりの回答を用意しておこう。
当サイトとしておすすめしたい折りたたみスマホは、Galaxy Z Flip4とGalaxy Z Flip5だ
Galaxy Z Flip5
Galaxy Z Flip5は、2023年に登場したサムスンの縦型折りたたみスマホの最新モデル。
Z Flip4と比較して背面のカバー画面(通称フレックスウィンドウ)が大型化し、GoogleマップやYouTubeなどを利用できるようになったほか、メイン画面の折り目も改善された。
もちろん、チップセットのバージョンアップによりスマホとしてのシンプルなパフォーマンスも向上。現時点では縦型折りたたみスマホの理想形とも言える仕上がりだ。
Galaxy Z Flip4
Galaxy Z Flip4は、スタイリッシュな見た目と圧倒的なコンパクトボディの相性がよく、おしゃれかつ持ち運びやすい点が魅力の折りたたみスマホ。性能もカメラがやや物足りない点を除けばハイエンドスマホ相当。
また、軒並み高すぎる折りたたみスマホが多い中、現在では型落ちとなったこともありGalaxy Z Flip4は比較的良心的な価格である点も見逃せない。
特に、楽天モバイルはGalaxy Z Flip4を前キャリアのなかで最も低価格で販売している。ポイント還元率も圧倒的なので、Galaxy Z Flip4の購入を検討する場合はまず楽天モバイルをチェックしてみてほしい。
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