2月25日に発売となったSony Mobileのミドルレンジスマートフォン「 Xperia 10」を購入しました。
Sony Mobileは Xperia 10と同時にフラッグシップとなるハイエンドモデルXperia 1、ミドルレンジの大型モデルXperia 10 Plus、ローエンドのXperia L3の3モデルも発表。Xperia 1以外は既に発売済みです。
Xperia XZ2、XZ3と直近のXperiaシリーズは辛口の評価が大多数でした。長らく迷走していると言われ続けてきたXperiaですが、この度シリーズを一新して登場した新製Xperia 1 / 10 / 10 Plus / L3はそんな状況を打開するためにSony Mobileが打った起死回生の一手ともいえる端末。見た目も中身も大きく変わった新生XperiaをこのXperia 10を通じて感じてみました。
後継モデル、Xperia 10 IIのレビューを公開しました。
外観をチェック
まず手に取った人の大半はその横幅の狭さに気づかされるはず。Xperia 10はシネスコ比率とも呼ばれる21:9の超縦長なディスプレイを搭載。ここ最近のスマートフォンは18:9や19:9などの縦に長いディスプレイを搭載することがトレンドになってきていますが、Xperia 10は始まったばかりのトレンドのさらにその先を行く形になっています。
こちらはXperia 10のパッケージですが、箱の形から既に長さが伝わってきました。
ちなみに付属品は保証やスタートガイドなどの書類、イヤホン、ACアダプターと充電用のType-Cケーブルで全て。最近よく見かけるTPUケースや保護フィルム等は含まれていません。
ミドルレンジに属するスマートフォンには同ブランド内での上位機種との差別化のために未だにMicroUSBを採用している例も珍しくはありませんが、Xperia 10はUSB Type-Cを採用。縦長ディスプレイ同様トレンドをキッチリと落とし込んでいることに嬉しさを感じる反面、底面全体を覆うように丸見えになっている”継ぎ目”はデザイン的に大きなマイナス。上位モデルXperia 1とは違い防水防塵に対応していないXperia 10だからこそのコストカットの跡でしょうか。
右側面には上から電源ボタン、指紋センサー、音量ボタンが並びます。Xperia XZ2、XZ3では背面中央に配置され大ブーイングだった指紋センサーでしたが、かつてのように側面に帰ってきたことでより自然な動作で指を重ねることができるようになりました。
反対の側面にはSIMカードスロット。底面と同じく継ぎ目の主張が激しく見た目には良い印象を抱きませんが、こちらはまだ実用性がある分底面よりはマシでしょう。というのもこのSIMカードスロットは見ての通りイジェクトピンを刺す穴が存在せず、代わりに切り欠き部分に指を掛けることでツールレスでSIMカードスロットを開閉することができます。トリプルスロットではなく2枚目のSIMカードとの併用にはなりますがMicro SDカードにも対応しているため、一々ピンを刺さずにスロットを開閉できる仕様は地味ながら利便性に優れています。
上部にはイヤホンジャックが健在。完全ワイヤレスイヤホンが台頭してきた今だからこそ需要があるインターフェースでしょう。
全体的なフォルムは一言で表すなら”1枚の板”。今回購入したカラーはピンクですがピンクの主張は控えめでシルバー7割、ピンク2割、パープル1割のイメージ。サラサラとしたマットな質感は最近流行のキラキラとしたガラスボディとは真逆のスタイルですが、落ち着いた上品なイメージを与えると同時に傷や指紋に悩まされないメリットもあります。デザインや質感に関してはこれまでのどこを向いているのかわからないXperiaではなく、潔く原点に立ち返ったような印象を受けました。
スペック。メモリは3GB?4GB?
Xperia 10のスペックをザっと確認していきます。が、ちょっと不可解な点もありましたので要注意。
OS | Android 9.0 |
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ディスプレイ | 6.0インチ 2,520 x 1,080ドット 21:9 |
プロセッサ | Snapdragon 630 |
メモリ | 4GB(SONY Mobile公式のスペックシートでは3GB) |
ストレージ | 64GB |
メインカメラ | 1,300万画素・1/3センサー・f2.0 + 500万画素(深度測定用)・1/4センサー・f2.4 |
インカメラ | 800万画素 1/4センサー f2.0 |
バッテリー | 2870mAh |
以上がSONY Mobileの公式サイトで公開されているXperia 10のスペック。
続いて開発者オプションから確認できるメモリ容量。
こちらはAntutuベンチマークから確認できるRAM容量。どういう理由かは不明ですが、見ての通り私の所有しているXperia 10はSONY Mobileの公式サイトで公開されている情報とは異なりソフトウェア上で確認できる範囲では4GB RAMであることがわかります。しかしいずれにせよプロセッサに採用されているSnapdragon 630は普段使いには十分なものの”余裕のある動作”には一歩届かず、パフォーマンスに不足を感じるシーンもたまにですが見られます。
PUBGモバイルのデフォルト設定は最も負荷の低い”快適画質”になっています。デフォルト設定の状態では正直なところ思っていたよりも全然普通にプレイできたので上々な滑り出しだと喜んでいたのですが、やはり所々動作に引っかかるシーンが見られ、複数人が1つの画面上に収まっている状態での打ち合いなどではカクカクになることも。普通にプレイすることはできるのですが、最低画質にした状態でも先ほど述べたように”余裕のある動作”と呼べる状態にはほんの少し足りていない印象です。
ちなみに参考までにAntutuベンチマークのスコアは90296でした。
21:9は”長い”より”細い”
本機最大の特徴はアスペクト比21:9という超縦長なディスプレイを採用している点。2017年頃から急激に普及し始めた18:9のアスペクト比よりもさらに縦方向に長く、”シネスコ比率”などと言われている、映画作品で採用されている比率になります。
縦方向に表示できる情報量が多く、ブラウジングやSNSとの相性は◎。上部にYouTube、その下にTwitter、といった画面分割も窮屈になることなく快適です。
冒頭でも触れましたが、Xperia 10の独特な形状に触れて感じたのは”縦に長い”よりも”横が狭い”ということ。事実、その他の縦長ディスプレイ搭載のスマーフォンと並べて見ると縦方向の長さは変わらないかやや短いくらいです。
それでいて21:9の比率を実現しているので横方向が狭くなるのは当然のこと。スマーフォンの画面がどんどんと大型化されていく中でできるだけボディのサイズを維持しつつ表示領域を確保するための手段でもあった縦長ディスプレイですが、これまではあくまでもサイズは”現状維持”でした。しかしXperia 10はほんのわずかではありますがその他大勢よりも長く、かつコンパクトに。この小さな、本当に小さな差が今の市場では差別化となる大きな特徴になっているのはXperia 10の面白いところですし、”だから私はXperia”と言える、Xperiaを選ぶ理由になり得る魅力だと思います。
もちろんこれは長い画面を有効に活用できればの話。アプリによって、特にゲームアプリなどは21:9の画面サイズに対応していないことがほとんどで、そういった場合は画面下に大きな黒帯が表示されることになります。Xperia 1が発売されこの画面サイズがもっと広く受け入れられれば対応アプリも増えていくかと思いますが、今はまだポテンシャルを持て余してしまう機会が多そうです。
カメラをチェック
これまで最上位モデルにのみ採用されてきたデュアルカメラですが、ミドルレンジであるXperia 10にも開放されています。あれだけ出し渋っていた機能がこうもあっさり解放された背景にはやはりXperiaブランドの方向性がやや変わってきていることが挙げられるのかもしれません。
カメラアプリのUIは特筆すべき点はないよくある形。左下に「料理」の文字が見えるように流行のシーン認識機能も搭載されています。
撮影モードは豊富ではありませんが、デュアルカメラを採用したことによりぼけモードが追加。デュアルカメラの内500万画素のカメラは深度測定用となっており、ぼけモードで撮影中に500万画素のカメラを指で塞ぐと見事にボケのみが消える様子が確認できました。
「料理」を認識して自動で補正された写真。照明の影響もあってやや暖色に寄り過ぎではありますが、かなりおいしそうに撮れています。
Xperia 10のカメラでは自身のディスプレイサイズを活かし、21:9の比率での撮影が可能。この写真は21:9かつぼけモードで撮影しています。Xperia 10のホーム画面に壁紙を設定する場合は21:9比率の写真を用意しなければ拡大かトリミングをする必要がありますが、縦方向に21:9の写真を撮れば自分で好きな写真を設定できます。
撮影モードのうちクリエイティブエフェクトはフィルムカメラ風の質感の表現、モザイクや万華鏡などの凝った写真や動画が撮影可能。個人的には「鉛筆スケッチ」と「魚眼レンズ」がお気に入りです。
カメラのクオリティ自体は可もなく不可もなくといったところで、逆光に対する弱さやホワイトバランスの不安定さは少し目につく印象(ホワイトバランスはシーン認識の影響かも?)。最も気になったのはぼけモードの時に「被写体から離れてください」「被写体に近づいてください」の表示が交互に何度も現れる点で、いったいどこが正解のポイントなのかがイマイチわかりにくいです。表示が消えないうちに撮影してもぼけエフェクトは得られるようなので、最終的には表示を無視して撮影してしまいますが、モヤモヤした感情が残ります。
また、個人的にはHuaweiのカメラを皮切りに流行りだしたウォーターマークの表示機能が凄く好みなので、本機には搭載されておらず少しガッカリ。私のような素人が撮った写真でもそれっぽい見た目にしてくれる素晴らしい機能だと思うので、アップデートなどで追加してくれたら嬉しいのですが・・・。
また、本機で動画も何度か撮影していたのですが、「カメラまたは本体を再起動してください」といった意味のポップアップが表示され動画モードを起動できないシーンが多々ありました。連続撮影していたので熱によるものかもしれませんが、原因は不明。熱暴走でカメラが不安定というと”ソニーあるある”な感じですが、長時間とは言えない数分の撮影の後でしたので、やや安定感に欠けるという評価にならざるを得ません。
Xperia 10の良いところ・イマイチなところ
良いところ
- 大画面かつコンパクト
- 待望のデュアルカメラ
- 汚れや傷が目立たない質感
- 四角いデザインに側面指紋センサー
イマイチなところ
- 画面サイズを活かしきれないシーンが多数
- パフォーマンスはそこそこ
- カメラ(動画)が不安定
- ホーム画面での上スワイプ機能の混在
ここまでザっとレビューしてきましたが、Xperia 10の良い点・悪い点を大雑把にまとめると以上のような感じに。「ホーム画面での上スワイプ機能の混在」には触れていませんでしたが、これはホームランチャーとAndroid 9のジェスチャーの両方に上スワイプによる機能が割り当てられているために、ホーム画面でタスクを表示しようとスワイプすると高い確率でドロワーが展開されてしまうという問題。些細な問題ではありますが画面分割のためにタスクを表示させるシーンは意外と少なくないので、かなり気になったポイントです。
Xperia 10の良いところは、かつて輝いていた頃のXperiaの良いところは取り戻しつつ新たな要素も盛り込まれている点。板のようなデザインと側面の指紋センサーは昔のXperiaそのものですが、大画面でベゼルレスが主流となった今でこそ再び注目されるべき強みでしょう。過去を捨て手に余る流行のみを追い求めて明後日の方向に突き進んでいたXZ2やXZ3とは違い、原点に帰りつつ新たな要素も追加している本機はまさに新生Xperia。
久々にXperiaシリーズでテンションが上がり勢いで購入してしまったため満足度は高めですが、これを触ってしまうととにかくXperia 1が気になるのが問題。Xperia 1は10万円以上になることはほぼ確実ですので、生まれ変わったXperiaを体験してみたい方は取り合えずXperia 10を触ってみるというのもいいでしょう。
私はEtorenで購入しましたが、Amazon.comでも日本への直送に対応してるようですので慣れた手順で購入できる分アカウントがある方はそちらの方がおススメです。
Xperia 10の国内版ともいえるXperia 8が、au、UQモバイル、ワイモバイルから発売されますので、そちらもチェックしてみてください。
関連Xperia 8(SOV42)ハンズオンレビュー【UQ mobile / Y!mobile / au2019秋冬モデル】
レビュー動画も公開!
YouTubeにてXperia 10のレビュー動画も公開しています。まだまだ編集には不慣れではありますが、実機の質感やサイズ、雰囲気を感じ取ってもらえればと思います。今後も端末のレビューは動画でも公開しようと思っているので、ぜひチャンネル登録よろしくお願いします!
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